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2008年6月

2008年6月29日 (日)

チェ・ウラム「Anima Machines」:褪せた花--優雅にして銀色の

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会場:スカイ・ザ・バスハウス
2008年5月27日~6月28日

雑誌や他のブログでの紹介を読んで、是非見てみたいと思って谷中まで足を運んだ。
作者は韓国・ソウル生まれの若手アーティストとのこと。

スカイ・ザ・バスハウスは元々銭湯を改造したアート・スペースとして有名な所。まだ下足箱(金属の札を使うヤツ)が残っていて、思わず靴を脱ぎたくなっちゃう(^-^;
ドローイングを除くと3点のメカニカルなインスタレーションを見ることができた。

なんと言っても一番目を引くのは銀色の花の巨大な房だろう。幾つもの金属製の小さい花(といっても開くと20センチはある)が葡萄のような形にかたまってぶらさがっていて、規則性があるのかないのか分からんが、開いたり閉じたりする。全体の上下は3メートルぐらいあるだろうか。とにかくデカい。
その個々の花の開閉は極めて優美なものである。暗く花びらの閉じた状態から徐々に白光を放ち始め、それからゆっくりと銀色の花びらを開いていき、やがてまた徐々に閉じていき闇にまぎれていく。さらに房全体の花が一斉に開く時もあれば、その逆の場合もある。

全てが金属にも関らず、一連の動作はもとよりそのフォルムも優雅この上ない。現代のテクノロジーの上に、過去に消失したような退廃がかった美が乗っているようだ。正反対の要素がなんの齟齬もなく一つになっているところが面白い。
しかし、花はそんな感慨を越えてもはや一個の生命のようでもある。

他の2点はもっと小さいもの。一つは壁掛け時計みたいな感じで壁にかかっていて、時計の針の代わりに手錠を広げたような金属の半円の連なりが幾つもクルクルと広がったり閉じたりする。
もう一つは野球のバットぐらいの長さの円筒形の作品でやはり天井からぶらさがっていた。その円筒の周りに金属の骨組みみたいのが付いていて、一定時間ごとにカチャカチャ回る。
中心に銀色の巻き貝を解体したような物体が付いているので、これも動くのかと思ってたら、係のおねーさんによると動かないとのことだった。時々巻き貝が伸びて、エイリアンみたいに客をガーッと襲ったら面白いのに--なんて思っちまいましたよ。

銀色花をもっとよく見ていたかったが、どうもこのスペースの構造があまり長くいるような感じではないんだよね。まあ、見物人に長くいられても困るんだろうけど。それに作品の巨大さの割には狭いし。遠くから離れたり近くでくっついて見たり色んな所から眺めたかったなー。
森美術館とかMOTみたいな広い所でボーッとしながら見てたらちょうどいい感じである。
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行きも帰りも谷中の墓地の中を通った。天気のいい日で絶好の散策日より そういや、しばらく前に親の命日だったにも関わらず墓参りもしなかったことを思い出してしまった。親不孝であ~る

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2008年6月27日 (金)

歌劇「忠実な羊飼い」:風船の転がる先が気になる

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作曲:G.F.ヘンデル
演出:原雅巳
会場:牛込箪笥区民ホール
2008年6月22日

日本ヘンデル協会という団体主催によるヘンデルのオペラ。数週間前にチラシを発見して急きょ行くことにした。
この作品はヘンデル27歳の時のもので、英国での上演2作目だという。初演の時はあまりウケなかったらしい。

男役もメゾソプラノがやる形なので、舞台は最後に現れる司祭(バリトン)以外は全て女性ばかり。
また、楽器の演奏者もやはり全員(といっても5人)女性で、コンミスの大西律子以外は知らない人だった。

会場はまさに「区民ホール」という感じで、椅子は可動式。舞台近くの座席はパイプ椅子を並べてある。演奏者席はそのパイプ椅子が並べてない一角、境もなく客と全く同じフロアにあった。
当然、音は極めてデッドなんだけど、ダイレクトに伝わって来るんでビックリ。壁が石造りみたいになってるから良かったのか? 思わず休憩時間に拡声システム使ってないかどうか確認しに行ってしまった(^^;)

内容は古代ギリシャを舞台にしているとはいえ、他愛もない男女の五角関係の話。第一幕はちょっとかったるかったが、それ以降は盛り上がってきて面白くなってきた。
舞台装置はなんと風船を使用。カラフルでイイっ(^o^)bというよりは、予算が少なかったのかしらんとか思っちゃった。衣装の方はそれこそ古代風だし、歌手のジェスチャーも当時の様式を踏襲しているらしいんで余計にギャップあり。
それに空調の風のせいか舞台から風船がコロコロ転がり落ちるのも気になった(^^;(ちゃんと拾う役目の人が控えてた)

それにしても改めて思ったのはヘンデルって完全スター・システムというか、個々の歌手の見せ場だけをつないでいくような形式だなーということ。他の要素は全てスターに向かって奉仕している、みたいな形だ。
そんな中で健闘していたのはアマリッリ役の藤井あや。実に見事なヒロインぶりであった。他の人は「なんか難しそうな曲で歌うの大変そうだなあ」とか「低音部を出すの苦しそう」なんて思ってしまったよ(=_=;)

あと、伴奏の5人は実にお見事。雨の日でジメジメしているのに気温が低めで、調律は大変だったろうなーと思われる。
特に通奏低音、中でもチェロの人は歯切れの良い演奏で感心した。いやー、才能ある人はこっちが知らないだけでどこにでもいるんですなあ。)^o^(

来年は、カウンターテナーの上杉さんが主役で、英国から演出家を招いて『オットーネ』をやるとのこと。絶対行くぞーと、心に誓ったのである。


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2008年6月22日 (日)

バッハ・コレギウム・ジャパン「ブランデンブルク協奏曲」(川崎)+「古楽耳」のこと

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会場:川崎ミューザシンフォニーホール
2008年6月21日

二度め行っちゃいました(^^ゞ
埼玉公演との違いはまず……バディ様の髪型 どーでもいいことですね、ハイ。
チェロは若手の山本徹氏に交替。これまたどーでもいいことですが--そ、その髪型はヲタク的外見10割増しのような(^o^;

マイクが配置されていたのでFMで放送ありか? CDの収録もこの川崎ミューザでやってるとのこと。
当然のことながら、さいたま芸術劇場とは響きが全く違ったけど。残響の差は楽器の音よりも、鈴木(兄)氏のプレトークの聞こえ方で実感。先週は明確に言葉が聞こえたんだが、今回はエコーでモワモワしている。ということは、演奏でもそれだけの差が出るわけだ。収容人員が川崎の三分の一以下のさいたまとでは音の凝縮度が違っているようだった。

第6番では配置が違って、ヴィオローネが真ん中(スパラの隣)に来ていた。鏡の対称形を狙ったんだろうか。

一番最後のカーテンコールでは、一同楽器を適当にとっかえて持って現れた。ツァーにずっと同行してたらしいオーボエの尾崎さんのお子さんは、間近で見ると確かにお父上の面影もあり(^^)

帰りに5分ほど川崎駅のショッピング・モールをふらついて、電車に乗り品川駅で山手線に乗り換えたら、同じ車両に楽器を背負った高田さんがいてビックリ。素早い……
と、思ったら小一時間さんは山本氏を目撃とのこと。
やはり、みなさん明日の公演が控えているからですかねえ。


終演後、歩きながら客の会話で「古楽器はやっぱり単調だねえ、管楽器が入ればまだしも」というような話をもれ聞いて驚いた。
ええーっ(!o!) 私なんか、今日はさすがに二回目だったからそうでもないけど、埼玉公演の時はもうドキドキして「次はどうくるか?そう来たか!」なんて手に汗握って聴いちゃったぐらいなんですが。どこが単調なの

しかし、ネットで検索中にたまたま見つけた「「日本人演奏家」の逆襲」を読むと、これは別に珍しい意見でもないらしい。
コメント欄にも「どこにも差異を見つけられないくらい同じようなフレーズの反復」とある。

確かに、近代以降とそれより前とでは感情表出の方法が全く違っているのは当然である。それを顕著に感じるのは、クラシック音楽のジャンルよりもむしろアイリッシュやスコティッシュなどのトラディショナル・ミュージックだ。
長き伝統を基盤にしながらロックやエスニックなど現代の要素を吸収し共存してきた彼らの音楽だが、いかに悲惨で過酷な内容の歌であろうと淡々と(まさしく「子守歌」のように!)歌うヴォーカル・スタイルは、完全に前近代の領域を残している。
だが、それが現代のミニマル・ミュージックと同じかというと、同意は出来ない。
感情は近代以降のような手法で表出されていないだけで、存在していない訳ではないのだ。それは確かにそこにある。

例えば、私はレオンハルトの『音楽の贈りもの』の「6声のリチェルカーレ」を初めて聴いた時「まるでオルゴールみたい」と思ったのであるが、これは現在のBCJの演奏とどう違うんでしょうかねえ。

それとも、古楽演奏の中に「感情」とか「躍動感」を読み取るには「古楽耳」みたいなものが必要なのか。

まあ、結論は最終名古屋公演を聴いた方々におまかせしちゃおう(;^_^A (と、勝手に他人任せにする)

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2008年6月21日 (土)

バッハ・コレギウム・ジャパン「J.S.バッハ《ブランデンブルク協奏曲》全曲演奏会」:「スパラ三人衆突撃計画」は挫折

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会場:彩の国さいたま芸術劇場
2008年6月14日

BCJの数年ぶりの「ブランデンブルク」である。今回の目玉はヴィオロンチェロ・ダ・スパラの使用である。それも曲によってはまとめて3挺参加(!o!)ではないですか。なんでもスパラは世界中で5人しか弾く人間がいないというんだから、こりゃ画期的であーる。

だが、満員御礼のさいたま劇場の座席はなぜか後ろから3番目……(´д`;)
こ、こんな後ろではかねてより計画していた、最前列近くに陣取り、会場からつまみ出されるのを覚悟で厚かましいオバハンと化して、「キャーッフランソワ~!バディ様!!寺神戸さぁ~ん!!!」と叫びつつ「スパラ三人衆」にケータイをかざして突進し写真を撮りまくる野望が実行できないではないかっ。
これは一体どういうことか(?_?; 果たして事前に計画を察知した公安警察の妨害か、それともCIAの陰謀か、はたまたロシアン・マフィアの悪巧みであろうか。
とにかく、責任者出てこ~い(*`ε´*)ノ☆
イープラスのプレオーダーで買った席だっていうのに、なんてこったい。特別料金返してくれー。

さて、プログラムは曲番通りに進行。
コルノ・ダ・カッチャの入った第1番は全体の人数も多く華々しい印象である。何より、外人部隊二人によるコルノが演奏自体をブチ壊しかねないほどにホール全体を揺るがす華々しさ。二人のうち若い方の人も台に乗っているのかと思ったが、なんと、えらーく身長が高いのであった。きっと日本の電車に乗ったらずっと首を曲げてなければいけないくらいだろう(極めて大袈裟に書いてみました)。
ヴァイオリンにはプログラム記載とは別にD・バディアロフともう一人加わっていたもよう。

第2番はトランペット、オーボエ、リコーダーの3本が活躍する。島田氏のトランペットが時々、音がひっくり返っていた?ようだったが、前回より改良されていたのではないかと思う。
そして、三宮氏は隣の音のデカいトランペットに負けじとオーボエをパワー全開で吹きまくっていた。ここではチェロの代わりにバディ様がスパラ参加。

ここで来ました、第3番。いよっ、スパラ三人衆登場
ヴァイオリン-ヴィオラ-スパラがそれぞれ三人ずつ弾き交わしていくのを目にするのは、CDで聴いていたんでは全く分からないスリリングなものがあった。三楽章目のアレグロではもはや弦の音がダンゴ状に連なって聞こえたほど。
スパラの音というのはファゴットに似ているとも言われるが、なんか内に籠った鼻づまりっぽい音だなあと感じた。

休憩挟んで第4番はリコーダー二本とヴァイオリン・ソロ(若松さん)が絡んで躍動感ある演奏。ここではフランソワ・フェルナンデスがスパラ担当であった。

第5番ではトラヴェルソが入り、チェロに鈴木(弟)氏が復帰。これまで真ん中で客席に背を向けてチェンバロを弾いていた鈴木(兄)氏が横向きに位置を修正して臨戦態勢に入った。もちろんこれは第一楽章(ボケて最初「第二楽章」なんて書いちまいましたよ)のソロ部分のためである。このパートでは、久々に中年暴奏族と化してチェンバロをバリバリ弾きまくった。きっと、バッハ先生も当時は「オレ様の腕前をしかと見よ~文句あっか」と問答無用の勢いで弾いたんでしょうなあ。

最終第6番では位置的にフェルナンデス+若松のヴィオラ・ペアと寺神戸氏のスパラのグループと、福沢+武澤ペアのヴィオラ・ダ・ガンバと西澤氏のヴィオローネ(こりゃ「さわ」トリオですな(^^;))に分かれて演奏。「肩」楽器と「ひざ」楽器の絡み合いと対比がよーく分かった。なるほど、こうして見るとチェロの部分にスパラが使われていた可能性が現実的なものと感じられる。

長時間ではあったが、全体的に大大満足のコンサートだった。座席も元々小さ目の会場なので、ちょうど全体が均等に見渡せて、独奏の部分が次々と隣の演奏者に受け渡されていくのが分かるなどしてよかった。
「速報」にも書いたが、壮麗な第1番から渋くて地味~な中低音の第6番までの移り変わり自体がとても面白かった。
そして、バッハ先生のエラさをまたヒシと感じたのであったよ。

このメンバーでの「ブランデンブルク」を録音するらしいが、今から購入決定かなっと。
それにしても、この三日間スゴイ三連チャン公演だったんですなあ。身体だけは気をつけて下さいよ、ホントにもう(^o^;

一週間後の川崎ミューザ公演についても書きました。

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衝撃の告知

ダン・ラウリンと重なってしまって、残念無念ながら行けなかった中野振一郎の浜離宮朝日ホールでのコンサート。

こちらの《Kamio Gallery》に公演の様子が書かれているが、読んでみると中野氏の「衝撃の告知」にビックリ。

そうでしたか、ムムム(-.-;)
なんでも彼女はケータイのキャンペーンガールをしていたという。トラックにはねられた人を助けようと駆け寄ったところを刺されたらしい。(詳しいことはこちら

何やら虚しく、悲しい話なのである( -o-) フゥ

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2008年6月20日 (金)

目白バ・ロック音楽祭2008その3:「人生の喜びを知るヘンデルのヴァイオリン・ソナタ」

演奏:デュオ・リクレアツィオン・ダルカディア
会場:自由学園明日館
2008年6月12日

四人組のリクレアツィオン・ダルカディアではあるが、半分の二人が文化庁の留学制度で日本に戻ってこられないため、残りの二人(松永綾子、渡邊孝)によるコンサートである。

曲目はヘンデルを中心にマンチーニとポルポラの曲を混ぜて、渡邊氏のチェンバロ・ソロのスカルラッティを除いて、ヴァイオリン・ソナタ尽くしだった。
会場は重要文化財の明日館の向かい側の講堂で、響きはややデッドながらこじんまりしていい感じである。窓の外をフツーの通行人?が通っていくのが見える。

個々の曲がどうの、というより、もう目一杯ヴァイオリン+チェンバロの世界を満喫したぞ~ \(^o^)/という気分になった。二人の息もピッタリだったし。
大曲をドーンと聴くのもいいが、こういう風に小曲を地道に聴いていくのもいいね。大満足であ~る。
アンコールはマンチーニをもう一曲。

ただ、聴いてて感じたのはみんなバッハの同時代の作曲家だが、比べてみるとやはりバッハは変わってる--というか、一目ならぬ一耳で違いがハッキリ分かるということであった。
とすれば、この時代バッハはメインストリームではなく、オルタナティヴの方だったんだろうか?

さて、来年はメンバー四人揃って聴けるのであろうか? 文化庁の留学って二年間だっけかな(?_?) そうすると来年もダメなのかしらん。早くフルメンバーでの演奏も聴きたいのう。
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今年の目白バロック祭りは私的にはこれにて終了した。来年もまた楽しみよん

←休憩時間に外からのぞき見風に撮ってみました。

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2008年6月17日 (火)

目白バ・ロック音楽祭2008その2:「花鳥風月~リコーダーによるヴィヴァルディ『四季』」

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演奏:ダン・ラウリン、ディミトリー・バディアロフ
会場:トッパンホール
2008年6月10日

前回のハクジュ・ホールでのコンサートを日時をうっかり間違えて行き損なってしまったダン・ラウリン。今回は雪辱戦であーる

他のメンバーはチェロがいなくて代わりにD・バディアロフがスパラを担当。ちなみにこちらのブログでは彼のことを「スパッラの父」と書いているが、これではまるで地味なオヤヂみたい。やはりここは断固「スパラの貴公子」でお願いします
さらに、後日聴く予定のリクレアツィオン・ダルカディアの半分の二人も入っていた。結果、ヴィオラとヴァイオリンの三人は若い女性ばかりとなった。

ただ、客席が半分強ぐらいしか埋まってなかったのはとても残念。な、なんでよ……? ダン・ラウリンでは客が集まらないのか(?_?;

一曲めはサッリという作曲家のソナタ。どっかで聞いたと思ったらロンドン・バロックとの共演盤に入ってた曲だった。そのCDよりは編成が大きくて、さらに三人の弦が大変歯切れがよかった。

続いてルーマンのソナタは人数が減ってリコーダーとスパラのかけ合いが中心。やや、バロック以後風の曲調だった。
ヴィヴァルディのリコーダー・コンチェルトハ短調となると、まさしく妙技!としか言いようがない。拍手~( ^^)//"☆"☆"☆

後半はバディ様によるチェロ・ソナタで開始。渋い音だったけどよーく聞こえた。やはり会場のせいか。ラ・プティット・バンドもこのぐらいの大きさの所で聴きたかった。

それに続いて遂に『四季』の春&夏が開始。その前にダウリンによる解説があった。当時のヴェネツィアは都会で天候も穏やかだったが、この曲に描かれているのは田舎の厳しい自然で、東京みたいにいきなり雷が鳴ったり大雨降ったりして--というような内容だった。
同内容のCDは聴いてないので彼の『四季』は初めて。なんだかここまで来るともはや職人芸(!o!)みたいな感じで、ドトーのような演奏を口アングリ状態で聴くしかない。
ラウリンは歩き回るようにして吹いて、ややオーバーなアクションも付けていたようだ。やはりレッド・プリーストの影響があるのかな?(あんなアレンジはしていないが)

アンコールは夏の第三楽章をもう一度。解説で、パンクロックで村人が踊っているような調子だと説明してたようだが、ここまで来るとノリノリというよりはもはや決死の「爆奏」といった迫力であった。
続いて、リコーダー独奏の現代曲--と思ったら、実は中世の舞曲だったもよう。でも、リコーダーから同時に二つ音が出ていたようなのはなんだ(^^? 特殊な秘密技なのであろうか。
これを聴いて5日にやった無伴奏コンサートも行けばよかったと深~く後悔したが、もう遅いのであったよ。

リュートの人は、ゴスっぽいドレスを着た若くて美人のおねーさんだったが、リュートのストラップを長く床に引きずって歩くのは問題だった。退場する時、後ろの人が踏んづけそうになってたぞ(^O^)

ところで同じ日に浜離宮朝日ホールで中野振一郎のチェンバロ公演もあったんだけど、重なっちゃって行けずに残念無念。おフランス・バロックのプログラムだったのに……。

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2008年6月16日 (月)

北とぴあ国際音楽祭2008ラインナップ

目白バ・ロック祭りが終わったかと思ったら、お知らせが送られてきました。
今年のハイドンはパスしようかと思ったが、チラシをドーンと見てしまうと行きたくなってしまうなあ……(x_x) ただ、土曜の昼公演はまたも仕事と重なってしまうのである。

個人的に興味あるのは、
*魔法の宮殿「ヴェルサイユ」と魔法の海上都市「ヴェニス」(韓国の古楽グループによるものらしい)
*愛の魔法~イタリアン・モノディの世界(鈴木美登里+なんと今村泰典でやんすよ)
*無料のレクチャー・コンサート~古楽への扉

しかし、やっぱりチケットは北とぴあに行かない限りはバラバラに申し込まなければならないようだ、ムムム(-.-) 不便であ~る。

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2008年6月15日 (日)

ザ・ニュースペーパーPART73:遂に知事トリオ出現

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結成20周年記念Vol.1
会場:博品館劇場
2008年6月6日~10日

毎度おなじみ時事ネタを中心としたコント集団ザ・ニュースペーパー公演。なんと結成20周年だそうな。
しかも、知らないうちに「徹子の部屋」に出ていたようで、もはや知名度は全国区か。どおりでチケットが入手しにくいと思ったぞ。

まず恒例歴代総理の演説(フクダ→アベ→コイズミ)に始まり、廃業した吉兆でなぜか与党・野党が互いに知らずに密談をやったり、と笑わせてくれます。
一人で何役も持っている人は早変わりが大変そう(^O^)

かと思えば久々の立松和平が登場、サミット開催地の洞爺湖のホテルを訪問した映像を紹介した。なぜかフクダも現れたりして……。

それから「サンデー・プロジェクト」では司会の田原に加えて、橋下・東国原・石原の三知事が出てきた。これがまた四人ともよく似ていて場内大爆笑だった。

最後はこれまた恒例の「さるご一家」の登場。今回はなんと先代のご主人様の霊まで現れて、ここには書けないような話が展開するのであった。

さて、配られたチラシに『ギララの逆襲~洞爺湖サミット危機一髪』という映画のチラシが入っていて、てっきりネタだと思ってたら、ホントに7月末に公開するのだという。信じられねえ~(^-^;
最後に予告が上映されたんで本物だと分かった時は会場は思わず爆笑。ザ・ニュースペーパーからは三人が出演。なんかコイズミが「もう核攻撃しかない!」とか叫んでいたようだけど、いいんでしょうか
監督は『日本以外全部沈没』の人らしい。

また年末の公演が楽しみであるよ(^^)/
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←これが「ギララ」のチラシだ!

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2008年6月14日 (土)

BCJ「ブランデンブルク」速報(彩の国さいたま芸術劇場)

ホール全体を揺るがす壮麗なホルンに始まって、渋い中低音のヴィオラ+スパラに終わる全行程が素晴らし。
スパラ三人男はもちろんだが、フェルナンデス+若松+寺神戸という組み合わせも嬉しかったなー
しかし、あんな小人数で来週の川崎ミューザは大丈夫なのか?

ちゃんとした感想を書きました。

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「靖国 YASUKUNI」:靖国は騒がし、されどじっちゃんは黙して語らず

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監督:李纓
日本・中国2007年

公開時に大きな騒ぎになったドキュメンタリー。私も公開一週間ぐらいして一度突撃をかけたが、混雑のため見事玉砕したのであった。
しかし、一か月半過ぎた今となっては、その日の最終の回ということもあるだろうが客もまばらであった。
結局あの騒ぎで一番得したのは興行側の宣伝部門だったのか。だーって、全国紙の第1面を飾ったんだから、広告費に換算したら大したモンよ。

実際に見てみると普通に「地味なドキュメンタリー映画」であった。左右どちらの過剰な思い入れをもって見ても、肩すかしだろう。
内容はだいたい二つに分かれていて、片方は終戦記念日の靖国神社の騒然かつハイな状態を淡々とカメラに収めたパート。特に取材されてるのはコイズミがこの日に参拝するってんで余計に大騒ぎになった年だ。

同じドキュメンタリーの『蟻の兵隊』でもかなりいい加減なコスプレ状態の旧日本軍の兵隊に扮したヤツが出てきたが、こちらでも同様。
なぜか、号令かけて制服姿で参拝する一団に周囲の人々が拍手したり、折角コイズミに賛意を示しに来たのに追い払われてしまったアメリカ人など、抗議に来てあっという間に撃退されてしまった若者--色んな人間が出てきて口アングリ状態で眺めてしまう。
この映画を批判する意見に、こんな状態を延々と流して何の意味があるのかというのがあったが、こういうのもドキュメンタリーの手法の一つであろう。

かように混沌としてハレ状態の靖国神社ではあるが、普段の日は静からしい。
確かに、目と鼻の先にあるイタリア文化会館にコンサートで行った時はフツーに盆踊りをやっていたぞヾ(^^)ゝヾ(^^)ゝコリャコリャ

もう一つのパートは、かつて靖国神社に奉納していた日本刀の鋳造を90歳の刀匠(とてもお元気!)がカメラの前で再現して見せる場面。
鉄の固まりから刀が作られる過程は極めて厳粛なものである。私は、神話学や民俗学における神と密接な繋がりを持つ古代の「鍛冶師」の姿を連想した。

もっとも、素のじっちゃんは穏やかでのほほんとした印象。
時折挟まれる監督によるインタビューでは彼は何を聞かれても「うーん」と言うばかりではかばかしい返答は返ってこない。これは別にはぐらかしているんじゃなくて、このじっちゃんは根っからの職人さんなんで、内部で靖国と刀と戦争の関わりについてとか普段考えてもいないし、言語化もしてないと見た。
おまけに訛りが強いんで時々喋る言葉もよく分からず、英語の字幕を思わず見ちゃったりして(^^;)

これは靖国合祀の取り下げを求める遺族達が強烈な眼差しをもって、明確に主張を述べるのとは対照的である(遺族の一人は仏教者)。

原初的な神と人間の交わりとしての宗教、そして近代から現代に至るまで宗教を利用する国家、それに関わる個々の人間の姿が浮かび上がる--観る者に様々な感慨を呼び起こすドキュメンタリーには間違いないだろう。
さらには公開中止騒動自体も「祭り」の延長だったかも。
監督が中国人でなかったらこんなに騒ぎにならなかったろう。でも、日本人じゃこういうテーマで作るヤツはいなかったろう。

ただ、さすがにちょっと長過ぎるんでもう少し編集して欲しかった。あと、インタビュワーは監督じゃなくて他の人にした方がいいんじゃないの~。

観ている間中、ポリ袋をガサガサしているオヤヂや、入れ代わり立ち代わり出たり入ったりしているカップルがいて参った。もしかして、どっかの破壊工作員か?


騒乱度:10点
言語聞き取り度:4点

【関連リンク】
《ミチの雑記帳》
「職人さん」については同感。この映画には珍しい?冷静な感想です。


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2008年6月 9日 (月)

死亡記事二つ+α

土曜日の朝刊に死亡記事が二つ並んでいて驚いた。
一つは野田大元帥こと野田昌宏である。SF界の重鎮--という表現ではなんか違うような(?_?) とにかくファンダム、プロダム双方でマルチに活躍していた方であった。
74歳ではまだ早過ぎですよー。

しかし、もっと早過ぎなのが氷室冴子。51歳……。
知人と「今、氷室冴子って何やってんのかねー」と話したのがもう何年も前のこと。まさか死亡記事で名前を見るとはビックリだ。しかも年齢も団塊の世代ぐらいかと思ってたらもっと若い(~_~;)

代表作は「ジャパネスク」シリーズをはじめ色々あるが、私が残念なのは『銀の海 金の大地』が第1部完!と中途で終わってしまったまま。もう続きを読めないのね(;_;)
少女を主人公にした古代史ファンタジーものとして出色であった。残念無念。

お二人のご冥福をお祈りいたします(-人-)


さて、その死亡記事の下にあったのが『金色のガッシュ!』の作者が原画紛失した小学館を提訴--という記事である。こういうのって、マンガ界によくあるんだろうか?
私が覚えているのは大友克洋が雑誌「ロッキング・オン」に載せた原稿(「ヘンゼルとグレーテル」など)を紛失されてしまった件。返却を求めたら、なんで今さらそんなもん必要なのか、みたいな対応をされて大友克洋は怒ったらしい。
で、それを聞いた矢作俊彦が「なんなら、オレの知り合いのヤツ(←コワイその筋の人のこと)に頼んでやろうか」などと言ってきて焦ったらしい。(注-かなり昔の話なんで記憶の不正確な部分あり)
マンガ界も色々ありということですなあ。

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有田先生、あんまりだー

目白バ・ロック音楽祭で配られたチラシの中に「福岡古楽音楽祭」(9月10日~15日)の案内が入っていた。
クイケン三兄弟が揃ってゲストとのことだが、音楽監督の有田正広の文章が引用されていた。

今回の音楽祭では「ラ・プティット・バンド」のリーダーであるシギスヴァルトに、バッハの名曲を「思い切り、好きなように演奏して欲しい」とお願いしました。

わーん(TOT)有田先生、なんでそんなこと言うのよー福岡まで行きたくなっちまうぢゃないのさっ(号泣)。

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2008年6月 8日 (日)

目白バ・ロック音楽祭2008その1:吟遊詩人 歌物語「オーカッサンとニコレット」

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日本語上演
演奏:ジョングルール・ボン・ミュジシャン
会場:雑司が谷音楽堂
2008年6月7日

今年から目白バ・ロック音楽祭はタイトルの中黒がハートマークになるとのこと。
ってことはこんな感じかな。 目白バロック音楽祭
それともこうかしらん。 目白バロック音楽祭
こういうのもあるな。 目白バロック音楽祭

しかし、昨年は豪華出演陣多数で8回も行ったんだけど、今回は規模縮小?か、今イチ盛り上がりに欠ける感じなのであった。
それから、これまでは無料で配っていた公演一覧と地図を組み合わせたガイドは無くなっていて、さらに有料のパンフレットもなかったもよう。やはり縮小なのか。

さて、私にとっては今年度第1回目の公演はジョングルール・ボン・ミュジシャン。雑誌「アントレ」では公演スケジュールのページでよく名前を見かけるが、今まで一度も行ったことはない。
ジョングルールとは放浪楽師のことだそうな。

演目は13世紀の歌物語で、当時の作品としては珍しく写本に旋律が書き留められているとのこと。
で、それに従ってお芝居的な語りの部分と音楽を取り混ぜて演じられる。

内容は身分違いの若い二人の男女の恋物語だけど、悲恋ではなく相当に滑稽なエピソードが出てきてかなり笑えた。
いかにも放浪楽師風の衣装をつけたメンバーは四人。セリフと歌を二人が担当し、座長を含む残り二人が楽器専門だが、様々な楽器を全員で色々と取っかえひっかえ演奏していた。
複数の太鼓(休憩時間に、皮にドライヤーかけて乾かしていたのが珍しかった)、フィドル、複数のバグパイプ、ハープ、ハーディガーディなどなど。さらにはアルミ鍋や、スイカ模様のビーチボールを使ったバグパイプまで出てきた。
なんでも、当時は楽師自身が色々と工夫して楽器を作っていたそうである。

難点はお芝居の部分が少し冗長な感じで、セリフを何度もつっかえてたのも気になった。でも、歌詞も日本語で分かりやすく、最後は満足した聴衆からヤンヤの喝采を受けていた。
物語の終章を飾る歌なしの器楽曲がとてもよかった。聴いてて踊りたくなってしまったよ。ヾ(^^)/\(^^)ヾ
アンコールは「聖母マリアのカンティガ」から「天国へ行ったバカ娘」(^^;であった。これもいかにもバカらしい歌であった。

中世ものもこういう風にして聴くと実に楽しいのう。最近は海外からの中世音楽の公演も減って、聴く機会がなくなってしまったのが残念である。


さて、昨年もそうだったのだが土曜出勤の日とこのコンサートが重なってしまった。仕方なく半日休みを取って職場を飛び出して、目白駅から走ったのだが、蒸し暑い日だったんで到着した時は大汗かいてしまった。
しかし、その後私を襲ったのはエアコンの冷気の直撃であった! 終演のころにはもう寒くて寒くて……完全にカゼを引いてしまったのである
もう、この会場で冷房使ってる時は絶対に二階席には行かないぞっと。立見だって構うもんか(`´メ) 呪われちめえ(←登場人物のセリフ)

【関連リンク】
過去の目白バ・ロック祭りの感想。
2007年の8公演
2006年の3公演
リンク先の後の日付を辿ってみてください。

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2008年6月 7日 (土)

「ザ・シンプソンズ MOVIE」:全体的に物足りん

080607
監督:デヴィッド・シルヴァーマン
米国2007年
*DVDにて鑑賞

米国の国民的人気アニメの映画版。日本で言うとサザエさん並か。もっとも、内容的には「意地悪ばあさん」の方に近いかも。
日本では吹替え俳優のキャスティングについてゴタゴタがあって、結局ロードショー公開時には見に行かなかった。
ようやくDVD借りて鑑賞した次第。

「スタトレ」にしても「X-ファイル」にしてもこれまで、TVシリーズの映画版がTVより面白かった例はないが、シンプソンズについてもやはり同じであった。

その1-風刺度。「シュワルツェネッガー大統領」とか環境汚染の話とか出て来るけど、今ひとつ物足りん。
その2-ゲスト。有名どころはグリーン・デイとトム・ハンクスぐらい? TV版だってもっと豪華で大勢出て来ることがあるっていうのにさ。
その3-ギャグ。グリーン・デイのステージがタイタニックになるところは笑えたが、後は不発ぎみ。
その4-ナンセンス・ブラック度。これが一番足りなかったかなー。主要キャラクターがみんな少しずつ「いい人」になってるし。(フランダースがあんな善き隣人でいいのかっ?)

ということで、TV版での過激さが薄れたいささか生ぬるい出来になってしまった、と結論できるだろう。
個人的にはバーンズ社長の出番が少なかったことに抗議したい(^O^;

なお、ホーマーが「理想の父親」であるかのような誤解を招く言説が一部に存在するようだが、とんでもない
私の父親もロクなもんではなかったが、ホーマーと交換するという話があったとしても謹んでお断りしたいぞ。


過激度:4点
公開時ゴタゴタ度:9点

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2008年6月 5日 (木)

ラ・プティット・バンド:クイケン御大のガサガサ音に萌ゆ

080605
会場:神奈川県立音楽堂
2008年5月31日

LPBの今回の公演は日本全国色んな場所でやるわりには、なぜか都心ではナシ。武蔵野市民会館でやると気づいた時には、既に遅く完売だったため横浜まで行ってきましたよ。
しかも、なぜか武蔵野と横浜だけオール・ヴィヴァルディ・プログラム(バッハ無し)というのはどういう訳じゃい(?_?;

前半は「四季」全曲である。当日は冬みたいに寒い日で冷たい雨がしとしとと降っていた。そのせいか調弦、特にシギスヴァルト・クイケンのスパラには時間がかかっていたようだ。
シギスと言えば、最近は来日公演する度に「下手くそ」とか「音程ひどい」などと言われるのが常。その声を知ってか知らずか、今回はヴァイオリンは完全封印。娘のサラ・クイケンに全て任せて、自分はスパラに専念して通奏低音を担当していた。
よって、あのヴァイオリンのギコギコ音に代わって聞こえてくるのは、通奏低音に響くスパラの ガ サ ガ サ ガ サ ガ サ という音。
で、これがまた気持ちいいんであるよ(火暴)

総勢6人だけの「四季」はスカスカして軽快。掟破りの小人数だが、サラのヴァイオリンは父親に似ず(^^;)端正な音なんでアンサンブルとしてはブチ壊れては聞こえなかった。ただ、私は前の方の席だったんで、フタ無しのチェンバロの音が上に抜けちゃってるらしくてよく聞こえてこなかったのが残念。
そもそも、あまりここのホールには音の面では期待できないから仕方ないんだろう。

横浜よりも前にやった公演の感想を書いたブログで「冬」の第二楽章がエラく速い、というのを読んでいたのだが、実際聴いてみるとホントに速い(☆o◎;)ガーン!! 確かに世界最速かも。

結果としては、ここ近年のイタリア勢によるいささかオーバーアクティング気味の「四季」とは全く正反対の、スッキリ軽量余計なもの一切ナシ--になったと言おうか。
「アレンジ古楽」ではないが、何かをつけ足したり別の要素を加えたりすることで作品の新たな面が出て来るというのなら、逆にできる限りの要素を削ぎ落としていくことで浮かび上がることもあるはずである。
だから、この演奏もまた逆の意味で果敢なる新たな試みと言えるだろう。レッド・プリーストと張り合えるかもよ(^O^)

後半最初の「ラ・フォリア」は赤津真言が第1ヴァイオリンをやったが、チト生真面目過ぎな印象。
次の「ごしきひわ」で、見るからにメタボ体型のペーター・ファン・ヘイヒェンが登場してリコーダーを吹いた。これがなんだか煮え切らない音というか、とらえどころがないヒョロヒョロした音というか、今イチに聞こえたのであった。ソプラニーノ・リコーダーを使った「ピッコロ協奏曲」の方はよかったんだけどねえ(?_?;
チェロ協奏曲にて、来ました!クイケン御大がようやくソロで登場。もちろん、スパラで弾いたわけだが、これまた何故かいささかヌルい音であった。確かに、渋い音がウリのスパラであるが、以前「無伴奏チェロ」で聴いた時にはそんな感じはしなかったんだけど……(ただし、寺神戸氏の演奏)。まだ発展途上の楽器だからしょうがないのか。

アンコールの2曲めはバッハの「管弦楽組曲」から。これが結構良くってバッハ入ったもう一つのプログラムも聴きたかった。御大の無伴奏チェロもやったそうだしなあ。
またも皆様のNHKが収録していた。 \(^o^)/ 夏ごろ、放映だそうな。
それにしても、先日のアッコルドーネもメじゃない超ハード・スケジュール スゴイねー。年寄りもまざってるんだから、もっといたわってやって下せえ。……って余計なお世話かしらん。
できれば、次は都心で中規模程度の大きさの所でお願いしたい。

それから音がよく聞こえなかったチェンバロのベンジャミン・アラードのソロも、どんなもんか聴いてみたかった。《チェンバロ漫遊日記》を読むと、今23歳ってことか。こりゃ、ぶったまげた~。

チラシの中にル・ポエム・アルモニーク公演の告知の紙が入っていたので、発売のお知らせを貰えるように住所を書いて申し込む。でも、これも都心でやってくれればそっちに行きたいんだけどなあ。

【関連リンク】
辛口なご意見
《エンターテイメント日誌》
《Takuya in Tokyo》

微妙な評価
《ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2008 & 普段のコンサート通いのblog》
《♯Credo》

好評
《瞬間の音楽》
《ひろのマーラーな独り言》
ヴィオラのM・ティールスって奥さんだったんですね。知らんかったです(^^ゞ

どこの公演か?
《かめと音楽にかこまれて》
「空席多くて、残念」とのこと。横浜はほぼ満員の入りでしたが。


さて、シギスヴァルト・クイケンほど毀誉褒貶の激しい人はなかなかいないだろう。関連リンク先をご覧になれば分かるように、来日する度に様々な意見が飛び交うのである。
上にも書いたが、かつては2ちゃんねるやクラシック系掲示板で「下手くそ」「音程悪過ぎ」「もう年寄りは逝ってよし」「モダン楽器だったらプロの水準ではない」「寺神戸にソロ取らせろ」などと批判が出るのは常であった。
LPBの前回の公演でも、似たような意見を他のブログでみかけた。
以前、「無伴奏ヴァイオリン」をやった時など「暗譜で演奏しないからダメ」みたいなトンデモ意見まであってビックリしたこともある。その公演では、私は感動のあまりドトーのように涙を流したほどなのだが。

しかし、常に毀誉褒貶が入り乱れるような演奏とは、一つの評価に安住せずということであり、だからこそまた次に何が来るか分からない期待があると言えるだろう。
それに、私σ(^-^;)クイケン親爺のギコギコ音、大好きですしね。

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2008年6月 2日 (月)

バッハ・コレギウム・ジャパン第80回定期演奏会:「猫に小判」状態でスマンね

080602
バッハからメンデルスゾーンへ~受け継がれる祈りの音楽~
会場:東京オペラシティ コンサートホール
2008年5月31日

2009年はメンデルゾーンの記念年とのことで、BCJでは「バッハ⇔メンデルスゾーン・プロジェクト」なる企画があり、これがその一回め。

メンデルスゾーンか……。確かにバッハ先生復活に劇的なる役割を果たしたわけだが、正直なことを言うと私はメンデルスゾーンを生演奏で聴いたことはない。さらに録音とかFM放送とかでも10回以下--もしかして5回以下?(´Д`;)
てな具合に完全な守備範囲外なんで、今回は簡単な印象を書くだけにしよう。

冒頭は久々に鈴木(兄)御大がパイプオルガンの前に座り、メンデルゾーンのオルガン曲を弾いた。まことに音にキレがあって「アグレッシヴな演奏」なるもののお手本のよう。やはり一味違いました。

その後は普段のBCJにしては大人数の合唱と楽器が入り、メンデルスゾーンが若くして(20歳ぐらい!)書いた、バッハの習作っぽいカンタータから始まり、徐々に大かがりで劇的な作風へと変化する様が分かるようなプログラム編成だった。
最後の曲は管楽器がフルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、トランペット、ファゴット、さらにティンパニも入って壮大な曲調。合唱も怒濤のような迫力+澄んだ声質で歌い上げていた。楽器はモダンではなく当時の型のものをちゃんと使用。

間には、バッハのカンタータBWV106のメンデルスゾーン上演版を演奏した。私がこの曲を普段聴いてるのは、J・リフキンの一人一パート版で、ただでさえスカスカ感が強いヤツだからかなりの差を感じた。
また、賛歌『わが願いを聞き入れたまえ』では藤崎美苗がソプラノ独唱をやった。最初は線が細い感じだったけど、最後は堂々と歌い切った。終わった後、彼女はほーっと「よかったー、無事に終わった~」みたいな感じで息をついていたのが、場内の微笑を誘っていたようである。
他の歌手では『オルフェ(ー)オ』にも出てた与那城敬がよかったかな。
笑いと言えば、ホルンが登場した時に片方の奏者(島田氏によく似た下田氏、ではない方の人)が部品を床に派手に転がしてしまって、かなりウケていたようだ。

しかし、結局のところやはり私にはメンデルスゾーンは縁遠い作曲家であった。モダン楽器でさらに大編成でドドーンとやられるよりはずっと聴きやすかったとはいえ、である。
「プロジェクト」ってことはまだ何回かやるんですかね。そうしたら、パスかも。
まあ、私には「猫に小判」だったってことで(´ー`)
家へ帰って、リフキン盤を引っ張り出して聴き直してしまった。

ところで、西宮の公演とはかなり曲目や曲順が違っていたのはなぜ? そもそも編成も全く違うが(管楽器はフルートのみ)予算の問題か?? フォルテピアノが入ったのも聴いてみたかったニャー

【関連リンク】
《オペラの夜》
《エンターテイメント日誌》
西宮公演の感想。

《演奏会定点観測》
突っ込んだ報告はこちらをどうぞ。

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2008年6月 1日 (日)

「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」:いつだって天才はイヤな奴

監督:オリヴィエ・ダアン
出演:マリオン・コティヤール
フランス・イギリス・チェコ2007年
*DVDにて視聴

シャンソンと言えば、私が聴くのはもっぱらルネサンス時代の世俗歌曲のことである。現代のシャンソンにはとんと縁遠い。
それゆえ、この映画公開された当時は全く興味を持っていなかったが、アカデミー賞で主演女優賞を取った(メイクアップ賞も)のをTVの授賞式で見て急に気になった。受賞したM・コティヤールご本人と映画の中のピアフとの落差があまりにスゴイんで、こりゃ、よっぽど化けているんだろうなあと俄に見てみたくなったのだ。

さて、実際見てみるとかなり編集に凝っているという印象。凝り過ぎてて「フツーに時代順に見せてくれればいいのに~」なんて苦情も出そう。しかも、よくよく注意して見てないと、今がどの時代なのか分からなくなってしまう。

しかも、ピアフの生涯での有名な出来事が幾つも省かれているとのこと。確かにそのまま見ていると、「不遇な子供時代に酒にヤクに病気かー、いずこも同じだなあ」みたいな感想しか出てこないんである。
さらに付け加えれば「自分勝手なイヤな女」全開……(\_\; そこんとこは容赦なし。
それから、日本でもそうだけどこの世代のアーティストだったら戦争の話は絶対外せないはずだろう。そこをあっさりスルーはちょっと納得行かなかった。

でも、それまで小さいクラブで歌っていたのを大劇場デビューを果たした時に、肝心の歌を聴かせない演出は斬新であった。
また、2時間以上の長尺だが見ていて飽きないのは確かである。史実よりもイメージを優先した作品ということか。
それからM・コティヤールはオスカー獲得納得の鬼気迫る演技。街角で歌ってた娘っ子時代から、病気のためとはいえ40代にしてもはやヨレヨレヨボヨボ状態になってしまった晩年まで見事なもんである。最近のオスカーの俳優賞は伝記物や醜悪メイクが有利とはいえ、だ。
本物のピアフとの身長差は20センチ以上だって~?信じられねえ

ところで、「ミュージック・マガジン」誌2008年2月号の記事によると、ホントのシャンソン通にはピアフの有名曲『愛の賛歌』や『バラ色の人生』は凡作・凡演とされているとのこと。
いずこの世界もマニアは厳しいんですなあ。


演技迫真度:9点
事実度:4点ぐらい?

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「リコーダーとリュート ささやかな時間」:仲よき事は……

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演奏:花岡和生、つのだたかし
会場:ハクジュホール
2008年5月22日

つのだたかしが企画する「古楽ルネサンス2008」というシリーズの2回目。今回はリコーダーの花岡氏を招いて共演である。
なんでも二人でやるのは二十年ぶりとのことで、チラシの裏を見ると当時の二人の写真が……わ、若い(^o^;

前半はファン・エイクの「笛の楽園」より花岡氏の独奏。つのだたかしが入って「ディヴィジョン・フルート」の曲を共演。
後半は、ダウランドに続きオトテール、ブラヴェ、ランベールとフランス組で、最後にヘンデルのリコーダー・ソナタだった。

ヘンデルもよかったけど、ランベールのおフランス風甘味の曲がステキッ(*^-^*) また、アンコールのブラヴェのリコーダー独奏曲がちょうどノって来た感じでこれまたよかったです。

全体的には二人が丁々発止で火花を散らすという感じでは全くなくて、和気あいあいとしたほのぼのムードで、なんだか武者小路実篤の「仲よき事は美しき哉」の野菜の絵を思い出してしまったコンサートだった。

ただ、私は数日前のアッコルドーネの公演で張り切り過ぎたせいか、会場に着いた時からくたびれてて、ボーッとして巨大眠気虫に食いつかれるはで、テンションが下がりっぱなしであった。トホホ(x_x)であるよ。
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←若いお二人でやんす

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