「アメリカン・ギャングスター」:この映画の教訓は
監督:リドリー・スコット
出演:デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ
米国2007年
実在のアフリカ系麻薬王と、正義感が強過ぎてはみ出し者となった刑事の闘いを描いた話題作。人気もある演技派の役者二人に監督の名前だけでも、十分評判になる素地はある。
主人公のフランクはいつもスーツにネクタイ姿、きちんとした物腰、ビジネスの才あり、儲けた金はマジメに地元に還元--しかし、問題なのは彼が扱っているのはドラッグだということだ。
一方、刑事のリッチーはよれたジーパンを愛用、女関係にだらしなく離婚調停中、ただしワイロは絶対受け取らねーよ--と対照的なのであった。
この二人の私生活の描写をまじえつつ、密かな対決まで持っていく。その長丁場を飽きさせず見せる手腕は見事なもんである。また、当時の町並みやファッションなどの再現も目を引く。
脇役(特に悪徳警官のジョシュ・ブローリンとマフィアの親分アーマンド・アサンテ)もいい。ただ、妻となるミス・プエルトリコがそんなに美しく見えない(というか、魅力がない)のが問題だー。
しかし、観ている間の重量感にも関らず、なぜか見終ってしまえばアッサリ何も残らず、というのはハテどういう事じゃろか(?_?)
面白かったけど、感心はせず。リドリー・スコットまたやってくれちゃいましたな……という所か。
でも、向こうののアフリカ系の若いモン(と一部の日本の若いモン)はフランクの事を「クール」だと憧れちゃうんでしょうなあ( -o-) sigh...
不満に思うのは、やっぱり二人とも結局は「いい人」に描かれていること。最近のハリウッド映画の弱点がまたもや出た~ッ。
『フレンチ・コネクション』(ロイ・シャイダーのご冥福をお祈りします(-人-))とか『ヒート』が引き合いに出されるが、善と悪の捉え方が全く違う。あと、近作では『エレクション』の礼儀正しい組長が似ているが、あちらみたいに「君子豹変してコワイよーん」というような面もない。
ラスト・クレジットの後に一瞬出てくる場面は??「復讐した」ってことか。意味不明である。
で、結論は「ファッション・センスのよい奥さんを貰いましょう」という教訓でよろしいかな、皆の衆。
主観点:6点
客観点:7点
【関連リンク】
《ツボヤキ日記★TSUBOYAKI DIARY》
映画の裏話が色々出てきます。問題の場面も……。
《元・副会長のCinema Days》
辛口評ですが、その分析には納得です。
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