「オン・ユア・ボディ」:このヌルさが「今」なのだろうか--なんちって
日本の新進作家展7
会場:東京都写真美術館
2008年10月18日~12月7日
若手女性の写真・映像アーティスト6人を取り上げた展覧会。
チラシに使われているのは志賀理江子の作品である。数か月前に東京オペラシティのギャラリーで開催された「トレース・エレメンツ」でも彼女の写真がチラシに使われていた。もしかして、この方面で今一番人気のアーティストなんですかっ(^^?
さて、その志賀理江子の肝心の展示コーナーだが、これが半分ぐらいの作品がオペラシティと同じ。ありゃーという気分である。ま、何度見ても面白いからいいけど。
チラシに使われている作品も「フ女子の夢」を具現化したみたいで変(ホメ言葉よ)。
逆に「?」印が付いたのが高橋ジュンコという人のビデオ作品。オフィス街やビルの工事現場みたいな索漠とした都市の光景に若いねーちゃんが一人佇むという光景。……だから、なんなのよ(-_-;)と言っちゃおしまいか。
どうせだったら、ねーちゃんを抜かして都市の映像だけにした方がよかったかも。
それから、最初見た時に意図不明だったのが朝海陽子の作品。様々な人種の人びとが自宅でボーッと座っている。人数は一人から大勢の家庭まで様々。いわゆるファミリー・ポートレートってヤツですか? それにしては、みんなカメラの方向を向いて不機嫌そうな無表情で座っている。
……と、ここで貰った解説を見てみると(展示コーナーにあるのは作家名だけで、作品名も何も解説風のものはない)、作品タイトルは全て映画の題名と都市名の組合わせになっている。ようするに色んな都市の自宅でビデオを見ている人びとを、モニター側から撮ったものだったのだ。
笑っちゃうのはどんな映画でもみな同じような表情でボーッとして見ているということ。ホラーだろうが、アニメだろうが、文芸大作だろうが関係ない。アクション映画だからコーフンして見ているということはないし、コメディだから大笑いしているわけでもないんである。
映画ファンならたいてい知っている映画ばかりだが、写真の人びとが何を見ているかを当てられることは絶対ないだろう。
←さて、この子どもたちが見ている作品は?(ヒント:実写で、大ヒットした洋画コメディ。主人公の子役は「あの人は今?」状態)
それにしても、なんで作品の所にタイトル出してくれないの? おかげで、会場の至る所で立ち止まって解説の冊子を凝視している人が多数(照明が薄暗くて字がよく見えない)なのであった……
全体的にやや散漫な感じの印象の展覧会だった。なんか「若い娘っ子(←というほど若くはないだろうけど)写真家が出てきてるからここで一つ、まとめてやってみっか」みたいな安易さである。客は若い人(&外国人)が多かったけどね。さすが、ジョットやワイエス展とは大違い(^^;)
次に別の階でやってる「ヴィジョンズ・オブ・アメリカ 第3部 アメリカン・メガミックス」を見に行く。
このシリーズは第1部も第2部も見損なってしまった。今回は1957年から87年まで。ロバート・フランクやL・フリードランダーのように米国の光景を切り取ったものから、ユージン・スミスのように60年代末のジャーナリスティックなヤツ(日本人写真家も多数あり)、そしてシンディ・シャーマンやダイアン・アーバス、J・P・ウィトキンと終盤は混沌としてくるのであった。ナン・ゴールディングとC・シャーマンが活躍してたのが時期的に重なっていたとは意外。
個人的にはリチャード・ミズラックが懐かしかった。昔、ミズラック展見に行って、ポスターと作品集も買ってしまったんであるよ。
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コメント
こんにちは。
イマイチでしたね。
なんだか中途半端でした。
でも上の階で
シンディー・シャーマンが
観られたのでとりあえずokでしょうか。
投稿: Tak | 2008年12月 5日 (金) 16時47分
「アメリカ~」も後半の方はリアルタイムで見ていたので、こうして「写真史」としてまとめられてしまうと、作品の周囲を取り囲んでいた膨大な文脈というものはスッポリと抜け落ちてしまうものなのだなあ--と変な所で感慨にふけってしまいました。
投稿: さわやか革命 | 2008年12月 6日 (土) 12時08分