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2008年4月12日 (土)

「楽器の進化・ヴァイオリン編」:たい焼き状レクチャー・コンサート

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東京のオペラの森2008ミュージアム・コンサート
演奏:寺神戸亮、上尾直樹
会場:国立科学博物館 日本館講堂
2008年4月6日

4月最初の土曜日の上野公園--となれば花見客で上野の山も騒然となるところだが、今年は暖かくて早々に桜が散ってしまったこともあって、通常の賑やかさであった。その中を科学博物館へ。「ダーウィン展」の行列を横目に隣の入口から入る。

例年、「東京のオペラの森」なる催しでは上野の美術館や博物館でコンサートをやるのだが、今回はその一つのレクチャー・コンサートへ行ってみた。
寺神戸亮がヴァイオリンの歴史についてやるというのだから、これを聞かずしてなんとしよう。相方の鍵盤は上尾直樹である(チェンバロに加えてミートーンのオルガンも)。

さて、満員御礼の古めかしい講堂の壇上に二人が登場して第1曲め……ん?なんか変だぞと思ったのは、寺神戸氏が楽器を通常は首の辺り--というか鎖骨あたりに置くのを、もっと下の胸板に置いてヴァイオリンを弾いていたからである。
その最初のノターリ(この作曲家、全然知りませんでした(^^;1620年代に活躍したとのこと)の曲が終って、早速彼が解説してくれたところによると初期バロック期の絵画に描かれている人物はほとんど胸に置いて弾いているので、最近になって同じようにしてやってみたそうである。当然、指使いなども違ってくるわけだ。

うむむ、日々鍛錬しスパラを弾きこなす一方で、初期バロックにもこの探求心、すご過ぎです。思わず感心。(☆_☆)

本日はヴァイオリン3挺、弓を4本持ってきたとのこと。で、続いてマリーニ、カステッロ、ウッチェリーニを初期バロックモードで弾いてくれた。
その間に時代によるヴァイオリンや弓・弦の構造の変化や当時のヴィブラートの付け方などもしっかり解説。
思えば、昔の北とぴあ音楽祭で開演前にステージに登場してしどろもどろに喋っていた(相当にあがっていた?)頃とは、レクチャー技術も格段の上達であるなあ……なんて余計な感慨にふけってしまったのであるよ。

前半の最後はコレッリ来た~~っという感じで、ここより後期バロックモードに突入。本体も弓も変えて『フォリア』を弾いてくれた。「ヴァイオリンの歴史に変革をもたらした」というコレッリにふさわしい鮮やかな演奏であった。

休憩中は常設展示もやってる日本館の吹き抜けやステンドグラスを眺めてケータイ写真を撮ったりブラブラしたりして時間をつぶす。

後半では、まずビーバーの『ロザリオのソナタ』。当然、スコルダトゥーラの手法の解説がここで入った。
ルクレール、ヘンデルのソナタに続き、ここで遂にバッハ先生登場。これまでの曲の通奏低音とオブリガード・チェンバロの違いを説明して『ヴァイオリンとオブリガード・チェンバロのためのソナタ』を演奏した。
ラストは、モーツァルト。ここで弓を変えてクラシック時代のものを使用した。これによって「語る音楽」から「歌う音楽」へと時代が変わったことが示されるのである。

アンコールでは「折角、3種類持ってきたので使わないと」ということで、モダン・ヴァイオリンを使用してフォーレを演奏した。ただし、伴奏はチェンバロという変則技であった。§^.^§

会場となった講堂は当然残響が少なくデッドな音でその点物足りなかったが、却って音色の違いなど細かい所が判って良かった。
それにしても、終了して科学博物館の外へ出た時には三時間近く経過。まさに頭からシッポまでムギュ~ッとヴァイオリンのアンコが一杯に詰まったたい焼きを食べた気分になった。もう 満腹 満足じゃ~ \(^o^)/
これで料金2000円ナリとは安過ぎだいっ。

次の週の有田先生のフルート編も聴きたくなってしまったが、連チャンになっちゃうので涙をのんで自粛した。

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←終了後の講堂内。ちとブレてしまったです。
両脇の上部にある黒い楕円形の物体が「なんだろう」とずーっと気になって仕方なかった。科学博物館だから亀をかたどってるのかしらん?(まさか!)

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→こういうステンドグラスが四方にあって、さらに天井は円蓋状になっている。

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