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2008年3月12日 (水)

「エリザベス:ゴールデン・エイジ」:女王様と北島マヤの共通点は

080312
監督:シェカール・カプール
出演:ケイト・ブランシェット
イギリス・フランス2007年

先日、わたくし美容院に行きましたら美容師さんが「週刊王朝女性」を持ってきてくれましたの。表紙にデカデカと「イングランドのエリザベス対スコットランドのメアリー・スチュアート、対照的な女王の生き方、あなたはどっちを支持?」なんてあるじゃありませんか。で、巻頭カラーページはエリザベス女王様の華麗なお衣装の数々--わたくしウットリながめてしまいましたのよ。
教会、舟遊び、謁見、そしてジャンヌ・ダルクもかくやと思える凛々しい鎧姿……でも、女王様ったら上背があって大変プロポーションよろしいからお似合いになるのよね。うらやましい限りですわ。

かと思えば「英国婦人の友」誌には「スペインの卑劣な挑発に対する私たち婦人の心構えとは」という特集があったり、「各国王族イケメン度判定~女王様にふさわしいお相手を探す」なんて肖像画付き一覧表もあって、これまた面白うございました。

それで、わたくし美容院帰りに駅の売店でつい普段は手にも取らない「日刊倫敦スポーツ」を購入してしまったんです。だーって「ワイルドな海賊男があの堅物女王を篭絡!夜な夜な寝室に出入りを目撃される」なんて見出しがデカデカと出ていたんですもの。でも買ってからよくよく見たら「篭絡!」の後に小さい文字で「か?」と付いておりましたわ。少しガッカリ。

ですから、わたくし一旦入った寝床からゴソゴソ這い出して、深夜までやってる書店に向かいました。そこでゲットしたのが「宮廷ウワサの真相」。で、やっぱり期待通りありましてよ「宮廷記者匿名座談会」に。

A「女王と言えば、最近海賊のW・Rにご執心だそうだな」
B「ああ、あのワイルドさがウリの--。女王の前の水たまりに自分のマントを広げたってヤツだな」
C「うひょー、そりゃちょっとカッコつけ過ぎやしないか」
A「それで、もう女王の寝台まで一直線に通行許可が降りたとか(笑)」
D「いやいや、宮廷スズメたちの間では実はW・Rには別のお目当てがあるという事になってるらしい」
B「えっ、そりゃ大変だ。相手は誰なんだい」
D「まだ、秘密だけどね。やっぱり男としては自分より地位が高い行かず後家よりも、若いムスメっ子の方がいいに決まってるさ」

わたくし、ここまで読んで女王様が可哀想で泣いてしまいましたわ。だって、いくら絶大な権力を得ていても愛する男の心をゲットできなければ、女としては何の意味もありませんものねえ。ズズーッ(鼻をかむ)

それにしても前作『エリザベス』よりはや十年。演じるケイト・ブランシェットも貫禄充分となりました。監督の方は……鳴かず飛ばずみたいだったようですけど(;^_^A
今回の続編も、派手な海戦場面を期待していた殿方には残念でしたが、わたくしは豪華なドレスや重厚な背景(本物のお城も使ってましたわよね)に心奪われましたわ。この点では十分満足いたしました。

でも、やっぱり物足りないのは2点。
まず、エリザベス女王様ったら芸術のパトロンとして、その治世の下で文化の花が開きまくったんじゃありません? それなのにこの方面に関してはついては何一つ描写がなかったこと。身内の権力闘争と対外的な戦争ばかりじゃ詰まりませんこと。

それからそもそも物語として、地位を得て安定期に入ってしまった人間の話というのは今一つスリルが足りないということでしょうかしら。『ガラスの仮面』だって北島マヤがどん底から這い上がる過程の部分が一番面白いですもんねえ。やはり守りの姿勢というのはつまらないものだと、わたくし思っちゃうんです。

ちょっと疑問だったのは、この映画はスペインの扱いがひどくて描写も最低、彼の国では抗議が起こらなかったのかってこと。もしスペイン版2ちゃんねるがあったら、きっと嫌英厨が一日100スレは軽く消費して「エリザベス逝ってよし」とか「英国に神罰下りますた(w」なんて書込みだらけになるはずでしてよ。

それと、なんで女同士のシスターフッドというものは男が一人出現するとあっけなく崩壊してしまうのかしらん。ホモソーシャルな男同士の絆の方は、女というのはより絆を強固にする仲介物なのに、ですわ。
まあ、こればかりはゴシップ週刊誌ではなくてフェミニズム本でも読んで研究した方がよろしいかも知れませんわね。


主観点:6点
客観点:7点

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