« 「老バッハとサン・スーシ宮殿の音楽」:萌える「老有田」先生 | トップページ | 「番線」:読みてし止まん »

2008年5月 3日 (土)

「フィクサー」:看板に偽りあり

080503
監督:トニー・ギルロイ
出演:ジョージ・クルーニー
米国2007年

先日のアカデミー賞で7部門ノミネート。賞レースの第一集団にいた作品である。
他の人の感想を読んでみると、けなすにしろほめるにしろ共通しているのは「こんな話だとは思わなかった」だった。
確かに、私もそう思いました。(^^)/ハイッ

題名と予告から、ジョージ・クルーニー扮する弁護士が「もみ消し屋」としてバリバリ汚い仕事をするのかと思ったら、全然そんな事はなかった。よっぽどあのアヤシイ裏稼業の男集団の方が「もみ消し屋」じゃないの。どころか主人公は逆にもみ消される方だー

離婚して妻子とは別居、ギャンブル癖あり、借金を抱え込み、自らの仕事に疑念を持つ男が、同僚のストレスから自滅的な行動に出た姿を見て悶々と自問自答を始める。
その間に、あーなってこーなって大変なことに。

ただ、どうなんでしょうねえ。話はつまらなくはないんだけど、敵は外部にしかいないから、結局は他人事で本質的な葛藤には至らない。サスペンスものだったら攻撃されて必死!でオッケーになるが、そういう作りじゃないからなー。
ストーリーと表現とテーマがちぐはぐな感じがした。

結局、アカデミー賞を取れたのは助演女優賞のティルダ・スウィントンだけだった。彼女の受賞に疑問を呈している人もいるようだが、もし彼女が演じてなかったらただの「知的な悪女」(定番)になってた可能性あり。
企業の中の歯車の一つとして上司や雇い主の意を汲むことに汲々として膨大なストレスを抱えながら暴走していく人物をうまく演じていたと思う。それに私は、エキセントリックなキャラクターよりも卑小な凡人を演じる方が難しいというのが持論なのだ。

まあ、助演女優賞の他の作品をほとんど見ていないので断言は出来ないが、その資格は十分にあると言えるだろう。とにかく『アメリカン・ギャングスター』のルビー・ディーよりは出演時間が長かったのは確かよ(^O^)
それにしても、T・スウィントンを初めて見たのは今を去ること二十年以上前(?)『カラヴァッジオ』でだが、その時からあまり変わっていないのはスゴイ……お肌の張りの秘訣をぜひ( ^^)// プリーズ

その他どうでもいいこと。
*3匹の馬は、息子の読んでたファンタジー本に写真が載ってたらしい。全く気づかなかった。「なんか、つまらなそうな話。今時のお子様はこういうのが好きなのかしらん」なんて思ってたからか。
*燃えてる車に時計や財布投げ込んでもあまり意味がないと思うが(?_?) 代わりの死体でも放り込めば別だけど。
*予告でやってたけど宮崎アニメの『崖の上のポニョ』って、なんかヤバくないか? またぞろ2ちゃんあたりでアンチスレが燃え上がりそう


主観点:6点
客観点:6点

【関連リンク】
《我想一個人映画美的女人blog》
写真多数あり。本国版のポスター?はバーバラ・クルーガー風でいいですな。

| |

« 「老バッハとサン・スーシ宮殿の音楽」:萌える「老有田」先生 | トップページ | 「番線」:読みてし止まん »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「フィクサー」:看板に偽りあり:

» フィクサー/MICHAEL CLAYTON [我想一個人映画美的女人blog]
この春から続々公開されていきます、アカデミー賞作品賞ノミネート作品{/kaminari/} この原題は、よくある主人公の名前をつけた『マイケル・クレイトン』 ほんとにタイトルが名前の映画って多いよな〜。 邦題の"フィクサー"(fixer)とは、背後で影響力を行使する強力な人物。 陰で仲介に立って交渉をまとめる示談屋。とある。 この映画では“もみ消し屋”と呼ばれている。 すぐに書かないと忘れちゃうたちなのに、試写で観てから既に何日か経って細かい感想忘れそう。 それほど、インパクトあるわけではな... [続きを読む]

受信: 2008年5月 4日 (日) 01時03分

» フィクサー を観ました。 [My Favorite Things]
だ〜い好きなジョージ・クルーニー様の作品ですからね…いち早く観たかったのですが…ということで、行ってまいりました…。そしてまたまた原題VS邦題対決? [続きを読む]

受信: 2008年5月 5日 (月) 20時05分

» フィクサー [☆彡映画鑑賞日記☆彡]
 『マイケル・クレイトン―― 罪を消したければ、彼に頼め。』  コチラの「フィクサー」は、本日4/12に公開された弁護士事務所の裏で暗躍するもみ消し屋<フィクサー>を描いたサスペンスなのですが、早速観て来ちゃいましたぁ〜♪  2007年アカデミー賞で、ティルダ....... [続きを読む]

受信: 2008年5月28日 (水) 09時12分

« 「老バッハとサン・スーシ宮殿の音楽」:萌える「老有田」先生 | トップページ | 「番線」:読みてし止まん »