バッハ・コレギウム・ジャパン「J.S.バッハ《ブランデンブルク協奏曲》全曲演奏会」:「スパラ三人衆突撃計画」は挫折
BCJの数年ぶりの「ブランデンブルク」である。今回の目玉はヴィオロンチェロ・ダ・スパラの使用である。それも曲によってはまとめて3挺参加(!o!)ではないですか。なんでもスパラは世界中で5人しか弾く人間がいないというんだから、こりゃ画期的であーる。
だが、満員御礼のさいたま劇場の座席はなぜか後ろから3番目……(´д`;)
こ、こんな後ろではかねてより計画していた、最前列近くに陣取り、会場からつまみ出されるのを覚悟で厚かましいオバハンと化して、「キャーッフランソワ~!バディ様!!寺神戸さぁ~ん!!!」と叫びつつ「スパラ三人衆」にケータイをかざして突進し写真を撮りまくる野望が実行できないではないかっ。
これは一体どういうことか(?_?; 果たして事前に計画を察知した公安警察の妨害か、それともCIAの陰謀か、はたまたロシアン・マフィアの悪巧みであろうか。
とにかく、責任者出てこ~い(*`ε´*)ノ☆
イープラスのプレオーダーで買った席だっていうのに、なんてこったい。特別料金返してくれー。
さて、プログラムは曲番通りに進行。
コルノ・ダ・カッチャの入った第1番は全体の人数も多く華々しい印象である。何より、外人部隊二人によるコルノが演奏自体をブチ壊しかねないほどにホール全体を揺るがす華々しさ。二人のうち若い方の人も台に乗っているのかと思ったが、なんと、えらーく身長が高いのであった。きっと日本の電車に乗ったらずっと首を曲げてなければいけないくらいだろう(極めて大袈裟に書いてみました)。
ヴァイオリンにはプログラム記載とは別にD・バディアロフともう一人加わっていたもよう。
第2番はトランペット、オーボエ、リコーダーの3本が活躍する。島田氏のトランペットが時々、音がひっくり返っていた?ようだったが、前回より改良されていたのではないかと思う。
そして、三宮氏は隣の音のデカいトランペットに負けじとオーボエをパワー全開で吹きまくっていた。ここではチェロの代わりにバディ様がスパラ参加。
ここで来ました、第3番。いよっ、スパラ三人衆登場
ヴァイオリン-ヴィオラ-スパラがそれぞれ三人ずつ弾き交わしていくのを目にするのは、CDで聴いていたんでは全く分からないスリリングなものがあった。三楽章目のアレグロではもはや弦の音がダンゴ状に連なって聞こえたほど。
スパラの音というのはファゴットに似ているとも言われるが、なんか内に籠った鼻づまりっぽい音だなあと感じた。
休憩挟んで第4番はリコーダー二本とヴァイオリン・ソロ(若松さん)が絡んで躍動感ある演奏。ここではフランソワ・フェルナンデスがスパラ担当であった。
第5番ではトラヴェルソが入り、チェロに鈴木(弟)氏が復帰。これまで真ん中で客席に背を向けてチェンバロを弾いていた鈴木(兄)氏が横向きに位置を修正して臨戦態勢に入った。もちろんこれは第一楽章(ボケて最初「第二楽章」なんて書いちまいましたよ)のソロ部分のためである。このパートでは、久々に中年暴奏族と化してチェンバロをバリバリ弾きまくった。きっと、バッハ先生も当時は「オレ様の腕前をしかと見よ~文句あっか」と問答無用の勢いで弾いたんでしょうなあ。
最終第6番では位置的にフェルナンデス+若松のヴィオラ・ペアと寺神戸氏のスパラのグループと、福沢+武澤ペアのヴィオラ・ダ・ガンバと西澤氏のヴィオローネ(こりゃ「さわ」トリオですな(^^;))に分かれて演奏。「肩」楽器と「ひざ」楽器の絡み合いと対比がよーく分かった。なるほど、こうして見るとチェロの部分にスパラが使われていた可能性が現実的なものと感じられる。
長時間ではあったが、全体的に大大満足のコンサートだった。座席も元々小さ目の会場なので、ちょうど全体が均等に見渡せて、独奏の部分が次々と隣の演奏者に受け渡されていくのが分かるなどしてよかった。
「速報」にも書いたが、壮麗な第1番から渋くて地味~な中低音の第6番までの移り変わり自体がとても面白かった。
そして、バッハ先生のエラさをまたヒシと感じたのであったよ。
このメンバーでの「ブランデンブルク」を録音するらしいが、今から購入決定かなっと。
それにしても、この三日間スゴイ三連チャン公演だったんですなあ。身体だけは気をつけて下さいよ、ホントにもう(^o^;
一週間後の川崎ミューザ公演についても書きました。
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コメント
ご無沙汰しております。
可笑しかったのでさわやか革命さんの「中年暴奏族」を勝手に使ってしまいました。ごめんなさい。名古屋の山本さんも(上司がいないせいか)溌剌としててよかったですが、秀美さんのサポートを聴かれたのはうらやましいです。あーららやっちゃってるよ兄貴…な感じだったんでしょうか?
スパラに関してはいろいろ思うところもありましたが、逆にホールトーンや座席の位置に縛られない録音ではどのように聴こえるのか、なかなか興味があります。
投稿: Sonnenfleck | 2008年6月23日 (月) 21時13分
コメント+TBどうもです。
「暴奏族」の件、全然オッケーです。どんどん使って下せえ(^O^)
kimataさんとこのコメントがらみの話になりますが、’94年の北とぴあ音楽祭で鈴木(兄)氏はやはりブランデンブルクを演奏していて、実はこの時の5番が既に「暴奏」でした。今ほどではないですが、かなり溜めをきかせて怒濤のように見得をきるような弾き方だったと記憶しています。
終演してから、後ろの席の若い男性(音大生?)が「ありゃ、絶対トン・コープマンのパクリだぜ」と自身ありげに断言してたんですが、とすると元祖暴奏族はコープマンなんでしょか。
当時のパンフを見るとこの時も、フェルナンデスが参加してて、さらにトラヴェルソ+リコーダーにバルトルド・クイケン、ガンバ+チェロにW・クイケンという豪華なメンツです。(完全に忘れてました……)
では、鈴木(弟)氏は何をしていたかというと、ホグウッド+マンゼのエンシェント・ミュージックをバックに暗譜でヴィヴァルディのチェロ協奏曲をバリバリ弾きまくっていたとゆう--(@_@)
当時から暴奏兄弟だったようです(^^; コワイですねー。
投稿: さわやか革命 | 2008年6月23日 (月) 22時45分
おおっ、そんなに昔から暴奏族だったとは知りませんでした。
東京は秀美さんがチェロだったのですか。羨ましいですが、これほど「普通」のチェロが冷遇されたツアーではさすがに「付き合いきれん」と思ったんでしょうか(笑)。不動のコンティヌオはやっぱりアンタだよ!と無駄とは知りつつここで申し上げておきます。
投稿: kimata | 2008年6月23日 (月) 23時05分
えー、誤解があるかも知れませんが、私は別に「スパラ万歳派」というわけではありませぬ(^^;)
スパラはよく言えば「渋い音」ですが、悪くいえば「パンチがない」ので、単独での通奏低音はかなりキビシイものがあると思います。
まあ、今後は曲によって使い分けられることでしょう。
しかし、それでもヴァイオリニスト達の「無伴奏チェロ曲を弾いてみた~い」という野望を阻止することは難しいかも……
投稿: さわやか革命 | 2008年6月24日 (火) 22時45分