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2008年1月31日 (木)

「再会の街で」:うまい役者がいればそれなりの体裁は取れるが

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監督・脚本:マイク・バインダー
出演:アダム・サンドラー、ドン・チードル
米国2007年

うーむ、事前の予想とは違ってかなり「ぬるい」映画だった。音楽の使い方がいいというので見に行ったのだが、それも今イチならぬ今サンぐらい。そういう点ではかなり期待外れだった。

歯医者として成功して何一つとして文句の付けようのない生活をしている男が、街中でかつての大学時代のルームメイトに出会うが、そいつは911で妻子を全員失い、ショックで主人公のことも覚えていなかった……。
というのだけど、なんだか脚本の焦点が定まらなくて何を描きたいのか、とっ散らかっている印象だ。
二時間強の上映時間の間中に「これは一体どういう展開になるのだろう」と思っていたのだが、それは先が読めないというのではなくて、何を中心に描きたいのかよく分からなかったからだろう。

歯医者の主人公は妻と娘二人の「女文化」に飽き飽きしてて、事故の後遺症で「男の子」に戻ってしまった旧友と、ゲームやら、バンドごっこや、映画のオールナイトに行くという「男の子文化」にハマるというのは分かる。裕福な暮らしをしていても、両親や妻や仕事の同僚とうまく行ってなくてうっ屈してるのも分かる。迷惑な患者に引っ掻き回されて困るのも分かる。
が、それらの要素がなんだかバラバラに存在していて、最後に余り者同士で割れ鍋にとじ蓋状態に納まってメデタシメデタシでは……なんなのよと思ってしまう。
特に離婚女の存在はなんだかなーという感じ。

役者はみんなうまい人ばかりなんで、そこら辺は文句はないんだけどねえ。
アダム・サンドラーはコメディアンのイメージから大転身。髪型といい、ファッションといいボブ・ディランみたいでビックリだ。
『スタ・トレ』のQやドナルド・サザーランドも短い時間だけど特出。

『クラッシュ』以降の悪影響というか、不幸な人間を並べて上手い役者に演じさせればそれなりのものが出来てしまうという錯覚は大いに問題である。で、結果今ひとつ深さが足りないような--。
特に、ラスト近く旧友男が亡くなった妻の両親に向かって、あんた達は二人で苦しみをわかち合えるからまだマシだみたいなことを言う(それに比べて自分は一人だからわかち合えない)。
だが、本当にそうだろうか? 二人いたら、苦痛や悲しみも二倍になる可能性もあるとは考えないのだろうか。

以前、新聞記事か何かで、子どもを事件か事故で突然失った夫婦が結婚生活自体うまく行かなくなって離婚してしまったというのを読んだ記憶がある。
また、これはフィクションだがTVドラマの『ホミサイド』で、犯罪の被害者の遺族3組が集団カウンセリングをするエピソードがあった。夫を失った若い妻が、妻を亡くした男に対して「でもあなたは子どもが残っているからまだ慰めになる。私たちには子どもがいなかったから」と言うと、男は「そんなことは関係ない」と吐き捨てるように答えるのだった。(←かなりいい加減な記憶で書いております)
結局、男の頑な態度が原因で他の参加者と喧嘩沙汰になってしまうのだが、このエピソードと比べると、こちらの映画は「なんだか軽いなあ」と思ってしまった。

音楽は個人的に思い入れのある曲も使われていたが(『ザ・リバー』のヴィニール盤いまだに持ってるぞい←と、エバってみる(^o^;)どうもピンと来ない使い方なのである。著作権の問題とかあるのかも知れんが、歌詞の訳も出して欲しかったねえ。
と、見れば担当者はあの冥王の回し者こと「あの人」ではにゃあですか。意外な所にまた出現を……(^^;


ところで、主人公の歯医者に向かって「エレベーターでよく見かけた」--というセリフがあるが、私がかかっている先生はいつもマスクしてメガネかけて白い帽子かぶってるから、顔が分かんない。普段どっかで出くわしても絶対気づかねえぞ。
あ、声聞けば別だけどさ(?_?;


主観点:5点
客観点:6点

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受信: 2008年1月31日 (木) 21時01分

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