結城座「ドールズタウン」:燃えゆく母
作・演出:鄭義信
会場:ザ・スズナリ
2007年5月31日~6月5日
結城座が鄭義信と組むのは12年ぶりだという。前回の芝居は見ていない。
舞台は戦時中の日本、海を遠く臨む架空の地方都市「ドールズタウン」。その住人たちは人形が演じ、時間的にも空間的にも外部の人物は人間が演じる。
なぜか分からないが今イチのめり込めない歯がゆさを感じた。自分でもよく分からないが、主人公の少年の感性があまりに「現代的」過ぎるせいかも知れない。
とはいえ、いじめっ子の姉弟には大いに笑ったし、オサカナの佐藤昭二はカワユイっ! 巨大象の人形がバラバラになるのは驚かされた。
それに何と言っても、母が本当に燃える場面は泣かされた。こればっかりは人形芝居でなくては見ることが無理な光景である。
次回は渡辺えり子と組むという。これもまた期待だ。
それにしても客の年齢層が高いのには驚いた。もちろん若いカップルもいたけどねえ。
ところでネットの感想に「人形と人間とが絡む芝居の必然性がわからない」というのがあった。こう思う人は結構いるんだろう。特に結城座の場合は人形をあやつっている人間が、姿を堂々と見せて直接セリフも一緒に喋っているわけだから、余計にそう思えるかも知れない。しかし、人間の身体と人形の身体は全く別のものである。そこに虚構と現実が鮮やかに転換する、目に見えぬ境界が存在するのだ。
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