チェ・ウラム「Anima Machines」:褪せた花--優雅にして銀色の
会場:スカイ・ザ・バスハウス
2008年5月27日~6月28日
雑誌や他のブログでの紹介を読んで、是非見てみたいと思って谷中まで足を運んだ。
作者は韓国・ソウル生まれの若手アーティストとのこと。
スカイ・ザ・バスハウスは元々銭湯を改造したアート・スペースとして有名な所。まだ下足箱(金属の札を使うヤツ)が残っていて、思わず靴を脱ぎたくなっちゃう(^-^;
ドローイングを除くと3点のメカニカルなインスタレーションを見ることができた。
なんと言っても一番目を引くのは銀色の花の巨大な房だろう。幾つもの金属製の小さい花(といっても開くと20センチはある)が葡萄のような形にかたまってぶらさがっていて、規則性があるのかないのか分からんが、開いたり閉じたりする。全体の上下は3メートルぐらいあるだろうか。とにかくデカい。
その個々の花の開閉は極めて優美なものである。暗く花びらの閉じた状態から徐々に白光を放ち始め、それからゆっくりと銀色の花びらを開いていき、やがてまた徐々に閉じていき闇にまぎれていく。さらに房全体の花が一斉に開く時もあれば、その逆の場合もある。
全てが金属にも関らず、一連の動作はもとよりそのフォルムも優雅この上ない。現代のテクノロジーの上に、過去に消失したような退廃がかった美が乗っているようだ。正反対の要素がなんの齟齬もなく一つになっているところが面白い。
しかし、花はそんな感慨を越えてもはや一個の生命のようでもある。
他の2点はもっと小さいもの。一つは壁掛け時計みたいな感じで壁にかかっていて、時計の針の代わりに手錠を広げたような金属の半円の連なりが幾つもクルクルと広がったり閉じたりする。
もう一つは野球のバットぐらいの長さの円筒形の作品でやはり天井からぶらさがっていた。その円筒の周りに金属の骨組みみたいのが付いていて、一定時間ごとにカチャカチャ回る。
中心に銀色の巻き貝を解体したような物体が付いているので、これも動くのかと思ってたら、係のおねーさんによると動かないとのことだった。時々巻き貝が伸びて、エイリアンみたいに客をガーッと襲ったら面白いのに--なんて思っちまいましたよ。
銀色花をもっとよく見ていたかったが、どうもこのスペースの構造があまり長くいるような感じではないんだよね。まあ、見物人に長くいられても困るんだろうけど。それに作品の巨大さの割には狭いし。遠くから離れたり近くでくっついて見たり色んな所から眺めたかったなー。
森美術館とかMOTみたいな広い所でボーッとしながら見てたらちょうどいい感じである。
行きも帰りも谷中の墓地の中を通った。天気のいい日で絶好の散策日より そういや、しばらく前に親の命日だったにも関わらず墓参りもしなかったことを思い出してしまった。親不孝であ~る
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