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2007年7月16日 (月)

「ゾディアック」:殺さぬなら殺すまで待とうゾディアック

監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファロ
米国2006年

犯罪史上名高い連続殺人鬼のルポを基にした映画。登場するのは全て実在の人物ばかりである。マスコミや警察を翻弄する手紙を送りつけたり、テレビに電話で生出演したり『ダーティハリー』の犯人のモデルになったり--と、派手なエピソードで知られる犯罪者だし、監督がD・フィンチャーとあってはさぞ派手な映像でレクター博士もさすがに負ける猟奇犯罪尽くしを見せてくれるかと思って、すごーく期待していったら全く当てが外れた。

警察と新聞社に属する計四人の人物が、この連続殺人にのめり込み執着し、いかに身を滅ぼしていったかという陰々滅々とした暗~い話なのである。
しかも実際の事件の展開が、数年間止まったりまた始まったり、それどころかどれが一体本当にゾディアックが犯した犯罪なのかハッキリしなかった……というのに合わせて、映画の歩みもノタ~リとして三歩進んで二歩下がる、みたいな調子だから見ていてコーフンしたりは全くない。

特に後半は「まだこの調子で続くんかなー。続くんだろうなあ、上映時間2時間半だし」なんて思いながら見てしまった。
映像も恐らく地味ながらフィンチャーらしい工夫がこらされているんだろうけど、それがどうでもよくなってしまうほど長い。あ、でも湖畔でカップルが襲われるところは迫力あったけどね。
音楽の使い方も当時の曲がふんだんに使われているんだけど、それもどーでもよくなってしまう。もっとも、わざと音楽のツボをずらした使い方をしているせいもあるが。

この作品自体が事件の雰囲気を再現している、という説もあって、確かに納得するが、いかんせん見ていて退屈してしまうのはどうしようもない。ここまでくると、個人によってノレるかノレないかという点に還元されてしまう。

構造的には『プレステージ』と極めて共通する所が多いと思うが、どちらを気に入るかは完全に人それぞれの感性によるだろう。

ひねくれ者としては、美人のカーチャンよりも得体の知れない変態猟奇殺人鬼の方にハアハア(^Q^;)してしまうというのはよーく分かるので、今後も小説や映画の中でゾディアックが活躍し続けるのを期待したい。

映画が終わってから、近くにいた若いモン二人が「もっと呪いとか出てくるかと思ったのになー」と不満を述べていたが、この四人の行く末を見るとこれこそ最大の「呪い」じゃないかという気がした。コワイよーん(>y<;)


主観点:6点
客観点:7点

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