「ワニの涙」:唯一の成果は
〈神なき国の夜〉3
作・演出:川村毅
出演:手塚とおる、根岸季衣
会場:シアタートラム
2008年3月6日~16日
三部作の最終作--なんだが、実は私は最初の『クリオネ』を見たきりで二作目の『フクロウの賭け』は見に行かなかった。
で、今回は辛辣なコメントが売りの盲目の深夜ラジオのDJが手塚とおる……って、なんかいつか見たベケットの芝居を思い出すじゃありませんか。
で、そこへ自殺願望の娘やら死刑囚やら犯罪予備軍の若者やらがリクエスト電話をかけてくる。(声だけで姿は見せない)
後半では、死刑についてスタジオで語る弁護士が登場するが、その発言を聞くとつい最近出版された森達也の『死刑』そっくりである。
テロやら犯罪やらタレント政治家を風刺している部分もあるが、すべて中途半端。こんな半端に前向きなエンディングでは、今時の悪意に満ちた若い劇作家たちには勝てないぞ~と思うのは私だけか。
それと、クライマックス風の場面の後にさらにダラダラと話が続いてしまうのは最近の川村毅の特徴かね。なんか、盛り下がっちゃうのである。
根岸季衣は歌の場面以外は、あまりしどころのない役柄だった。自殺娘二人が床をゴロゴロした時は、彼女は横で絶対笑ってたと見たが、如何(^^?
嫌味モードのDJを演じた時の手塚とおるのみ良し。
あ、あと浅川マキの曲が劇中でかかって、久しぶりに聞いた彼女の歌は素晴らしかった。アルバムはヴィニール盤でしか持っていないので、絶対CDで買い直すぞっと固く決意した。それが成果であった。
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