「インランド・エンパイア」:もはや伝統芸能の域
監督:デヴィッド・リンチ
出演:ローラ・ダーン
米国・ポーランド・フランス2006年
正直に言おう。
客電がついて一番に席から立ち上がって叫ぼうかと思った。
「わけワカンネェ~~!」
しかし、できなかった。なぜなら、3時間座りっぱなしで尻が痛くって立ち上がれなかったからである。
例の如くストーリーはあって無きが如し。それでも前半はいわく付きの古いポーランド映画を再製作しようとして、撮影が進んでいく--というあたりまでは分かるのだが、後半に入って時制と虚実が入り乱れるうちに何がなんだか訳ワカラン状態になるのであった。それからは、謎のウサギ人間やらカーテンの下がった部屋やら娼館やらサーカス団やら、とにかく毎度おなじみリンチ・ワールドが炸裂するのである。
しかも、デジタルビデオカメラ(でいいんかな?)で撮ったボヤーとした画像で(多分ピントもあってない)、顔の大写し(それも並みでない接写)には見ているだけで疲労困憊してくる思い。ヒロイン役のローラ・ダーンの顔はもう一生分眺めたという感じだ。
こうなるともはやD・リンチの伝統芸を見ているような気分になってきた。ワン・アンド・オンリー、うかつに誰も真似できない、下手に真似したら火傷するのは必至の独特の芸である。それを人は「リンチ節」と呼ぶ。
その「芸風」に耐えられる者がこの映画を楽しめるのだ。
とはいえ、しばらく前にレンタル屋でリンチ作品を探したらほとんどなくてビックリ。『エレファント・マン』も『ブルー・ベルベット』も置いてないってんだから日本の未来は一体どうなるんだろうと心配しちまったぞ。
これでは一体誰がリンチの芸風を継承するというのだ!
ところで、終わった後の客の話題はもっぱら「ナスターシャ・キンスキーはどこに出てた?」だったもよう。噂によると、出てる場面は結局カットされちゃったとか? あと、懐かしやマイケル・パレも分からなかった。
でも、ジェレミー・アイアンズの監督は相変わらず退廃的でス・テ・キッ(#^-^#)
帰りに映画館のすぐ隣にある恵比寿の三越で、前にアフタヌーン・ティーのあった所に新しい喫茶店が出来ていたので入ってみた。
うーむ、紅茶はポットで出されるが今イチ。ケーキはおいしいけど、デカ過ぎ! 元気で食欲旺盛な若いモンにはいいかも知んないけど、夏バテのチューネンには半分の大きさで結構であった(なんとか完食したが)。
主観点:採点不能
客観点:採点不能
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コメント
こんにちは
ナスターシャはいっちばん最後の大騒ぎのときに、
ローラ・ダーンのとなりにひっそりと座っていましたね(笑)
パンフによると(正確にはパンフの正誤表によると(笑))やはり本編では出演シーンがカットされたようです。
マイケルは確かにわかりません。本当に出ているのか?
投稿: manimani | 2007年8月28日 (火) 17時31分
情報ありがとうございます。
「誰か隣に座ってるなあ」ぐらいしか思いませんでした。よほど注視してないと分かりませんねえ……。
投稿: さわやか革命 | 2007年8月30日 (木) 07時06分