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2007年5月27日 (日)

「18歳の今を生きぬく」:若いモンもつらいのよ

高卒一年目の選択
著者:東京都立大学「高卒者の進路問題動向に関する調査」グループ
青木書店2006年

東京都内の二つのタイプの異なる高校で、三年生の生徒に進路について聞き取り調査を行い、さらに一年後に彼らの現状を追跡した調査をした結果をまとめた本である。

就職にしろ進学にしろフリーターにしろ、実に様々な若者の現状が紹介されている。高校生の頃からバイトで家に金を入れ、さらに卒業後は専門学校への進学を目指して費用を貯めるためにフリーターになるも、状況の厳しさに思うようにならずズルズルと……というパターンや、或いは就職できなかったために進学を選ぶなんて事例もある。
こういうのを見ていると、私の世代の進学・就職観というものは全く通用しないのを痛感する。

またいずれの事例にしろ親の資産(経済的なものに限らず)によって大きく左右されること、そして進路先の環境や対人関係も重要な意味を持つことが分かる。
個人的に意外だったのは、生まれてから高校卒業まで自転車で移動できる地元地域内のみで生活してきた若者にとっては、仕事のため長時間電車で移動を繰り返すというのは大きなストレスになるということ。考えてもみなかったが、うむむむ……なるほど、そういうこともあるのね。

上っ面の話だけ聞けば「今どきの若いモンは--」と言いたくなるような話でも、隠れている実情と背景を知れば、やむを得ずそうなってしまったのだということがよーく分かった。
聞き取り件数は決して多いとは言えないが、単なる統計の数値では決して知ることのできないことばかりである。

一方、第2章の統計分析を見るだけでも驚く部分がある。「東京の若年層雇用形態」というグラフを見ると1992年を境に正規雇用・非正規雇用の割合が逆転し、さらにそれまで無かった男女差が生じて年ごとに拡大している。
つまり、東京で若い女性が安定した雇用を得るのは今では非常に困難であるということだ。

正直言って、この手の問題を扱った本の中では読んで一番役に立った。「今どきの若いモンは」と言いたい人には一読をお勧めしたい。

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