バッハ「ヨハネ受難曲」:額に汗して聴く
演奏:オランダ・バッハ協会合唱団&管弦楽団
会場:紀尾井ホール
2008年2月25日
結論から先にいうと「うーむ、ビミョ~」。
さらに前向きな意見を述べれば「演奏家はいろいろ、バッハもいろいろ、こういうのもあり」というところか。
事前に来日ツァー(ハード・スケジュール!)の他所の公演の記事を読んでいたので、ある程度予想はしていたが、実にビックリな演奏だった。
歌手が三カ所に分かれているし(エヴァンゲリストがあんな脇にいるのを見たのは初めて)、通奏低音のチェロ、オルガン、コントラバスが一段高い壇にいるし、そもそも一パート一人方式で全体的な人数自体が少ないし……。
さらに不思議なのはヴァイオリンやチェンバロの音が埋もれちゃってあまり聞こえて来ないのに、テオルボがよく聞こえてきたこと。ありえねぇ~という感じだ。下のリンクの記事ではないが、PAシステムかなんか使ってたんじゃないかと疑っちゃうほどである。これで兵庫では2000人のホールでやったってホントか?
紀尾井ホールは久しぶりに行ったが、今までそんな事を感じたことはなかった。ただ、かなり発売から日が経ってからチケット買ったんで、端っこの座席だったせいがあるかも知れない。
歌手のスタイルはやや「濃ゆい」印象。例えば、テュルク氏はBCJの時だとペテロの否認の場面はストレートな力強さで勝負するのが定番だが、今回はゴムのごとくビヨビヨ~ンと長く引き伸ばし、さらにそこを通奏低音が不安をかき立てるように伴奏するのであった。
それから対話の部分は歌手が向かい合って歌うなど「劇」的な表現を心がけていたようである。
しかしですね(v_v)……どうなんでしょう。極めて個人的な印象であるが、一パート一人方式と劇的な表現はあまり合わないような気がするんだけど。
おまけに、後半はホール内が熱くて熱くて汗かきながら聴く羽目になった。おかげで肝心の終盤にモーローとなってしまう情けない事態だったのよ。
本来はこの公演行く予定はなかったんだけど、前評判が極めてよかったのと、バッハの受難曲というと最近は毎年BCJの公演ですませてしまっているのが恒例となっているので、これではイカンと思ったからである。
しかし、近年はめっきり気力・体力が衰えたため(バッハ・イヤーの時は確か一週間のあいだに受難曲三回、ロ短調ミサ一回行ったような記憶が……とても今は無理だー)、この一週間後のM・パドモアが中心となったエイジ・オブ・エンライトメント管弦楽団はパスするつもりだったが、今回のコンサートのおかげでモーレツに行きたくなってしまい、結局土壇場でチケットを買うことに--トホホ(T_T) ドツボにはまるとはこのことか。
ちなみにTV収録が入っていて、3月21日に教育TVで放送されるそうである。行けなかった方はご覧下せえ。でも、音のバランスなんかは修正するんだろうなあ。
【関連リンク】
《古楽ポリフォニックひとりごと》より「【感動した人は読まないで!】オランダ・バッハ協会のヨハネ」
タイトル通りやや辛口めの感想。しかし、ミクシィに超罵倒モードで書いてた人に比べればそれほどでもないんでは(^^;)
【追加リンク】
《Programmes》
TV放映の感想。「大概こういうことすると演奏者はぼろぼろになっていざこざが起きて仲たがいとか」……クイケン兄弟なんてもう結構な歳のオヤヂもツアーで酷使されてるわけですなあ。
それにしても、テノールの人がどうも今一つ冴えなかったのは、そういう訳だったのか。
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