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2007年7月14日 (土)

「プレステージ」:華麗なる対決と思いきや

監督:クリストファー・ノーラン
出演:ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベイル
米国・イギリス2007年

「今宵、ハリウッド美男俳優二人による豪華なるマジック対決が行なわれます。美女あり、名老優あり、さらにはあのロックスターも特別出演。おまけに原作は世界幻想文学大賞という折り紙つき。華麗な騙しのテクニックを是非ご覧あれ」
--というあおり文句に釣られて行ったら、なんとそこで見せられたのは二人の男の陰鬱にして粘着、果てしもなき憎悪による足の引っ張りあいであった!

と、まあ既に本編に入る前の宣伝の時点で騙されているわけだが、こんな「騙し」は映画の世界では既に常套手段。予告でサスペンスかと思って行ったら、なんのことはない中年の不倫モノだったりして、怒るぞオレは~ω(T_T)ωなんてのばっかり。

おまけに冒頭に監督からの「この結末は絶対にネタバレしないでください」なんてメッセージがあったりして、これもアヤシイ。
途中からはあのニコラ・テスラが登場してきてさらにウサン臭さ倍増だー。どうも、こりゃ「マトモな映画」ではないらしい--というのが察せられる。

この映画の大きなトリックは二つあって、その内の一つは「すぐ分かっちゃう」、もう一つは「こんなのマジックと言えない」と、いずれもいたく評判が悪い。
中には「早々にネタが割れてしまって詰まりませんでした」で終わる感想まである。まるで、ネタ以外の要素は全て無視みたい。他に観るべき部分はないのかと言いたくなっちゃうよ。

だが、全編に漂うこのウサン臭さ、いかがわしさからすれば、トリックの中味がどうのというのはあまり意味がない。それどころか「ネタが分かった途端に観客は引いてしまう」というセリフが登場する上に、見終ってみれば最初の数分間でほとんど全部のトリックが予めバラされてしまっているではないか。
ということは、この映画の最大のネタは「すべてのネタは○○○○○○」ということだろうか? ありゃ、これこそ最大のネタバレだ~(@_@)
ともかく、ウサン臭いのが大好きで、騙し騙されの目の回るような感覚こそを楽しみたい人に推薦したい。

映像では、雪原に電灯が一斉に灯るところがとても美しかった。あと、白っぽい埋葬所も印象的。
役者ではマイケル・ケインはもう堂々余裕ありまくりの演技で、何も言うことなし。二人の主役もそれぞれのキャラクターを生かして好演。ヒュー・ジャックマンはエミー賞(だっけ?)の司会をやってるのを見た時にも思ったが、ステージ上でケレン味を見せるような派手な役だと打ってつけ。こんなマジシャンが実際にいたら「ヒュー様~」なんて叫んでおひねりを投げちゃうよ(*^-^*)
ただ、難なのは女優の扱い。過去の同じ監督の作品でもそうだったんだけど、どうも今イチ、女のキャラクターが冴えないんだよね……。今後の課題であろう。


さて、この時の予告で「西遊記」をやっていたのだが、なんだか見ていたら暗澹たる気分になってしまった。「一体、日本映画の未来はどうなるのであろうか……」なんてことまで考えてしまったよ。ま、そんな事どーでもいいんだけどよ(^O^)
それから、この映画を観るために久し振りに歌舞伎町に行った。最近、単館ロードショーものを見るのが多かったし、メジャーな作品は近所のシネコンに行ってたからだ。そしたら、以前はいなかったような場所までホームレスが増えていて驚いた。これで景気が良くなっているだって? ウソこくな!である。
というわけで、各方面に渡ってますます日本の未来は暗いのう……(+_+)


主観点:9点
客観点:7点

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