ヘンデル/オラトリオ「セメレ」:神の仲間入りはできなかった女
出演:チェチーリア・バルトリ 他
演 出:ロバート・カーセン
演奏:ウィリアム・クリスティ指揮チューリヒ歌劇場・シンティルラ管弦楽団
会場:チューリヒ歌劇場
2007年1月28日、2月2、4日
*TV放映
NHK-BSでやっていたので見てみた。録画しながら見始めたのだが、おもしろくてつい最後までそのまま見てしまったのである。
クリスティは客演指揮ということになるのでしょうか? 通奏低音のメンバーも最後のクレジットに名前が出ていたので外部から呼んだのかも知れない。
『セメレ』はオラトリオだから当然演奏会方式でやるものだろうが、この公演では完全にオペラの形式を取っていた。衣装の感じだと1940~50年代?欧州の王国の社交界が舞台となっているようである。元の話はギリシア神話で、話が進むうちにこの物語を扱ったモローの絵画を見たのを思い出した。
王女セメレは婚礼の席から婚約者を放っぽってジュピター(ゼウス)の元へ。嫉妬した妻ジュノーは陰謀をめぐらしセメレの妹に化けて接近し、彼女をそそのかしてジュピターの本当の姿を見せるよう懇願させるのであった。神の真の姿に触れた、セメレは雷に打たれてご臨終……
神話とは言え、非常に人間臭~い話である(まあ、ギリシャ神話はみんなそうですが)。それをコミカルな演出を加えて面白く見せていた。ヘンデルのいささか大仰な曲調とそれがうまく合っている。
特にジュノー&アイリスのコンビは漫才のよう。セメレ役のバルトリは体にシーツ巻きつけて愛の歌を歌ったり、ジュピターをベッドから蹴落としたりして笑いを誘っていた。歌唱の方も拍手喝采。舞台装置もあまりうるさくなくてよかった。
ラストはジュピター&ジュノー臨席の華やかな舞踏会となるが、そこで徳ある行いを称える歌がコーラスで歌われる。現代人の感覚だと「どこに徳があるの?」なんて思っちゃうのだが、皮肉で笑えるオチを付けてちゃんとシメていた。
今回は動作や演技が付いてるからいいけど、演奏会方式だと「ちょっと長過ぎです!ヘンデル先生(~o~)/」と言いたくなってしまうアリアもあって、当時の聴衆はどういう風に聴いてたのだろうなんて疑問を感じたのであった。
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