ラ・プティット・バンド:クイケン御大のガサガサ音に萌ゆ
LPBの今回の公演は日本全国色んな場所でやるわりには、なぜか都心ではナシ。武蔵野市民会館でやると気づいた時には、既に遅く完売だったため横浜まで行ってきましたよ。
しかも、なぜか武蔵野と横浜だけオール・ヴィヴァルディ・プログラム(バッハ無し)というのはどういう訳じゃい(?_?;
前半は「四季」全曲である。当日は冬みたいに寒い日で冷たい雨がしとしとと降っていた。そのせいか調弦、特にシギスヴァルト・クイケンのスパラには時間がかかっていたようだ。
シギスと言えば、最近は来日公演する度に「下手くそ」とか「音程ひどい」などと言われるのが常。その声を知ってか知らずか、今回はヴァイオリンは完全封印。娘のサラ・クイケンに全て任せて、自分はスパラに専念して通奏低音を担当していた。
よって、あのヴァイオリンのギコギコ音に代わって聞こえてくるのは、通奏低音に響くスパラの ガ サ ガ サ ガ サ ガ サ という音。
で、これがまた気持ちいいんであるよ(火暴)
総勢6人だけの「四季」はスカスカして軽快。掟破りの小人数だが、サラのヴァイオリンは父親に似ず(^^;)端正な音なんでアンサンブルとしてはブチ壊れては聞こえなかった。ただ、私は前の方の席だったんで、フタ無しのチェンバロの音が上に抜けちゃってるらしくてよく聞こえてこなかったのが残念。
そもそも、あまりここのホールには音の面では期待できないから仕方ないんだろう。
横浜よりも前にやった公演の感想を書いたブログで「冬」の第二楽章がエラく速い、というのを読んでいたのだが、実際聴いてみるとホントに速い(☆o◎;)ガーン!! 確かに世界最速かも。
結果としては、ここ近年のイタリア勢によるいささかオーバーアクティング気味の「四季」とは全く正反対の、スッキリ軽量余計なもの一切ナシ--になったと言おうか。
「アレンジ古楽」ではないが、何かをつけ足したり別の要素を加えたりすることで作品の新たな面が出て来るというのなら、逆にできる限りの要素を削ぎ落としていくことで浮かび上がることもあるはずである。
だから、この演奏もまた逆の意味で果敢なる新たな試みと言えるだろう。レッド・プリーストと張り合えるかもよ(^O^)
後半最初の「ラ・フォリア」は赤津真言が第1ヴァイオリンをやったが、チト生真面目過ぎな印象。
次の「ごしきひわ」で、見るからにメタボ体型のペーター・ファン・ヘイヒェンが登場してリコーダーを吹いた。これがなんだか煮え切らない音というか、とらえどころがないヒョロヒョロした音というか、今イチに聞こえたのであった。ソプラニーノ・リコーダーを使った「ピッコロ協奏曲」の方はよかったんだけどねえ(?_?;
チェロ協奏曲にて、来ました!クイケン御大がようやくソロで登場。もちろん、スパラで弾いたわけだが、これまた何故かいささかヌルい音であった。確かに、渋い音がウリのスパラであるが、以前「無伴奏チェロ」で聴いた時にはそんな感じはしなかったんだけど……(ただし、寺神戸氏の演奏)。まだ発展途上の楽器だからしょうがないのか。
アンコールの2曲めはバッハの「管弦楽組曲」から。これが結構良くってバッハ入ったもう一つのプログラムも聴きたかった。御大の無伴奏チェロもやったそうだしなあ。
またも皆様のNHKが収録していた。 \(^o^)/ 夏ごろ、放映だそうな。
それにしても、先日のアッコルドーネもメじゃない超ハード・スケジュール スゴイねー。年寄りもまざってるんだから、もっといたわってやって下せえ。……って余計なお世話かしらん。
できれば、次は都心で中規模程度の大きさの所でお願いしたい。
それから音がよく聞こえなかったチェンバロのベンジャミン・アラードのソロも、どんなもんか聴いてみたかった。《チェンバロ漫遊日記》を読むと、今23歳ってことか。こりゃ、ぶったまげた~。
チラシの中にル・ポエム・アルモニーク公演の告知の紙が入っていたので、発売のお知らせを貰えるように住所を書いて申し込む。でも、これも都心でやってくれればそっちに行きたいんだけどなあ。
【関連リンク】
辛口なご意見
《エンターテイメント日誌》
《Takuya in Tokyo》
微妙な評価
《ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2008 & 普段のコンサート通いのblog》
《♯Credo》
好評
《瞬間の音楽》
《ひろのマーラーな独り言》
ヴィオラのM・ティールスって奥さんだったんですね。知らんかったです(^^ゞ
どこの公演か?
《かめと音楽にかこまれて》
「空席多くて、残念」とのこと。横浜はほぼ満員の入りでしたが。
さて、シギスヴァルト・クイケンほど毀誉褒貶の激しい人はなかなかいないだろう。関連リンク先をご覧になれば分かるように、来日する度に様々な意見が飛び交うのである。
上にも書いたが、かつては2ちゃんねるやクラシック系掲示板で「下手くそ」「音程悪過ぎ」「もう年寄りは逝ってよし」「モダン楽器だったらプロの水準ではない」「寺神戸にソロ取らせろ」などと批判が出るのは常であった。
LPBの前回の公演でも、似たような意見を他のブログでみかけた。
以前、「無伴奏ヴァイオリン」をやった時など「暗譜で演奏しないからダメ」みたいなトンデモ意見まであってビックリしたこともある。その公演では、私は感動のあまりドトーのように涙を流したほどなのだが。
しかし、常に毀誉褒貶が入り乱れるような演奏とは、一つの評価に安住せずということであり、だからこそまた次に何が来るか分からない期待があると言えるだろう。
それに、私σ(^-^;)クイケン親爺のギコギコ音、大好きですしね。
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コメント
ラ・プティット・バンド(神奈川県立音楽堂)での演奏会をアップしたのでお楽しみください。
http://www.youtube.com/user/HDvideocollections
投稿: HD-VideoCollectoins | 2011年5月28日 (土) 08時04分