「つぐない」:偽善、願望、あるいは妄想
監督:ジョー・ライト
出演:キーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカヴォイ
イギリス2007年
なんだか判然としない映画だった。アカデミー賞に7部門ノミネートで、賞レースの第一集団にいた作品だし、ミステリーっぽい所もありそうなんで興味を持って見に行ったんだけど……。
冒頭の三分の一は面白かった。男が少女の間違った証言で冤罪を被る過程は大変スリリングである。
しかし、その後の戦場の場面は正直退屈してしまった。戦争の壮絶にして幻想的な美を撮りたかったんだろうけど、キレイなだけで見ていて何の感興も浮かんで来ないのだった。
その後、成長した少女の「つぐない」の話となるのだが、結末まで見るとそれはどう考えても罪を償うというよりは、単なる「願望」あるいは「自己満足」にしか見えない。
映画はそのような少女の態度を批判的に描いているのだという解釈もあるようだが、とてもそのようには思えなかった。
あと、結末について--それを言っちゃったらここに描かれていることは何一つ信じられないじゃないの(?_?)
少なくとも、フランス人の重傷の兵士のエピソードはウソだろうし、また図書室のドアは(最初のドアじゃなくて二枚目の方)主人公がちゃんと閉めているのに、少女が見た時には開いていたのはなぜ
スタッフの凡ミスか?それともあのお屋敷は建て付けが悪かったのか?
もしかして、全部の話がでっちあげだったとしてもおかしくはない。
というわけで、何もかも判然としないのであった。その訳の分からなさが、謎を楽しむというより腹が立ってくる調子なんである。困ったもんだ
まあ、そもそも恋愛ものが苦手なのに観た私が悪かったのだろう。(~_~;)
あ、音楽も美術も衣装も役者の演技も大変見事だったですよ。それは言っておかなくちゃ。
主観点:5点
客観点:7点
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