「アイム・ノット・ゼア」:ディランの濃ゆい同人誌
監督:トッド・ヘインズ
出演:クリスチャン・ベイル、ケイト・ブランシェット、マーカス・カール・フランクリン、リチャード・ギア、ヒース・レジャー、ベン・ウィショー
米国2007年
ボブ・ディランを6人の役者で演じるという変わったスタイルの「伝記」映画。何せその6人の中には女性も黒人少年も含まれているのである。しかも役名もみんなバラバラだし、役柄も全部違う。どころか設定されている世界もそれぞれ異なる。
ディランの多彩な面をそれぞれが象徴していると考えた方がいいだろう。
しかも、その六つの世界が不規則的に混ざって入れ替わり出没する。それが面白いかというと、編集のせいかどうもテンポが悪い。タラタラして退屈しちゃう。
それから、ディランのファンにはきっとここはよく知られているエピソードなんだろうなあとか、何かのインタヴューのパロディらしい--と思える場面が多々あるのだが、門外漢の私にはよく分からなくて歯がゆい思いがした。
というわけで、2時間15分が本当に長~く感じられた。風邪をひいていて熱っぽかったのだが観ている間にどんどん熱が上がってくるようだった。ケイト・ブランシェットが中盤に出てきた時、「あー、まだリチャード・ギアもこれから出てくんだよなー」なんて思っちゃったですよ( -o-) sigh...
監督は自由と抑圧を歌うことについてこだわっているようだが、そのこだわりがなんだか空回りしてるようでもあった。
結局のところ、自分の全く知らないアニメとかマンガ作品についてのものすごーく熱心な分厚い同人誌を読まされているような印象だった。情熱や「濃さ」を感じても共感する術がない。
顧みてみれば同じ監督の『ベルベット・ゴールドマイン』も、実在のロックスターをモデルにしたヤヲイ本みたいな映画だった。この妄想にはとてもついて行けません
ケイト・ブランシェットはこれで多くの映画賞に助演女優賞でノミネートされたが(なぜに「助演」?じゃ「主演」は誰)、女の彼女が一般に流布しているディランのイメージに(外見的にも)一番近いのはなんだか皮肉のような気がした。それとも意図的かね?
キム・ゴードン姐御がほんのチョイ役で特出。
初心者点:3点
マニア点:10点
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コメント
こんにちは
ワタシはあのだらだらしたテンポがだんだん快感になって、永遠に終わらんでもらいたいと思ってしまいました。まあ途中ちょっと寝ましたけど・・
ケイトが評判いいのは、彼女が演じたころのディランが魅力的だからなんじゃないのかなあ??とか考えたりもしましたが。。あそこだけがディランの似姿というのもなんか確信犯的で、賞を考える側はまんまとそこにはまってしまっているように思えます
ディラン好き以外にはあまり勧められないですね。
投稿: manimani | 2008年5月12日 (月) 04時04分
どうも、ディランのアルバム一枚も持っていない私が見るべき映画ではなかったようです。(汗)
まあ、でもそんなことを言ったらシュープリームス好きでもないのに「ドリームガール」見に行くのはどうよ--などということになってしまうのですが。
投稿: さわやか革命 | 2008年5月12日 (月) 23時39分