「藪原検校」:弱きをくじき強きをだます
作:井上ひさし
演出:蜷川幸雄
会場:シアターコクーン
2007年5月8日~31日
これまでどうも蜷川幸雄の芝居は今イチ自分と合わないなー、と思っていたがこれを観て初めて面白い!と思った。
もっとも、面白いのが演出なんだか元々の脚本だか役者の演技の部分なんだかはよく分からないが--。
親の因果が子に報い~、と盲人に生まれつき、盗む殺す犯すと悪徳の限りを尽くして社会を縦断して行く杉の市--古田新太は正にはまり役としかいいようのない演技を見せている(もっとも、恰幅良過ぎてて27歳には見えんが(^^;)。新感線みたいに当て書きしたかと思っちゃうほどだ。
堅固に築かれた江戸時代の社会の中で、さらに盲人の中にも階層が作られているという搾取的な体制を、井上ひさしの脚本はあからさまに描き出している。
主人公は悪をなすことでその体制を手玉に取る紊乱者となり頂点を極めるが、最後は葬り去られる。誠にエネルギッシュにして皮肉な物語だ。全編のめり込んで見てしまった。
音楽がいささか古めかしい感じで訴求力がないのが難(わざとそいういう曲調にしているのかも知れないが)。壌晴彦の語りは非常によかった。
《えんげきのぺーじ》の一行批評を見ていると、公演期間の初めの方はかなりキビシイ評が書かれているが、後になるほど点数が上がっているようだ。やはり尻上がりに出来が良くなっていったのかも知れない。
事前に座席をよく確かめないで行ったらバルコニー席の後ろの方だった。オペラグラス持って行くべきだったと大後悔である。
あと、途中で耳鳴りがしてきて花粉病のせいかと思って薬を飲んだがおさまらず、家へ帰ったらすごい大きな耳鳴りになっていて片耳が塞がったようになってしまった。これはもしかして「突発性難聴」というヤツかと震え上がった(>_<;)
翌朝、風呂に入ったら治ったからよかったけど、医者へ行かねばならないのかと不安になった。健康には気をつけんとイカンのう……。
【関連リンク】
1974年の公演も見た方の感想です。
《ようこそ劇場へ!》
うーむ、高橋長英、太地喜和子、財津一郎ですか。今回と正反対のメンツですなあ。これも見てみたかった。
| 固定リンク | 0
コメント
はじめまして。
トラックバックさせていただきました。
どうぞよろしくおねがいします!
投稿: なかし | 2007年6月 8日 (金) 01時33分
こちらからもTBいたしました。
今後もよろしゅう
投稿: さわやか革命 | 2007年6月 8日 (金) 06時03分