「アヴァンギャルド・チャイナ」:中国芸術は爆発だっ!
〈中国当代美術〉二十年
会場:国立新美術館
2008年8月20日~10月20日
文革後、中国は開放政策へと転じ、その結果海外の美術も一挙になだれ込んできたという。で、短期間のあいだに様々なムーヴメントが生じては消えていったらしい。この展覧会ではそれをイッキ紹介--ということで、インスタレーションあり、映像作品あり、パフォーマンスあり、油彩もあれば、美術史に言及した作品もあり。現代アートの全てが凝縮し、かつ爆発しているような展覧会であった。
一番印象的だったのは二つ。チラシにも使われている方力釣の絵画作品。銭湯の風景絵みたいな青空をバックにしたこの空虚さ・不気味さがたまりません。
それから13人の老人--と見せかけて、実は精巧な人形を乗せた車椅子が静かに動き回る「老人ホーム」(孫原+彭禹)。服装から老人たちが様々な国の人間であることがわかり。ある者はグッタリとし、またある者は缶コーヒーを握ってたり、イヤホンで音楽を聴いている。壁の脇で止まったまま動かない車椅子があれば、あちこち動き回って衝突を繰り返すのもある。見ていて飽きない。しかもホントに人形がよく出来ていて、それが無音で延々と走っているのは異様としか言いようがない。これはマジに一見の価値ありと断言しよう。
しかし、展示場所が病院のように真っ白い壁のスペースだから余計に寒々して見えるが、これが東京都庭園美術館みたいなアール・デコ調の邸宅だったらどうなるかね(^^;)
余計に不気味だったりして……
他に、様々な国の人々に「私は死にます」と言ってもらう映像作品は、スクリーンがデカ過ぎてよく把握できず。小さいモニターの方がよく分かるかも。あ、でもそうすると音声が混じってしまうか、ウムム。
チョー汚いトイレで蝿の群れに自分の体をたからせるパフォーマンスは見ているだけでもカンベン(>y<;)という感じ。
一方、一番若いアーティストが作った「ヒップ・ホップ広州」(そこら辺のオヂサンオバサンやニーチャンをつかまえて踊らせた映像)という脱力系作品もあった。
このように百花繚乱な作品群はなんとなく先カンブリア紀の変テコな生物群の出現--カンブリア爆発を思い起こさせるようだ。これから先もまだまだ何が出てくるか分からないぞ、という印象である。
だがしかし、いずれの作品にもシニカルな自己言及が見られる。それこそが極めて「現代」(当代?)的だと言えるだろう。
帰りは東京ミッドタウン地下のスーパーマーケットで買い物してみた。さすがに六本木はスーパーも違うのうと感心。
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