マルレーネ・デュマス、岡本太郎、そしてタイ・アート・オールスターズ:あんまんから水滴まで、共通点は何もなし
東京都現代美術館
*マルレーネ・デュマス「ブロークン・ホワイト」
2007年4月14日~7月1日
*特別公開 岡本太郎「明日への神話」
4月27日~2008年4月13日
*「タイ王国・現代美術展~みてみ☆タイ」
4月18日~5月20日
*「MOTコレクション 2007年度 第1期」
4月27日~7月1日
M・デュマスとは名前ぐらいしか聞いたことがなかったが、現在進行形でかなり人気のある画家らしい。
ポートレイトが多いとのことだが、実際顔だけを荒っぽく書いた小さめの作品がズラズラと並べられている。しかも、それが変な顔というか個性的に書かれたものが多くて、私はゴドレイ&クレームのビデオ・クリップ「クライ」を思い出した。今では珍しくないモーフィングの技術を最初に駆使した作品だが、その技術よりもよくもこんな変な顔を集めたなーというような人物が次から次へと登場するのが面白かった。それに似ている。
大きめの作品では「白雪姫と折れた腕」というのがやはり変テコで目を引いた。全裸で眠っている太めの白雪姫(なぜかポラロイドカメラを手に持っている)を灰色の不気味な7人の小人たちが見ている、という絵だ。
エゴン・シーレを連想させる作品もあった。
表題になっている「ブロークン・ホワイト」はアラーキーの写真作品を元にして描かれている。そのオリジナルのアラーキーのハメ撮りも展示されていたのだが、私はそれを見て「あんまん」を連想してしまった(^=^; い、いかん、もはやこの歳になると全ての連想は食欲へと還元されるのであろうか。
デュマスの絵は写真の構図をなぞっているが、「あんまん」部分は描かれていなくて受けるイメージは全く違う感じである。どういう意図で描いたんざんしょ?
他にはアントン・コービンと組んで描いたストリッパーの絵がよかった。
なお、多くの作品は真っ白い壁にゆったりと間隔を置いてやや高めの位置に展示されていて、とても気持ちよく見られた。雨の日だったせいか、人も少なかったし……どんな作品でもこんな感じで鑑賞できるといいんだがねえ。
次は、復元された岡本太郎の巨大壁画を見る。
巨大過ぎて何がなんだかわからない。端っこに描かれている目鼻がついた船のような物体がカワイイなっと(*^-^*)--そんなレベルの感想しか出てこない。撮影自由なので、みんなケータイで一生懸命に記念撮影していた。
脇で復元過程のビデオをやっていて、それを見てると本当に粉々の断片になっていたのを再生したのに驚く。そして実物に接近してみると、確かに切れ目が分かるのであった。
個人的に岡本太郎というと思い浮かべるのは『宇宙人、東京にあらわる』(←タイトルうろ覚え)という映画で彼がデザインした宇宙人である。
いやー、あんなブッ飛んだ宇宙人は絶対どんな映画でもお目にかかれまい!と太鼓判と共に断言できちゃうほどのモンであった。スゴイね。
あと同時代の画家の巨大絵画と、「太郎の「神話」のエネルギーは次世代に続く若い作家にひきつがれ」たという最近の若手の作品があったが、ちょっとこじつけっぽい。
入場無料というタイの現代美術展は時間がなくて駆け足で見た。日本と関りのある画家の作品などを時代順に展示。そして吹き抜けの広い空間では、客も参加して作るワークショップ風のやつもあった。デュマスを見てた時には若い人たちが大勢、一心不乱に何かを作っていたが(紙人形らしい)、私が行った時にはもう誰もいなくて、女の子が二人、風船式の黄色い人形を必死になってふくらまそうとしているだけだった。
ここら辺に来ると、タイっぽいというよりはいずこの国も変なアーティストがいるなあという印象。
個人的に面白かったのは、有名な報道写真をパロディにした「この無血戦争シリーズ」だった。
常設展は入口の巨大な布のインスタレーション、スゥ・ドーホーの「リフレクション」に驚かされる。薄い青緑色の布を透かし見て、まるで水面下から門のような建物と、水面に映ったその影を見上げているよう。なんだかホヤーッとした幻想的な気分になる。階段を上がると上部も見られるのが面白い。
新たに購入した作品を中心に展示しているということだが(予算が貰えてヨカッタネ)、水滴を精密にカンヴァスに写し取った金昌烈がとても目を引いた。
タイも含めてやはりアジア勢は勢いがあるってことですかねえ。
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