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2007年12月 2日 (日)

Ferrara Ensemble "The Whyte Rose" (ARCANA)

071202_2
旧譜紹介。
フェラーラ・アンサンブルはクリフォード・ヤング(リュート弾き)が率いるルネサンス音楽グループ。バーゼルを本拠地にしているということぐらいしか分からない。

このCDは1999年の作品。サブタイトルに「シャルル突進公の時代のイングランド-ブルゴーニュの詩」とある。
ブルゴーニュ公シャルルは1468年に英王エドワード4世の妹マーガレットと結婚。これによる同盟は、当時の仏王にとっては脅威となったらしい。
タイトルとなっている「白薔薇」はマーガレットの愛称とのこと。

恐らく当時の宮廷でも演奏されたのだろう曲が収録されているが、作曲家が判明しているのは少なくほとんどはアノニマスだ。歌詞の言語も古英語、フランス語、ラテン語と様々である。

ルネサンス音楽のCDを聴くと「こんなに美しい曲がこの時代にあったのか!」と驚くことが結構ある。まさにこれもそうだ。冒頭のウォルター・フライの三重唱のモテットからシャンソン、舞曲、いずれも透徹した美しさに満ちている。

とりわけ注目ならぬ注耳曲はW・フライのアルトとテナーによるバラッド、7曲目のオケゲムの恋歌。後者はアルトのソロで伴奏の弦(viora d'arcoって何だっけ?)と声の響き具合が聴いてて快感である。
しかし、一番素晴らしいのは10曲目のビュノアのモテット"Anima Liquefacta Est/Stirps Jesse"だろう。無伴奏のアルト・テノール・バリトンの三重唱で、三者の声があたかも螺旋形を成して互いに絡み合っていくような美しいポリフォニーである。聴いていると目が回っていくような気分になる。詩の元ネタは雅歌だろうか。内容も哀切極まりない。

ここでアルトを担当しているのはLena Susanne Norinという女性だが、そもそも女声アルトにしろ男声カウンターテナーにしろ、良ければ極楽のように素晴らしく、ダメなのは地獄の底に落ちた気分になるようにダメなもので、「並」とか「ほどほど」というのは聴いたためしがない。なぜだか不思議なもんである。彼女の声はビロードのような滑らかさで高音から低音まで聞かせてくれる希少な極楽レベルだ。

このCD、残念ながら現在は廃盤とのこと。中古などでお探し下せえ。

ところで、この時代の背景などを知るためにネット探索したが、歴史上の一人の人物にテーマを特化したブログが幾つも存在しているのを初めて知った。世にブログの種は尽きまじですなあ。


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