「液晶絵画」:次のいずれかを選択せよ、あなたが見たのは(1)アート(2)液晶モニターの画面
舟越桂を見た後に山手線を一駅乗って、軽~く見てこようかと思っていたのが大間違い。軽くどころか出品作品をすべて完全に見るには朝から晩まで美術館の中にいても時間が足りないかも……
要するに高精度の液晶ディスプレイを使って様々な映像作品を見せようという趣旨のものである。だからといって作品自体は新しいものばかりではなく、ビル・ヴィオラなどは1970年代後半の作品だ。
所要時間も様々、ジュリアン・オピーはあっという間(2、3秒?)だが、楊福東という人のビデオ作品は6つの画面にそれぞれ別の映像が20分流れるから完璧に見るには2時間かかる。
時間に余裕がある日に来るのがベストでしょう。
完全に屏風絵を意識したようなのが千住博。巨大なモニターを何枚も連ねて水墨画のような幽玄な世界である。こうなると見るというより飾っておきたい作品だ。
やなぎみわは原美術館でも見た「老女」シリーズのひとつ。
ブライアン・イーノは自らの環境音楽も使った「環境美術」作品。ただ、裸のねーちゃんが水にプカプカ浮いてる映像を延々と見せられてもねえ。音楽はいいけれど。
オペラシティのアートギャラリーにもあった「鑑賞客参加作品」がここにも 一つはドミニク・レイマンの「異端審問裁判」。死刑を宣告され今にも斬首されようとする男を見物するように客の姿が写りこむ仕組みだ。テーマ的には相当辛辣なんだけど、わざと写りこむのにタイムラグを置いているので、気づかずに立ち去ってしまう人が結構いた。
それから鷹野隆大の「電動ぱらぱら」はモニターを3~4個縦に重ねて色んな人が服を脱ぐ場面を部分的に(足とか腹とか)バラバラにして繋いだもの。その内一つの「顔」の部分に鑑賞者の顔が写ってビックリ(!o!)となる次第--なのに、私の顔は写らないのは何故よっ(`´メ)
必死に写ろうと立つ位置を色々と変えてみる(おバカな奴……)と、今度は下の部分の映像と顔のサイズが合わない。どうも身長170センチぐらいの人じゃないとダメみたい。へっ、私のようなチビは相手にされてないわけですかい、どーせ(ひがむ)。
森村泰昌は自らがフェルメールの少女に扮した静止画作品をイーゼルの上に飾って手前に置き、奥の壁のモニターではその少女の前後の動作を再現して見せるというもの。両方を視界に入れながら見ると、そのなり切りぶりへの驚愕度3倍増となる。
個人的に壁に飾っておきたいのがジュリアン・オピー。風景画も人物画も見てて和みます。今、水戸芸術館で展覧会やってんだよねー。いいなあ(+_+)
ただ、最後に出口の所に華々しく協力企業の名がライトアップされているのを見たらなんだかはっと我に返りシラケてしまった。そう思えば、企業協賛による液晶大画面モニターの宣伝会とも見れなくもない。
思い返すと、ここの美術館は過去にも「パラレル・ニッポン」という建築業界宣伝会みたいのをやってたではないか。アートと産業の麗しい協力関係ですかねえ……。ここはひとつバンザイ \(^o^)/と言ってあげなきゃいけないのかなっと
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コメント
plenoです。
明日、ミト・デラルコ公演を聴きに水戸芸術館に行ってきます。コンサートは14時からなので終わってから少し時間があるので「ジュリアン・オピー」を見てきます。ちょうど良かったです。レポートありがとうございます。
投稿: pleno | 2008年9月 6日 (土) 14時33分
|少し時間があるので「ジュリアン・オピー」を見てきます
う、うらやましぃ~。以前、メイプルソープの展覧会があった時に行ったことがあるのですが、さすがに疲れてそれ以来、行ってないのです。
J・オピーはモロにモダンアートなので古典的なものを好きな人だと拒否反応を示すかも知れません(^^;
なんていうのかな……人間性の微妙な差異を全て記号に還元してしまって、なおかつそこにシニカルなユーモアを感じさせるというか。
投稿: さわやか革命 | 2008年9月 6日 (土) 23時38分