あの人は今--内田善美の巻
以前の記事で、山田ミネコと樹村みのりが「あの人は今?」状態であったことに触れたが、もう一人懐かしい名前を見かけた。
実は全く関係ない政治ネタのリンクによってこちらの《AmlethMachina's Headoverheels》にたどりつき、ついでに「ゴシック」のカテゴリを眺めていたら遭遇したのが「内田善美とセピアカラーのノスタルジア」である。
しばらく耳にしなかった(目にしなかった)名前だなーと思いつつ懐かしさと共に記事を読ませてもらった。しかし、よく思い返してみると彼女の作品は今ひとつ理解しづらいところがあって、一応単行本は全部持っているが、残念ながら「ファンである」とまでは言えないのであった。当時、ただひたすら硬質で美しい線と画力に驚嘆してていたような気がする。
もっとも、歳月が過ぎてはや××年、今また読み直してみれば理解できるだろうか。
今でも印象的なのは、どの作品だか忘れてしまったが(^_^;)少年が年上の中年男に向かって「お皿の裏を洗わないなんて」と非難する場面だ。毎日皿を洗う度に思い出して、「おっと裏側も洗わなくちゃな」とゴシゴシ洗っている。
それにしても作品が再刊されないのは残念である。若い人が触れる機会がなくなってしまうからだ。ほとんどの若いマンガファンは名前も知るまい。とはいえ、文庫の大きさで出されてあの絵を見たとしてもなんだかなあという感はある。
リンク先の記事だと「作者のその後の消息は不明」となっているが、2ちゃんの過去のスレ(ここですな)を見ると、マンガ界とは縁を断って再刊の要請も断っているという説が出ている。
この時点でも「男性説」が取りざたされているのは驚くが、以前は「三原順男性説」やら萩尾望都を男だと思い込んでいたヤツ、などもあったのだから仕方ないのか。
ちなみに私が完全にだまされたのは 「かわ みなみ」 「かわみ なみ」だ。だーって、いかにも「男が無理して少女マンガ風に描いてみたマンガ」だったじゃないですか。違う(^^?
「消息不明」にしても「マンガ界とは断絶」にしてもこの人にいかにもありそうな「伝説」めいた話だから、どちらでも納得してしまう。
話は変わるが、上記のブログの「ゴシック」カテゴリに出てくるミュージシャン名も懐かしいのが多い。私は平凡なロック者だったので、多くは名前ぐらいを耳にしていた程度だが、4ADレーベルは音とアートワーク共にその一貫した美意識に圧倒されつつアルバムを手にしていた。
また、コクトー・ツインズも当時よく聞いたもんだが、マイ・ブラッディ・バレンタインの「ラブレス」に至っては、回数的にはレコードの溝が削れるぐらい聴きまくった--と言いたいところ。実際にはCDなんですり減りはしなかったけどね。
当時、あのアルバムを出したためにレーベルが潰れてしまったというウワサが流れたが、どうだったんだろうか?
彼らの新作も「出る出る」と言われたまま現在に至るが、スティーリー・ダンのように二十数年経ってアルバムを出した例もあるぐらいだからして、まだどうなるか分からないのである……と一応言っておこう。
……と、思ったら日本に来るんですねえ。《Cottonwoodhill 別別館》より「(発表)FUJI ROCK FESTIVAL '08の出演者 第1弾」
→こちらはコクトー・ツインズです。
【追記】
「かわみなみ」の表記訂正しました。国立国会図書館のHPから検索したら、しっかり「かわみ,なみ」でしたな。
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コメント
あまりになつかしいお名前でつい出てきました。私もコミックス全部持ってます。残念ながら画集は持っていない。すばらしい絵に驚嘆しつつ、好きな作家ではあるいけれど、モトさまのようにのめり込まなかったという結果でしょうか。作品を観なくなって久しいのに、記憶に残ってます。やっぱり復刊は無理なんでしょうねえ……
山田ミネコさんは同人誌即売会でよくみますよ。
コミケで真乃呼さんを観たときもなつかしさがよぎりました。
樹村みのりさんは、あまり絵柄的にファンじゃないんですが、ダンナがずっと持ってます。私はなぜか、同人出版のヤマギシズムの話の本だけ持ってます、
かわみなみさんって、私ずっと「かわみ なみ」だと思っていたんです。でも、いろいろな表記をみても姓と名前の間に1文字あいてるのがないんですよ。ペンネームだろうけど。
……年代がばれちゃうネタでした。
投稿: しの | 2008年3月10日 (月) 21時15分
あー!確かに「かわみ なみ」かも。最初「かわ みなみ」だとばかり思い込んでいたのが、何かの機会に「かわみ」で切れると知ったような記憶が……(^^;
この件はもうちょっと調べてみますです。確か別の雑誌に移って漢字の表記に変えたような気もしますねえ。
同年代の職場の同僚や友人に聞いてみたけど樹村みのり、知りませんでした。そもそもマンガ読んでた者が少ないんだけど。ましてや内田善美となると……。
あれだけ独自の世界を築いた人が忘れ去られていくのみというのは、もったいないような気がします。
投稿: さわやか革命 | 2008年3月11日 (火) 22時32分