「音楽劇 ガラスの仮面」:オバハン達の少女マンガ魂は不滅ですっ
彩の国ファミリーシアター
演出:蜷川幸雄
会場:彩の国さいたま芸術劇場
2008年8月8日~24日
→この看板を見ると一番エラいのはやっぱり月影先生かしら
マンガの『ガラスの仮面』たら、わたくし昔っからの大ファンですの。今を去ることウン十年前、まだわたくしがピカピカの学生時代(そんな時期もあったんですのよ 今となっては遠い過去ですけど(泣))には必ず本屋で毎号「花とゆめ」を立ち読みしてたものですわ。で、必ず毎回いい所で終わっちゃうのよねー。そして、また次号の発売を心待ちにするという次第。
このお芝居はそんな一番「『ガラかめ』が燃えていた時代」の最初の5巻あたりまでを音楽劇に仕立てたものだそうです。
ファンなのに「だそうです」って伝聞型なのはどういうことよ?と外野からツッコミが来そうですけど、確かめるためにコミックスを開いたらまた最初から最新の42巻まで読んでしまうじゃありませんの!(火暴)
過去に何度も映像化、芝居化されているんですけど、今回は蜷川幸雄が演出ですわ。えー、またニナガワ~(~o~)とか思っちゃうのはわたくしだけかしらん。だって、こちらの初日から三日目ぐらいまでと、関西での『道元の冒険』公演の終盤が確か重なってたはず。映画の『蛇とピアス』もやってるし、もしかして影武者が何人もいるのかしら(で、全く同じように灰皿を投げる)なんて疑っちゃいません?
さて、始まってみますと内容は「メタ演劇」とでも言うのかしら。それとも劇場自体を舞台にしたお芝居でしょうか?
開演前に客席の方から普段着の役者たちがどんどん舞台に上がってきて、バーを並べてレッスンを始めるところから開演になるんですの。それから観客が『ガラかめ』内で行われているお芝居の観客でもあるように設定されてたり、客席に演劇評論家(役の役者)が座ってたり、劇団員(役の役者)たちが通路で拍手したり歌ったり……と、客席もまた舞台、観客たちもまた役者の一人、みたいな感じでしたわ。
もっとも、わたくしは二階席だったもんでそういう臨場感は皆無でしたけど
アニメはともかく、生身の役者を使って『ガラかめ』をやる時の最大の困難は姫川亜弓のキャスティングですわね。周囲の人が全員振り返るような超・美少女なんて現実にいるもんじゃありませんわよ。
今回オーディションで決めたという奥村佳恵は小さい頃からバレエをやってたとのことで、スラリと上背があって立ち居振る舞いもリアル18歳とは思えぬほど落ち着きがあってキマってましたわ。ただ、歌と芝居はちょっと……でしたけど。中で踊った「サロメ」がよかったんで、そちら方面での今後の活躍を期待、ですわね。
マヤ役の大和田美帆はもうこれまでのキャリアのある人なんで、無難に役をこなしてたと思います。
一方、若手男優陣にはかな~り不満。大体にして速水社長といったら社内の女性社員全員が「まあ、若社長」と目がハート印になるくらいのオーラ出まくりなのに、残念ながらその点今イチから今サンぐらいでしたわ。わたくしの独断ですけど、この役は若い頃の田村正和以外には適役はいませんわねー。
同様に桜小路くんも……まあ、役柄自体が控えめな役なんで不利と言ったら不利ですかしら。
あと、麗の役はちゃんと女優さんにやって頂きたかったわ。男装の麗人に憧れる女子の心理をまるで理解していないキャスティングでしてよ。
しかし、なんと言っても一番輝いていたのは月影先生役の夏木マリでしたわ。意外だったといってはなんですけど。杖をついている役なんでダンスはありませんでしたが、お芝居も歌もさすが堂々の貫禄ありまくり。二階席から「月影せんせーっあんたが主役」とかけ声をかけたくなりました。
これからはマリ御姉様と呼ばせて頂いてよろしいかしら(*^-^*) ポッ
演出は--雨が降ってましたわね。そう、ホンモノの雨がやたらとステージに降るんですの。わたくしビックリ(!o!)
だから、クライマックスの『たけくらべ』が肝心のマヤと亜弓の演技合戦じゃない場面をやってたのは雨を見せたかっただけなのかしらん、と疑っちゃいました。ほら、人間オバハンになると疑り深くなるもんですから。
一緒に見てました友人が「ニナガワ、手を抜いたなー」と言ってましたけど、まさしくそんな感じでしたわね。
それにしても「ファミリーシアター」と銘打っているわりには、私たちぐらいのオバハンが客席の大多数を占めてました。……いいえっ、みんな年はくっても心はいつまでも「少女マンガ乙女」ですのよっ。文句ありまして(~ ^~)
| 固定リンク | 0
コメント