「アルゴス坂の白い家 クリュタイメストラ」:悲劇、喜劇、悲喜劇?
作:川村毅
演出:鵜山仁
会場:新国立劇場
2007年9月20日~10月7日
新国立劇場の10周年記念のフェスティパル公演として、ギリシャ悲劇を元にした三つの新作芝居をそれぞれ別の演出家が演出するという企画。
これはその最初のもので、川村毅と芸術監督に就任した鵜山仁が組んでいる。
クリュタイメストラはエレクトラの母親で、トロイ戦争での勝者である夫のアガメムノンを謀殺。娘と息子の恨みを買う。彼女を佐久間良子、エレクトラを小島聖を演じている。この芝居での設定はクリュタイメストラはスター女優、アガメムノンは巨匠映画監督となっている。
見る方としては当然、悲劇だと思ってみるわけだけど……これってもっと喜劇っぽく演出しないとダメなんじゃないの??
そもそも新宿のホームレスもどきのエウリピデスが出現、スランプに陥ったこの芝居の演出家と共に漫才みたいなかけ合いをするところから始まるんだから。
でもって、ヒロインが一生懸命悲劇にしようと頑張っているのに他の人間が不甲斐なくってなかなか悲劇にならない……って、つかこうへいとまでは行かなくてもやっぱり喜劇でしょう。
そう思って見ると、後半は面白くなった。
悲劇がもはや成立しない時代に抗って、あくまでも古代の悲劇を成立させようとするヒロインはまさに「最後の大女優」であろう。
ただ、「父と息子」と違って「母と娘」はそんなに簡単に和解できないもんだと思うが……。
川村毅は相変わらず「戦争」好きなようだ。しかし、戦争映画作るには戦争へ行かなければダメだなんて意見には到底賛成できません。そしたら、オリバー・ストーンの撮る戦争映画が最高だってことになっちゃうじゃないの。納得できねぇ~。
佐久間良子はさすが、余裕の貫禄でヒロインを演じていた。あと、ホントに××年ぶりぐらいに有薗芳記を見た! 全然変わってなかった(^o^;
それにしても、見たのは日曜日だったのに6割ぐらいしか客が入ってなかったのはどういうことよ? しかも二階席は最初から使ってなくて、だ。折角の10周年企画だってのにさ。立派な劇場の建物がシーンとしてた。
三番目にやる『異人の唄』はマンガ家の土田世紀が脚本書くという話題作だから、それにはさすがに客が入るだろうか。
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