「消えた天使」:怪作か凡作か
監督:アンドリュー・ラウ
出演:リチャード・ギア
米国2007年
『インファナル・アフェア』のA・ラウ監督が遂にハリウッド進出--ということで話題騒然!には全然なっていなくて、いつの間にやらひっそりと公開されていたのである。
しかし、監督だけでなくプロデューサーとしても筆頭に名前が出ているので別にお雇い仕事というわけではないもよう。
主人公は性犯罪登録者の監察官。日本だと保護司みたいな感じか。もちろん警察官とは全く違う職業なのだが、この男は常に疑い深く(元)犯罪者にまとわりつき銃まで持ち歩いている。
引退直前、担当区域内で少女の誘拐事件が勃発。一刻も早く少女を見つけねばと、後任の新人の引き継ぎのついでに、彼は暴走しまくるのであった。
なんかやたらとおぞましい話がいっぱい出てくるのであります(映像の描写自体はそれほどでもない)。こんなんだったら、ゾディアックなんてかわいらしいぐらい。
で、さらにおぞましい性犯罪者も多数出てくるが、問題なのはその誰よりもブチ切れていて狂暴なのが主人公だということである。
もっとも、演じているのがリチャード・ギアなんで、無表情かつ一本調子な感じの演技のために却って見ていてホッとするというか、救いがあるようだ。
しかし、逆に香港映画風の濃ゆい演技でこれでもかーっというので見たかった気もする。そしたらもっと面白かったかも知れない。
新人役のクレア・デーンズはやっぱりうまい役者だと思った。『ターミネーター』なんかに出なければ良かったのにねえ……。今さら言っても遅いか。
でも一番すごかったのは、犯人役の役者さんだろう。終盤のハイテンションぶっちぎりは恐ろしいの一言。見てて心臓がドキドキしました。(@_@)
ストーリーのドンデン返しには文句なし。ただ、D・フィンチャー風(?)の凝った画像処理は多用し過ぎで、なんかうっとうしく感じた。
興行側は、どうやってこの映画を宣伝したらいいのか困ったことだろう。ご同情申し上げます。で、人気歌手のアヴリル・ラヴィーン映画初出演というのが売りの一つにしてたみたいだが、ホントにチョイ役。ファンが期待して観に来たら、腹を立ててナタを振り回したくなるだろう。要注意である。
それから、この手のサイコキラー話でニーチェを引用するのはもういい加減に止めてくれ~。さすがに飽きたぞ。
主観点:6点
客観点:6点
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