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2007年8月26日 (日)

「TOKKO -特攻-」:ウツにならなくてよかった

監督:リサ・モリモト
米国・日本2007年

見る前の予想とかなり違っていた。
特攻隊員の運命に号泣、日米兵士の戦争観が激突して平行線を描く--みたいなもんかと思ってウツな内容かと想像していたのだが、全然そんなことなかった。

元米兵は少ししか出て来ない。四人の日本の特攻隊員へのインタヴューが中心である。彼らが日系アメリカ人の監督に、当時の心境を語る。それは切々と迫るものもあるが、同時に語り口は極めて明晰で、やっぱりその頃のエリートだったんだろうなあと感じた。

米国人の立場から監督は彼らの心情を理解して終わる。そして、いかなる状況においても人間性というものは存在することを示した。そういう意味では観賞後感はさっぱりとしたものであった。

ただ、名前忘れたけどいかにも社長さん風の人が途中で一番の真情を吐露する所で英語で喋り出したのはビックリした。映画系の掲示板を見てたら、米国の観客にアピールするためだろうと書いてあったが……。ムムム、なんで?
それから、アニメ部分はなんだか興醒め。せめてプロダクションI.G.に頼めばよかったのにね。


実は8月10日ぐらいから終戦の日までNHKのBSで戦争関係のドキュメンタリーをまとめて放送していて、つい見てしまい、かなり鬱々な気分になっていたのであった。そのため、この映画を見ても却ってウツに感じなかったのかも知れない。
なかでも関東軍兵士と満州開拓団がソ連参戦で逃げる話の番組は、人間性のニの字もない恐ろしいエピソードばかり出て来て相当にウツになった。

だがしかし、どうであろうか。ひねくれ者たる私は非人間的な行ないにもまた人間らしさを感じるのだ。

他にもBSでは、アウシュヴィッツから生還したにもかかわらず数十年後に自死したプリモ・レーヴィを取材した番組とか、去年のアカデミー賞にノミネートされたイラクを描いたドキュメンタリー映画をやっていて、いずれもウツになる内容だった。
洋の東西、時代に関係なくそういう話はゴロゴロしていて尽きることがないようだ。


主観点:6点
客観点:7点

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