「舟越桂 夏の邸宅」:融解する時間と記憶
アール・デコ空間と彫刻、ドローイング、版画
会場:東京都庭園美術館
2008年7月19日~9月23日
建物自体が都の文化財となっている庭園美術館で舟越桂を展示--とはあまりにハマリ過ぎな企画ではないか。美術系のブログの評判もよろしいようで、平日の昼間に夏休みをとって見に行ってきた。庭園美術館に前回行ったのは確かガラヴァッジオを見た時以来……ウン年ぶりである。
足を踏み入れてまず驚いたのは、 オバサンばっか (-o-;) いや、私σ(^-^;)もオバサンですけど、それにしても割合が多い。残りの女性は若い学生風で、男性は5%ぐらいしかいない。サラリーマンやOLなんかは平日に来られないから当然といや当然だが、それにしてもオドロキである。
私は見損なったが数年前にMOTで彼の展覧会があって、今回はそれ以降の作品を中心に展示しているとのことである。確かその前後に父親の舟越保武が亡くなって以降、作風がガラッと変わってしまったと記憶している。父親の権威の重圧とか無意識にあったんだろか?などと当時、推測したものだ。
その、エロさ爆発な両性具有のスフィンクス像が幾つも展示されている。旧作やドローイングもまじってカーテンの閉ざされたひんやりと空調の効いた薄暗い室内にたたずんでいた。外の木立で鳴く蝉の音が静かに聞こえてくる。中にはバスルームで展示されているのもあった。どれもこれも雰囲気がピッタリ過ぎである。
苦虫を噛みつぶしたような「戦争をみるスフィンクス2」の表情が独特だった。あと、旧作だがセーターを着た若い男性像が猫背なのがミョ~に気に入った。
とはいえ、どれもこれもしっかりと見て印象に残したはずなのに、なぜか見る端から記憶からすり抜けて行ってしまうような気がしたのは何故だろう? 今となっては本当に見たのかどうかさえも曖昧に思えるのだ。
そんな中で「冬の会話」という作品が展示されていた部屋は中には進めず入口から見るようになっていたのだが、そのために空調をきかせていなかったのか、部屋の中から湿った古い木造家屋特有の匂いが漂ってきて、それがとても懐かしい感じだった。それで、何度もそこに行っては鼻をヒクヒクさせて嗅いでしまった(怪しい奴……)。もしかしたら、部屋の匂いではなくて彫像の木材の香りだったのかも知れないが、不思議なことにその匂いは今でも鮮明に思い出せるのである。
美術館のミュージアム・ショップはかなり行きにくい場所にあった。外から回れるのかと思ったらダメとのこと。もうちょっと掲示を何とかした方がいいんでは(?_?;
カタログとは別の、展示風景を写した写真集(200円ナリ)を買って帰った。
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