« 2007年12月 | トップページ | 2008年2月 »

2008年1月

2008年1月31日 (木)

「再会の街で」:うまい役者がいればそれなりの体裁は取れるが

080210b
監督・脚本:マイク・バインダー
出演:アダム・サンドラー、ドン・チードル
米国2007年

うーむ、事前の予想とは違ってかなり「ぬるい」映画だった。音楽の使い方がいいというので見に行ったのだが、それも今イチならぬ今サンぐらい。そういう点ではかなり期待外れだった。

歯医者として成功して何一つとして文句の付けようのない生活をしている男が、街中でかつての大学時代のルームメイトに出会うが、そいつは911で妻子を全員失い、ショックで主人公のことも覚えていなかった……。
というのだけど、なんだか脚本の焦点が定まらなくて何を描きたいのか、とっ散らかっている印象だ。
二時間強の上映時間の間中に「これは一体どういう展開になるのだろう」と思っていたのだが、それは先が読めないというのではなくて、何を中心に描きたいのかよく分からなかったからだろう。

歯医者の主人公は妻と娘二人の「女文化」に飽き飽きしてて、事故の後遺症で「男の子」に戻ってしまった旧友と、ゲームやら、バンドごっこや、映画のオールナイトに行くという「男の子文化」にハマるというのは分かる。裕福な暮らしをしていても、両親や妻や仕事の同僚とうまく行ってなくてうっ屈してるのも分かる。迷惑な患者に引っ掻き回されて困るのも分かる。
が、それらの要素がなんだかバラバラに存在していて、最後に余り者同士で割れ鍋にとじ蓋状態に納まってメデタシメデタシでは……なんなのよと思ってしまう。
特に離婚女の存在はなんだかなーという感じ。

役者はみんなうまい人ばかりなんで、そこら辺は文句はないんだけどねえ。
アダム・サンドラーはコメディアンのイメージから大転身。髪型といい、ファッションといいボブ・ディランみたいでビックリだ。
『スタ・トレ』のQやドナルド・サザーランドも短い時間だけど特出。

『クラッシュ』以降の悪影響というか、不幸な人間を並べて上手い役者に演じさせればそれなりのものが出来てしまうという錯覚は大いに問題である。で、結果今ひとつ深さが足りないような--。
特に、ラスト近く旧友男が亡くなった妻の両親に向かって、あんた達は二人で苦しみをわかち合えるからまだマシだみたいなことを言う(それに比べて自分は一人だからわかち合えない)。
だが、本当にそうだろうか? 二人いたら、苦痛や悲しみも二倍になる可能性もあるとは考えないのだろうか。

以前、新聞記事か何かで、子どもを事件か事故で突然失った夫婦が結婚生活自体うまく行かなくなって離婚してしまったというのを読んだ記憶がある。
また、これはフィクションだがTVドラマの『ホミサイド』で、犯罪の被害者の遺族3組が集団カウンセリングをするエピソードがあった。夫を失った若い妻が、妻を亡くした男に対して「でもあなたは子どもが残っているからまだ慰めになる。私たちには子どもがいなかったから」と言うと、男は「そんなことは関係ない」と吐き捨てるように答えるのだった。(←かなりいい加減な記憶で書いております)
結局、男の頑な態度が原因で他の参加者と喧嘩沙汰になってしまうのだが、このエピソードと比べると、こちらの映画は「なんだか軽いなあ」と思ってしまった。

音楽は個人的に思い入れのある曲も使われていたが(『ザ・リバー』のヴィニール盤いまだに持ってるぞい←と、エバってみる(^o^;)どうもピンと来ない使い方なのである。著作権の問題とかあるのかも知れんが、歌詞の訳も出して欲しかったねえ。
と、見れば担当者はあの冥王の回し者こと「あの人」ではにゃあですか。意外な所にまた出現を……(^^;


ところで、主人公の歯医者に向かって「エレベーターでよく見かけた」--というセリフがあるが、私がかかっている先生はいつもマスクしてメガネかけて白い帽子かぶってるから、顔が分かんない。普段どっかで出くわしても絶対気づかねえぞ。
あ、声聞けば別だけどさ(?_?;


主観点:5点
客観点:6点

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008年1月27日 (日)

「東京文化会館レクチャーコンサート「二つの顔」第4回 西洋と東洋」:東西笛合戦

080127
演奏:有田正広、一噌幸弘
会場:東京文化会館
2008年1月25日

激突!東の能管、西のフルート。片や能楽師の一噌幸弘、片やおなじみ有田先生、双方一歩も引かず、あまりの激しいぶつかり合いに周囲では倒れる者がバタバタ……なんてことは全くなく、レクチャー部分は極めてマタ~リとした雰囲気であった。

このシリーズでは、色んなものを対比する企画(「天使」と「悪魔」とか)らしいのだが、今回は笛の歴史に見る東洋と西洋ということらしい。
一噌幸弘という人は五百年も続く能楽師の流派の出身とのこと。普段から、オーケストラと競演したり現代曲を作曲するなどの活動をしているそうな。
二人は色んな笛を取っ換え引っ換えしてレクチャーしながら吹いたり、曲を演奏したりした。

私なぞ、能管なんてほとんど聴いたことがないので思わず感心して聞いてしまった。能楽では共演するのが太鼓など大きな音を出す楽器ばかりなので音程を合わせる必要が少なく、音程よりも音色と音量で勝負だとのこと。さらに演奏する状況の変化もなかったので改良もなかったそうである。しかも材料が竹と漆なんで非常に長持ち、百年に一度修理すればいいくらい、というのには驚いた。漆は千年ぐらい保つのだとか。

一方フルートは社会状況の変化に伴って演奏場所も変わり、形状や機能も変化してきた。また、木管なんで乾燥に弱くパカッと割れてしまう。(そのせいか会場は湿度を高く調整していたもよう)

日本の笛は指穴も口穴もデカくて吹くのに非常に息が必要で、音が大きく打楽器的であるのに対し、フルート(特にバロック期)は喋るような細かいニュアンスを奏するというの大きな違いだ。有田氏が試しに能管奏法をやってみたら、酸欠状態で目の前が真っ暗になってしまったというのには笑った。

と、まことに対照的なのだが、実演では類似している部分なども聞かせてくれたり、W・F・バッハの曲を共演もした。
一噌氏はレクチャーではノホホンとした喋り方で、しかも駄じゃれを連発する自称「笛ヲタク」なのだが、演奏ではガラリと人格転換。元々の能楽の曲自体も激しいものなのだろうが、演奏も極めてアグレッシヴ。さらに音量があるので独奏にもかかわらず650人の会場を音が駆け巡り耳がガンガンしたほどだ。(@_@)
これでは繊細なトラヴェルソなんて太刀打ちできないのよ。(泣)
しかし、能なんていうと「幽玄の美」という感じで繊細極まりないイメージだが、音に関しては全く東西逆というのが目ウロコ状態だった。

進行役がいたにも関らずレクチャー部分が暴走したので終演時間が30分も伸びたが、色んな話が聞けて非常にタメになった面白い企画であったよ。
個人的には有田氏が同じフルートで同じ音をバロック期の指使いとそれ以後の指使いで吹き比べてみせたのが興味深かった。ただ一つの音だけでこれほど違うのかという感じ。この音の違いが積み重なって、普段コンサートで聴いている古楽のサウンドが作られているのだなとヒシと実感したのだった。

【関連リンク】
《しばがき@備忘録+手帳+日記》
「東」側の聴衆の方の感想です。
確かに一噌氏がバッハを演奏できても、有田氏は能楽の演奏は出来ないなあと思って見て(聴いて)ました。


| | コメント (2) | トラックバック (1)

2008年1月24日 (木)

「オルフェオ」:あるイケメンホストの死

080124
演出:伊藤隆浩
指揮:濱田芳通
会場:神奈川県立音楽堂
2008年1月19日・20日

〈第一幕〉
歌舞伎町ナンバーワン・イケメンホストとして大人気のオルフェオは、意中の超美人ホステスのエウリディーチェの愛を見事ゲット! ウハウハと喜んでカラオケボックスで友人たちと歌いまくるのであった。

〈第二幕〉
遂に同棲を始めたオルフェオ。今日も今日とて、友人の独身男やホステスたちと後祝いと称して歌舞伎町のキャバクラで騒いでいると、馴染みの二丁目のバー「シルヴィア」のママが紫のドレスの裾を翻して転がりこんで来た。
「大変よーッ!エウリディーチェが昔の借金のカタにピンサロ「毒蛇」に拉致されたの。きっとあそこで身も心もボロボロになるまでコキ使われるんだわ。いやいやーっ」と倒れんばかりに泣くのであった。
呆然とするオルフェオ。彼は断固としてエウリディーチェ奪還を誓う。

[休憩25分]

〈第三幕〉
しかし、「毒蛇」を経営しているのはあの、世にも恐ろしい広域暴力団「冥府組」であった。案内を頼んだ二丁目住人の友人は「あたし、もうダメーっ。ここから先は地獄の一丁目。もうコワくてコワくて行けないわ。ごめんなさ~い」と逃げ出してしまった。
「そんな、待ってくれー(>O<)」と叫ぶも取り残されたオルフェオ、意を決して冥府組の事務所の入り口に向かうが、そこには強面の用心棒と「猛犬ケルベロスに注意。食い殺されます」という看板が。
得意の話術とスマイルを駆使して用心棒を説得しようとするが、「うるせえ、すっこんでろい」とすごまれる始末。だが、窓から彼のイケメンぶりをウットリと眺めていた組長の妻が用事を言いつけて用心棒を追い払うと、中に引き入れて組長にとりなしてくれた。
「おまいさん、今時珍しい心意気じゃないか。なんとかしておやりよ」
すると「分かった。あの女は返してやろう。だがな、若い衆、この渡世の仁義と掟は決して破っちゃならねえよ」
と、組長は振り向いて恐ろしいご面相で彼をねめつけたのであった。

……てな話だったんですね、『オルフェオ』って(^O^)

などと妄想してしまったのも、第一幕と第二幕の演出を見たから。常々なんかこの部分は長い割にはあまり意味がないなあと思っていたのだが、牧人たちとニンファがイチャイチャしていやらし~い暗喩に満ちているとなれば、多いに納得。
なにせ舞台の「野原」ったら、ルネサンス時代の歌曲にも歌われているように若い男女のムフフな場所なのである。
というわけで、ニンファはみんな派手でエロいねーちゃん。キャバレーみたい。もう、ニヤニヤしながら見てしまったよ。

全体のデザインが上演時の時代のものを再現ということで、1600年あたりの衣装を採用していた。
なんと言っても「使者」の弥勒氏は紫のドレスが似合い過ぎですっ \(^o^)/
休憩挟んで現れた「希望」の上杉氏、水色のドレスがっ!ヽ(^^)/\(^^)、
もう、完全ノックアウト(@∀@)
花井尚美のプロセルピナはメイクや衣装がゴスの女王様みたいだった。さすが冥王の妃である。
それからなんと言っても、ラストに出現したアポロの櫻田氏。もう黄金色にピカピカ光り輝いちゃってス・テ・キ(*^-^*)  歌も力強くって今まで見たアポロの中で一番でしたわよ。

演奏の方もいずれも達者であった。オルガンのドーンという引き伸ばした低音がかなりキターッという感じ。
私が見たのは土曜日の方だったが、日曜日の方では熱狂的なスタンディング・オベイションが10分も続いたという。日曜の方が出来がもっとよかったのかな?

ただ一つ文句を言わせてもらえば、曲中であれだけのパーカッションの使い方をするのだったら、オペラにはなくて追加した、オルフェオがバッカスの巫女たちに殺される場面にもドカドカ使って欲しかった。なんだかあの場面だけ音楽がなくてすき間風が吹いているような感じだったんだよねえ。あれは残念ながら空白を埋めるだけのパフォーマンスではなかったと思う。

それにつけても、この一年間に『オルフェオ』を三種類も見ることができたという幸せ。もうこんな大盤振る舞いの年は二度とあるまい。
プロセルピナにしても波多野さんの恐妻野々下さんの愛妻、花井さんのゴスの女王--と色々見られてよかった。

【関連リンク】
《SEEDS ON HATENA》より「県立音楽堂の「オルフェオ」リンク」
向かうところ敵なし、どの感想も絶賛状態です。

《伊太利亜古楽三昧》
櫻田氏のブログ。当日登場の楽器が色々と見られます。

《ふいご屋の日常》
こちらでは前の関連記事をたどっていくと、歌手の衣装など色々な画像や、舞台裏が分かります。


えー、しかし、このような絶賛状態の中で私のようなトーシロが意見を述べるのはナンでありますが、私は音楽については極めて形式主義者なのでありますよ。(^.^;
従って、アントネッロのような演奏はちょっと……というか、かな~り苦手。
なので、通常のライヴでは行くことはないだろう。またバロックオペラをやってくれたらその時は聴かせてもらうことにしよう。

【追加】
「妄想オルフェオ」の続き、折角考えていたんで書いてみました。
まさしく「蛇足」ではあります(^^ゞ

〈第4幕〉
冥府組の事務所からようやっとエウリディーチェを連れ出したオルフェオだったが、言葉少なな彼女の様子が気になる。そして、彼の内側で疑念と不審がどんどんとふくれあがり、言うか言うまいか迷っていた言葉を遂に口にしてしまう。
「お前……もしかして他の男と」
バッチ~ン! エウリディーチェの鋭い平手打ちが彼の頬に飛んだ。
「あんたってサイテーの男!見損なったわ。人でなしっ!車を止めてちょうだい」
車のドアを開けると外に飛び出し、ネオン街の闇に消えていったのであった。
合唱「恐怖を組み伏せ極道の世界にも打ち勝った男、ナンバーワンホストとして星の数ほどの女を陥落した男も、愛する女のこころを理解できなかった。まこと、人の世の難しさよ。諸行無常の響きあり~」

〈第5幕〉
虎の子の貯金を借金の肩代わりで使い果たし、さらには二人の愛の巣のマンションの権利も抵当に入れてしまったオルフェオは、エウリディーチェに逃げられたショックで、もうホストの仕事もできない。彼女以外の女は全てドブスに見えてしまうからである。
たちまち、馴染みの客から「プレゼントした時計返してちょうだい」「高いブランドもんの服買ってやったのにー」などとクレームが相次ぎ、全てをむしり取られてしまう。
無一文&無気力となって倒れ伏す彼の前に現れたのは、現在駅前に積極展開中の風俗チェーン「太陽」のオーナーであった。彼の才能と経験を見込んで店長を任せようというのである。
「でも、エウリディーチェたんがいないんじゃ、ボクの人生は真っ暗だー」
と涙ぐむ彼にオーナーは
「なーに、この業界にいればいつかきっと再び巡り合うことができる。それに、女なんて金と権力ができれば自然に寄ってくるものよ、ワハワハワハハ(^○^)」
「ほ、ホントですか」
涙目ながらも思わずつられて微笑みながらオルフェオはオーナーにすがるのであった。二人の背後に「太陽」チェーンのネオンサインがピカピカと光り輝く。(幕)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年1月21日 (月)

「水上の音楽」「戴冠式アンセム」:ジョージ一世危機一髪

080121
第5回ヘンデル・フェスティヴァル・ジャパン「英国王室とヘンデル」企画2
演奏:エンリコ・オノフリ+キャノンズ・コンサート室内管弦楽団&合唱団
会場:浜離宮朝日ホール
2007年1月18日

目白聖公会の企画1からはや一か月以上。HFJの企画その2である。
今回はなんとエンリコ・オノフリを指揮に呼んで前半『水上の音楽』後半『戴冠式アンセム』を全曲演奏なのであった。
しかし、私は前回買ったパンフを持ってくるのを忘れてちょっとトホホ(+_+)な状態だったのよ。

さて登場したオノフリはかなりの巨体。その巨体を泳がせるようにして壇上で指揮する。あまりにもダイナミックな動作なんで客席から見てるとユーモラスな感じもするが、演奏者の方からはどんな感じなのか見てみたい気もした。
よくよく考えると、『水上の音楽』って有名でCDも何種類か持っているのだが、全曲通して生で聴くのはこれが初めてかも知れない。
ステージで見てみるとホルンとトランペットの掛け合いなど管楽器の生き生きとした動きを実感できた。

普通の解釈だとこの曲は流れるような流動性--というか、横の流れを滑らかに演奏するんだと思うが、オノフリの指揮下では縦の区切りを重視し、ゴツゴツとメリハリを付けていたように感じられた。
どちらかというと「水上」というより「激流の音楽」とか「山中の音楽」みたい。ジョージ一世の船も転覆しそうだ~(^O^)
しかし、調弦の時間を何度も途中で取ったりしてそこら辺の調整も大変だったようだ。

演奏者はオーボエの江崎さんなど幾つか知っている顔もあったが、全く知らない人が多かったような(老人脳で記憶が曖昧)。ヴァイオリンは若い女性ばかり、コンミスの人は初めて見たように思う。ホルンは一瞬、島田さん?と思ったけど、よくよく見たらBCJにも出ていたソックリさんの「兄弟」の人だったもよう。

後半のアンセムは、ある程度の規模の人数で歌われると迫力あり。ドドーッと迫って来てよかった。確か、この合唱団はプロだけじゃなくてセミプロの方もいたはず……でその意味ではちょっと物足りない所もあったが、全体的に躍動感に満ちていた。オノフリの指揮は前半よりこっちの曲の方に合っていたんじゃないかなと感じた。

演奏が終わった後、女性の演奏者と握手する時には必ず律義に手の甲にキス(*^.^*)して、さすがイタリア男であ~る。なお、日本人男がうかつにやるとセクハラと間違えられるので注意しましょう。

しかし、演奏中ずーっととある一つの疑問が私の頭の中を占めていたのも事実である。それは--
なんで ヘ ン デ ル や る の に オ ノ フ リ を ?

【関連リンク】
《♯Credo》
《演奏会定点観測》
他の方の感想です。


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年1月20日 (日)

「フレンチ・コネクション」:追跡劇率70%、主人公凶悪度100%

監督:ウィリアム・フリードキン
出演:ジーン・ハックマン、ロイ・シャイダー
米国1971年
*ビデオで再見

『ボーン・アルティメイタム』を観た時にネット上の感想を眺めていたら、「ドキュメンタリー風のアクション映画が初めて登場した」なんていう意見を見かけた。
しかし、私は「はて、元祖ポリス・アクションの『フレンチ・コネクション』がそもそもドキュメンタリー・タッチじゃなかったっけ?」と疑問に感じたので、古いビデオを引っ張り出して久しぶりに見てみた。

製作年度は1971年、日本公開は翌年である。アカデミー賞で作品・監督・主演男優・編集・脚色賞という王道部門を受賞。まさしくその年のムーヴィー・オブ・ジ・イヤーだったわけだ。
久しぶりに見ると、ジーン・ハックマン若い! まだ顔がツルツルしてるし髪もフサフサしている。--てなことはどーでもいいですね、ハイ。

『ボーン~』で私は追跡劇ばっかり続いて飽きた、なんてケチをつけたわけだが、こちらを見直してビックリ(!o!) なんと冒頭の4分の1以降はほとんど追跡劇の連続なんである。
まず、刑事二人が夜のクラブで怪しい男女をみかけて車でこっそり尾行。それから張り込み場面などが間に入って、今度は徒歩でニューヨークの街中から地下鉄のホームと車内での尾行する。ここは後年の映画でもかなり引用されているはず。
続いて映画史上名高い高架電車を車が追いかける壮絶なカーアクション。後にジェームズ・キャメロンが「どうやって撮ったのか分からない」とインタヴューで評していた。
ラストは廃工場?での追跡と撃ち合い。工場のような場所での追いかけっこは今では珍しくなくなってしまったが、この映画で舞台になっているのは後の廃墟ブームを先取りしたような不気味な場所だ。
いやはや手を替え品を替え、よくもこう追跡劇ばかり続けたもんである。しかし、いずれも手に汗握り、ハラハラしてしまう。
終盤に少しだけ銃撃戦が入るが、それも見事なものだ。

当時はステディカムなどない時代だから手ブレ風揺れる画面などほとんどない。にもかかわらず全編ドキュメンタリー・タッチが横溢している。
それはカメラの向こうの対象の突き放し具合である。登場人物の内奥や心理の描写など一切ない。どころか、中心である二人の刑事がどういう生活をしているのかとか、どんな出身かなどという背景の説明もない。ハックマン扮するポパイの私室は登場するが、ロイ・シャイダーの相棒に至ってはなんにも出て来ない。

ポパイは極めて暴力的で、人種差別的言辞を吐き、訳ワカンナイことを言って犯罪者をビビらせるが、彼が果たして警官としての職務に燃えて暴力を振るってしまうのか、それとも単に暴力好きだから暴力的なのか、何一つ描写はない。観客は映像を自分の眼で見てそこから判断するしかないのだ。(だから、ポパイがどうにも受け入れられないんでこの映画も嫌い、という意見が見受けられる)
そういう意味で極めてドキュメンタリー的なのである。

また、うるさくて汚い街の雑音を大きく拾っている(同録?)のも寄与しているかも。場面のほとんどで音楽よりもデカく聞こえるぐらいだ。
また、フリードキンは後の『L.A.大捜査線』でLAの街を小汚く撮っているが、こちらのニューヨークも小汚い。汚い街を撮らせたら右に出る者はいないくらいだ。

ポパイのキャラクターは今だったら絶対に主人公にならないだろう。やはり家族を愛し子ども好きで--みたいじゃないと今時の主人公は勤まらないのよ。
それに当時はニューシネマもあったし、アンチヒーローの類いが流行っていた。『ダーティハリー』も同じ年の製作である。

ラストはオープンエンディングというか何がどうなったのかよく分からないようになっている。これがアクション・エンタテインメントの形式をブチ壊していて素晴らしい。自らの暴力性に突き動かされ混沌の闇に消えていった男の行く末を象徴している。
だが、ヒットしたのにこの終わり方はなかろうという意見多数だったのか、続編が作られた。監督はフランケンハイマーでもちろん出来に文句は全くないが、「続編」と考えると余計なお世話、であろう。

有名な高架電車と車の追跡劇は、無許可でゲリラ撮影したそうである。ええーっ!てな感じだ。だって、反対車線走ってるよ……。
また、その最後に電車が脱線しないのがいくらなんでもおかしい、ということでこの作品の唯一の欠点のように言われて来たが、〈allcinema ONLINE〉の感想の中に、ATSが働いて減速したが完全停止する前に衝突したのだから脱線しなくていいのだ、という書込みがあって感心した。恐るべし、鉄道マニア。

私が最初見て意表を突かれたのは、狙撃された後のビルの窓に小さい子どもが二人覗いている場面である。これには驚いた。これは演出か、それとも偶然なのだろうか。どちらにしてもスゴイの一言だ。

--などと思ってたら、DVDには監督と主役二人のコメンタリーが入っているという。くそ~っ、金もヒマもないのにまたも物欲がーっ ω(T_T)ωメラメラ
でも正直なトコロは、デカい映画館のスクリーンで一度見てみたいもんである。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年1月19日 (土)

「勇者たちの戦場」:「内向き」の正義

監督:アーウィン・ウィンクラー
出演:サミュエル・L・ジャクソン
米国2006年

年末から年の初めにかけて「時間差二本立て」(?)で銀座シネパトスにかかった後半の作品。前売券がどちらの映画でも使えるようになっている。てっきりイラク戦争ネタのアクション物かと思っていたら、どうも違うようなんで行ってみた。

邦題は内容的に逆だろう。「勇者たちの帰郷」が正しいんじゃないの。ある意味米国では定番となった帰還兵の帰還後の軋轢を描いた作品である。

冒頭、医療支援のため米軍基地から出た一隊をテロリストが襲撃。激しい戦闘の結果、死人や怪我人も出る。
物語はその中の四人の帰還後の、周囲との葛藤が中心となる。彼らは精神的肉体的にもダメージを受けているが、帰国してみれば本国での日常はのほほんと変わりなく続いている。これは耐え切れないことだ。その怒りは外部あるいは自分自身へと向かう--。

中でも、サミュエル・L・ジャクソン扮する軍医の家庭の場合は、帰還した側、迎える家族の側双方の立場に立ってそれぞれ描写されているので、どちらの心理も分かって観ていて息苦しくなっちゃって救いがない。思わず座席の上でモゾモゾ体を動かしちゃう。
他の3人のケースも同様。また演じている役者がみな上手いんで余計に感情移入してしまうのが、観ていて難だ(-o-;)
奥さん役の女優さんがどこかで見た顔だと思ったんだけど、どうにも思い出せず。

ラストは一応救いがあるような形になっているが、なぜか戦争という社会的な題材を扱っていながら、全ては個人の感情の問題へと収束されていく。個々に悩み、個々に解決するしかない、とでも言いたいようだ。つまり「カウンセリングを受けなさい」ということである。
軍医と息子の会話に政治ネタは少し出てくるが、結局は政治的・社会的な問題はきれいに「スルー」されているのだ。
そして結論は「みんなに歓迎されずとも正義のためなんだから、必要とあればまた戦う」では、あまりになんだかなあ……。どうも全てが内向きなんだよねえ。

役者も演出も題材も文句はないんだが、ここに描かれている主張だけはどーにも受け入れがたいという困った映画である。

堤未果の『アメリカ弱者革命』という本によると、2004年の段階でイラクにいるアメリカ兵の6人に1人が重度の精神障害を持っており、これから精神的治療が必要になる兵士は10万人を超すとのこと。それも帰還兵用の施設は順番待ちで一年待たなければならないが、治療には35年かかったりするのだ(映画の中にも、ベトナム帰還兵でいまだにカウンセリングを受けている男が出てくる)。
さらに米国内のホームレス350万人のうち50万人が帰還兵だとのこと。もはや、立派な社会的問題である。

また、この作品で登場するのはみな成人だが、実際には高校卒業時の何も知らない若いモンを軍がリクルートするパターンが多いらしい。除隊後は大学行けるとか、実際に戦場へ派遣される確率は低い、とかウマイことを言ってだまくらかすそうな。こりゃ、国家的詐欺ぢゃないの。(@∀@)

そういうことを合わせて見るとますます気が重くなるのであった。(~_~;)
そして、都市伝説並みに茫漠たるウワサになっている、かの地に派遣された自衛隊員の物語もいつかこのように虚構の形であっても知ることができるのであろうか?


ところで監督のアーウィン・ウィンクラーって色んなタイプの作品なんでもござれってやってるんだねえ。前作はコール・ポーターの伝記『五線譜のラブレター』だもんな。しかもその前にプロデューサーとしての経歴が長く、映画史に残る錚々たる作品を扱っている。年齢は80近い? いやはや元気である。


主観点:5点
客観点:7点(役者の演技に1点プラス)

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年1月15日 (火)

日本インターネット映画大賞外国映画部門・勝手に番外編

恒例の番外編であります。
なお、偏見と独断とイヤミに満ちていることを予めお断りしておきます。
抗議・苦情・不平不満の類いは一切受け付けません。(~ ^~)

【最優秀オヤヂ賞】
サミュエル・L・ジャクソン(「ブラック・スネーク・モーン」「フリーダムランド」

「ブラック~」で聖書つかんで家から飛び出す場面は、思い出す度に笑ってしまう。

【最優秀オバサン賞】
ヘレン・ミレン(「クィーン」

なんてったって、一国の女王ですから。

【最優秀動物賞】
ネズミのレミー(「レミーのおいしいレストラン」

ウチの朝飯も作って欲しい。

【見てると目が回るで賞】
「キングダム/見えざる敵 」
「ボーン・アルティメイタム」

もうダメ~(@_@)

【最多殺人賞】
「ザ・シューター/極大射程」の主人公

いや、別に数かぞえた訳じゃないんですけど(;^_^A

【最悪トラブル賞】
映画版「ザ・シンプソンズ」声優変更問題(関係記事)。

というわけで未だ見ていない。DVDのオリジナル吹替えを待つよ。

【ピアノひっくり返し賞】
「4分間のピアニスト」

これは本来「ちゃぶ台ひっくり返し賞」として続けられて来た伝統と栄誉ある賞ではあるが、今年のみタイトルを一部変更した。
元々この賞は、見終ってあまりの結末に思わず「なんじゃ、こりゃ~。観客をなめとんのか!」(ノ-o-)ノ ~┻━┻ガシャーン と、ちゃぶ台をひっくり返したくなる気分になる映画に与えられるのだが、今年はピアノをひっくり返したくなったということで。

【ワースト映画賞】
「パフューム ある人殺しの物語」

過去のヘンタイ監督の作品のおいしい所を真似しているようだが、残念ながらこの監督自身はヘンタイでもなんでもないようで……。
裸が多数出てくるからエロいというわけではない、という好例であろう。
あー、詰まんない。もっと心躍るヘンタイ作品はないのかのう。


なお、今回は【最強(あるいは最凶)邦題賞】【最優秀銃撃戦賞】は該当作無しとなった。残念無念である(T_T)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年1月14日 (月)

日本インターネット映画大賞外国映画部門へ投票

今年も参加させていただきます。
スタッフの方、乙!であります。

[作品賞投票ルール(抄)]

 ・選出作品は5本以上10本まで
 ・持ち点合計は30点
 ・1作品に投票できる最大は10点まで

【関連リンク】
「日本インターネット映画大賞ブログ」
「日本インターネット映画大賞 オフィシャルサイト」

-----------------------------------------------------------------

【作品賞】(5本以上10本まで)
  「ブラックブック」 5点
  「パンズ・ラビリンス」 5点
  「エレクション」 4点
  「ドリームガールズ」 4点
  「ユゴ 大統領有故」 4点
  「プレステージ」 3点
  「キングダム/見えざる敵 」 3点
  「パラダイス・ナウ」 1点
  「ガイサンシーとその姉妹たち」 1点

【コメント】
昨年は鑑賞本数が少なくて(特に後半)本当はベスト出す資格もないくらいだった。今年は頑張りたい。
観た時に点数が高くても真面目なヤツより、結局選んだのはひねくれた作品となった。
『ユゴ』は年末の度壇場になってキターッという感じ。やはり韓国映画侮りがたし!
ドキュメンタリー枠では『ガイサンシー』を選択。完成度自体は決して高くないのだが、色々と考えさせられたので。
『キングダム』はこの作品自体が能天気な米国を体現しているのか、それともその能天気さを皮肉っていると見るかで評価は正反対になると思うが、もちろん後者だと解釈した。だって、ひねくれ者だもんね。
『エレクション』はカカオ100%じゃなくて、どす黒き情念渦巻くノワール度100パーセント作品。なのに、どうして続編公開してくれないのよ。号泣しちゃうよ。


-----------------------------------------------------------------

【監督賞】              作品名
   [ポール・バーホーベン] (「ブラックブック」)
【コメント】
『パンズ・ラビリンス』のデル・トロはどうせ点が入ると思うのでこちらに。
神もイデオロギーも正義も信じない凶悪オヤヂ監督の、次から次への波状力技攻撃に参りましたッ<(_ _)>

【主演男優賞】
   [サイモン・ヤム] (「エレクション」)
【コメント】
一昨年とは逆に去年は男優賞の方が選ぶのが難しかった。秩序と伝統を重んじ、穏やかな父親でもある男がラストで豹変する様に、思わず(>O<)ギャ~~ッ!
ところで、続編公開ダメならDVD発売だけでもお願いします。

【主演女優賞】
   [カリス・ファン・ハウテン] (「ブラックブック」)
【コメント】
ヘ●までさらけ出した体当たり演技に進呈したい。あ、あと○○○も頭からかぶってたし。(汗)

【助演男優賞】
   [エディ・マーフィー] (「ドリームガールズ」)
【コメント】
オスカー逃した残念賞の代わりってことで。色んな歌手のスタイルを再現してるのは何気にスゴイ。

【助演女優賞】
   [イメルダ・スタウントン] (「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」
【コメント】
イヤミな悪役をイヤミ無く演じていたのに感心した。

【新人賞】
   [ゲラ・バブルアニ] (「13/ザメッティ」
【コメント】
この部門や俳優賞では子役は避けることにしている。というわけで、脚本・製作も担当した監督に。ワンアイデア物ったらそれまでだが「回せ、回せ、もっと回せ~」が耳について離れない。

【音楽賞】
  「ブラック・スネーク・モーン」
【コメント】
主人公がひとたびギターをアンプに繋いで弾き出すや、雷鳴轟き、嵐が渦巻き、遂にはブレーカーふっ飛ぶ怒濤のプレイ。ブルースファンならずともロックファンも心躍るのは間違いなし。これは「音楽が出てくる映画」ではない。音楽自体が主題の映画である。


-----------------------------------------------------------------

【勝手に○×賞】
【ドアップに耐える顔で賞】
   [ローラ・ダーン] (「インランド・エンパイア」
【コメント】
ドアップに耐えてよく頑張った。感動したッ!
だが、はたして耐えているのはL・ダーンなのか、それともそれを延々と見せられている観客の方だろうか。

【最優秀悪役賞】
  [ワルデマー・コブス](「ブラックブック」)
【コメント】
外見はブヨブヨ太った典型的悪役。役柄的にも唯一の真正ワルモノなのであるが、ピアノ弾きながら歌った上にダンスも達者、さらには自分のイ××ツまで披露したのだからして、この栄誉ある賞に最もふさわしいと考える。

なお、これ以外の特別賞は別記事にしますので、乞うご期待!

-----------------------------------------------------------------
 この内容(以下の投票を含む)をWEBに転載することに同意する。
-----------------------------------------------------------------

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年1月13日 (日)

「ユゴ 大統領有故」:笑う大統領暗殺

監督:イム・サンス
出演:ハン・ソッキュ、ペク・ユンシク
韓国2005年

韓国の朴大統領暗殺事件は当時大騒ぎになった……とは思うがなにぶんにも30年も前の話なんで、実はよく覚えていない(^^ゞ
それを扱った映画で、しかも本国では上映の際に裁判沙汰にまでなったというではないか! おお、これは久しぶりにバリバリの硬派社会派だぞーと鼻息も荒くハアハアと意気込んで見に行ったのであった。
大体にして、映画見ること自体一か月ぶりぐらいか? こんなに映画館に行かなかったことは久しくないというぐらいだ。

が……上映が始まってすぐに予想は完全に裏切られた。
冒頭は、白亜の豪邸(←死語?)のプールにたくさんの若いねーちゃんが遊んでいて、その内の何人かがト○プレス(スパムTB予防のために一部伏せ字とさせていただきます)になって水に飛び込む場面から始まる。
その傍らの邸宅の一室では、やり手風の母親が若い娘とともに「あの方に一晩尽くして、大変ご満足してもらえたんですから--」と切々と訴え、何とか金をせびろうとしているではないか。
あの方とは大統領のこと、せびられているのは韓国中央情報部の課長である。別宅の警護とは名ばかり、実は若い娘っ子のお世話が彼の仕事なのであった。

てな感じで、最初からかな~りシニカル&トホホな印象でずっこける。だーって、あなた、当時のKCIAったらモサドの次ぐらいにコワイ機関ですよ。少なくとも当時のアクション小説ではそれが常識。もう名前を聞いただけでベッドの下に潜り込みたくなるほどだ。それなのにこのトホホ感はなによ(^^?

一方、KCIAトップの部長も他の大統領側近にいびられたり、健康状態が悪いのに色々お付き合いしなくちゃならないのでストレスはたまる一方。ここら辺は、なんだか企業のワンマン社長の下の管理職の悲哀みたいである。
かくして不満はたまり、綿密な計画の元に暗殺が--てなことはなくて、「もうガマンできん、今夜決行だー」なんてかなりいい加減に始まってしまうのであった。
かわいそうなのは下っ端の情報部員。計画はなんにも知らされてなくて、いきなり「あいつらを撃て」とか言われて、命令に従ったらタイ~ホ&死刑ではやってらんない。まさしく下っ端はツライよであろう。

もっとも銃撃戦や暗殺の場面は、監督が『ゴッドファーザー』を念頭に入れてたとか言ってただけあって相当な迫力である。ここら辺の落差がまた面白い。

しかし、その後の展開にもお笑いなトホホ事態は続くのであった。中には「ええっ、こりゃウソだろう。ジョークぢゃねえの」みたいなおマヌケな事件が幾つも出てくるが、これがまた実際に起こったことだという。

最終的には陰謀発覚で、登場人物の後日譚が語られるのだが、それもやはり淡々とかつシニカルなもんである。
ラストは葬儀を撮った実際の記録映画を使っているが、裁判沙汰になったのはその部分と冒頭のプールの場面で、削除判決が出されたとのことだが(まだ係争中)、制作側はわざとそこを音声だけの「黒塗り画面」にして上映したという。やるねっ(^o^)b

思うに、この映画がマズイとされたのは本質的に権力者をおちょくっているからだろう。削除事件はその一端に過ぎないのでは、と推測する。
大統領と側近の宴会の会話で「非民主的だと非難されているが、世界に民主主義の国などほとんどない。我が国には野党がいるだけマシだ」なんてのが次々出て来て、言いたい放題で笑ってしまう。いくら昔っても、たかだか30年前の政治家をよくもこうおちょくれるものだと感心だ。

それからもう一つ印象深かったのは、大統領や側近が肝心な部分の会話になると日本語を使い、さらにはマル秘宴会で若い女性歌手をはべらせて日本の演歌(「悲しい酒」とか「北の宿から」)を歌わせてウットリ聴いていることだ。
世代的には日本占領下で教育を受け、大統領に至っては日本陸軍の将校にまでなったというから不思議ではないのだが、ここで注目したいのは暗殺する側、される側、いずれにしても共通一貫して男同士のホモソーシャルな繋がりに終始しており(女の主要登場人物は宴席にいた二人の娘ぐらい)、しかもその繋がりを強固にする共通言語、共通文化が「日本」に他ならないということだ。ここにおいて「日本」の存在とはなんなのかと考えてしまったよ。
当時、日本文化は完全流入禁止で一般庶民は日本の歌謡曲など聴けるはずもなかったのだが、その一方で権力者の共通言語になっていた、という描写に表面上のトホホ感に関らず監督のイヤミにして強烈な反骨精神を感じた。

さて、インタヴューで「公式発表では、暗殺の時の宴席で女性歌手が歌ったのは韓国歌謡だとなっていますが」と質問された監督は「拷問もあった警察の取り調べで、日本の歌を歌ったなんて正直に言うわけがない! 私のシナリオの方が事実に近い」と断言したという。いやー、こういうヤツ大好きだ~ \(^o^)/


ところで上映館となったシネマート六本木、初めて行ったのだが、六本木の中心地に近いのに前の道が行き止まりになってたりしてなんとなく場末感ただよう場所。さらに変な形をしたロビーを見るに、どうも潰れたゲーセンを改造して映画館にしたんじゃないか、なんて疑ったりして……(^o^;ナハハ
いや、シャレこいた六本木ヒルズなんかよりずっと好感度高いですよ、ハイ。


主観点:8点
客観点:8点

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年1月11日 (金)

チャカ・カーン「ファンク・ディス」

080111b
Chaka Khan:"Funk This"
Burgundy Records2007年

なんでもオリジナル・アルバムとしては約10年ぶりとのこと。新作曲とカヴァーが半々ずつぐらいで入っている。どの曲もエネルギッシュ極まりない。一体トシ幾つだ?とか思っちゃうほど。聞かせどころのツボを全く外してない。
女性シンガーはある程度歳を取ると、最前線にはついていけず別の路線へ変更--なんてパターンが結構あるから、この活躍ぶりは嬉しい限りだ。

途中にジミ・ヘンの「砂のお城」が出て来てビックリ(!o!)したかと思えば、さらにジョニ・ミッチェルの"Ladies' Man"はノリが良くてしばらく前に出たトリビュート盤なんかよりずーっといい出来。で、個人的には"You Belong To Me "が懐かしさにグッと来ました。オリジナルのマイケル・マクドナルドも登場してデュエットに、もう「ゆーびろんぐとぅみ~ぃ~」なんて一緒に歌っちゃうよ。~(^O^)~

アレンジもバックも言う事なし。よほど優秀なスタッフがいるのかと思ったら、プロデューサーがジャム&ルイスだった。もう、こちら方面の事情には完全に疎くなってしまったが、この二人まだ頑張ってたのねー。

今のところ一番のヘヴィー・ローテンション・アルバムである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

フー・ファイターズ「エコーズ、サイレンス、ペイシェンス・アンド・グレイス」

080111a
Foo Fighters:"Echoes, Silence, Patience & Grace"
RCA2007年

サイドバーの「聴かずに死ねるか」で紹介した時には四つ星をつけたんだけど--
すいませんでした _(_^_)_ ガバッ
五つ星に訂正させていただきます。

前作は二枚組になっていて、アコースティック・サイドとハードロック・サイドに別れていたが、あんまりアコースティック面の方が良くなかったという印象を受けた。(世評は逆だったみたいだが)なんか二枚分の代わりに中身が薄くなったような感じだったんだよねー。

しかし、今回は一枚だけでスッキリ(^o^)b ハード面とアコースティック面がほどよく混ざり合っておるではないか。やはり収録曲数を下手に増やすと気が抜けてタラタラになってしまう恐れがあるのよ。

デイヴ・グロールのボーカルもこれまでになく味わいがあって、噛めば噛むほど味が出るスルメ状態。いいのであ~る。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年1月 6日 (日)

今年の目標:品格なきブログを目指します

えー、今年の目標なんつってももう6日だねえ。あ、でもまだ松の内だからいいか--って、今年の目標宣言に松の内とか関係あるのか分かりませんが。

こちらの記事を読むと、世は「品格」ブームらしい。そのうち「ブログの品格」とか言い出すヤツも出てくるんじゃないのか。冗談じゃねえよ。
となれば、ひねくれ者たる私は当然、品格のないブログを目指すんであります。
しかし、これが難しい(~_~;) もちろんエロくてキレイなネーチャンの画像の二枚や三枚貼り付けておけば簡単かも知れんが、これでは「品格なき」ではなくて単に「下品」なだけである。

ということで下半身ネタに安易に走らない、真の品格なきブログを目指したい所存であります。

なに? ネット界なんて品格のないヤツがウヨウヨしてるから大丈夫だって?
それを言っちゃあオシメエよ~∈^_^∋

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2007年12月 | トップページ | 2008年2月 »