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2008年9月23日 (火)

苦しくなる母親本二冊

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*『母が重くてたまらない』
墓守娘の嘆き
著者:信田さよ子
春秋社2008年

*『母は娘の人生を支配する』
なぜ「母殺し」は難しいのか
著者:斎藤環
NHKブックス2008年

母と娘の「特殊な関係」について同時期に二冊の本が出た。要するに「揺りかごから墓場まで」完全密着した母娘の関係である。

信田さよ子は自分が担当したカウンセリングの事例の中から、これでもかーっというぐらいにイヤな話を紹介する。その幾つかは、私個人が過去に見聞した母娘関係によく似ていてゾッとしてくる。
自らの価値観を娘に押しつけ同一化させ教育し就職はもちろん結婚相手にまで口を出してくる。ウンザリだー(>_<) しかし、その原因は女が所詮「母であること」しか居場所がない、存在理由がない社会のせいもあるかも知れない。
タイプ別の母分析や、そも「母」とは何ものなのかの解明、さらには問題解決への道筋が最後に示される。実際に今「母」に苦しめられている人にはこちらがオススメか。

もう一冊は精神分析的な観点から斎藤環が見たものだ。実例だけでなく映画や小説、少女マンガなどフィクションも多く取り上げられている。
著者は父-息子などとは違って、母-娘関係に特殊で複雑なものであると捉えて客観的な分析を試みている。その大きな要素を「身体」としたのは確かに頷けた。
身体の「共有」あるいは「支配」というのの卑近な例としては、母娘で服やらバッグを共有して使いまわすというのがあるのではないだろうか。父親と息子がそういうことをしているというのは寡聞にして知らない。(もし「オレはやってるぞ」という方がいたらモニターの前でハイッと手をあげてみて下さい(^O^)/)
こちらの本の方が、どちらかというとあまり母親を断罪しない方向で書かれているようだ。
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いずれにしてもこのような母娘関係においては、父親の存在が空洞化しているのが特徴である。
また、母親から逃走するために結婚するという道を選ぶのは、私にはちょっと理解できない。だーって、同じ轍を踏みそうじゃないかね もっとも、自分が独自の家庭を作ってしまえば母親は迂闊に踏み込んで来れないというのもあるかも知れないが。

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