「Art of our time」:ああ~、上野の雨は「マイスタージンガー」に冷たくそぼ降る~(歌謡曲風)
高松宮殿下記念世界文化賞二十周年
会場:上野の森美術館
2008年9月27日~11月9日
世界の芸術家を対象として分野ごとに傑出したアーティストを毎年一人ずつ顕彰する高松宮殿下記念世界文化賞。ニ十周年を記念して絵画、彫刻部門の受賞者41人の国内所蔵作品をイッキに集めて紹介--という企画である。
この賞の美術系は結構とんがった?選出がなされていて、メンツを見ると一時期出版された「アート・ランダム」というシリーズ本を髣髴とさせる。
アンゼルム・キーファーが受賞したのは、ちょうど美術バブルがはじけた頃で、「氷漬け絵画」(氷のアートではなくて投機の対象とされた揚げ句、最後は借金のカタに取られて倉庫に放り込まれたままになった大作群)が話題となったあたりだったと記憶している。大作が多かったキーファーの作品はかなり「氷漬け」になっていたようだ。
とはいえ、当時(今でも?)まともな作品集が日本で出版されていない(評論書は出たが)アーティストでもそういう賞を貰うのだなあ、なんて変な感心をしたのであった。
で、この展覧会をおそまきながらでも11月初めの連休に見に行こうなんて予定していたのだが、なんとデパ地下で買ったスシにあたってしまい(^o^; 家でパッタリと倒れていたのである。
悔し紛れに他のブログの感想を覗くと「アッサリし過ぎ」「なんだか心に残らず」なんてあって、こりゃもう行かなくてもいいかなあと諦めかけた頃に読んでしまったのがこの《弐代目・青い日記帳》の紹介記事だっ。
な、なんとキーファーの「マイスタージンガー」が出品されているというではにゃあですかっ
(!o!) ナンダッテー
(>_<;) アンマリダ~
ω(T_T)ω ワナワナ
あの、セゾン美術館のキーファー展で大衝撃を受け、その後二、三日は夢にまで出てきた「マイスタージンガー」を再見できるとあらば、例え上野の汚い雑踏を這ってでも見に行かねばなるまい。
しかし、あろうことか土曜日は休日出勤に当たってるもんで、仕方なく雨模様の中、最終日の日曜に行ったのであった。
まず、最初に出会う入口の草間彌生のインスタレーション? テントウムシみたいなウミウシみたいなヤツでカワユイッ
中に入ると錚々たるメンツの作品が次々と……まさに現代アートの教科書に出てくる作品の実物が見られます、アリガタヤてな感じである。
しかし、これだけ各種エネルギーを様々に発している名作が並んでしまうと、相殺されてしまうもの、それでも目立っているもの、アッサリと忘れてしまうものなど色々あるようだ。
そういう意味で良かったのは、リチャード・ハミルトン、李禹煥、あと無数のサイコロをつなげたトニー・クラッグ。ジョージ・シーガルも印象強かったかな。
逆にエネルギーが薄まっていたのはボルタンスキー。三宅一生と同じスペースというのはあまりにナンじゃないですか(~_~;)
そして……キーファーであった。
そばに似たような傾向のザオ・ウーキーの大作が展示されてたのもまずかったのか。最初に一目見て思ったのが「ありゃっ(?_?; こんなに小さかったっけ」である。もっとすごーく大きくて見る者を圧倒していたような記憶があったのだが、他の大作と並ぶとそうでもなく見えた。
そして他の作品よりも、よく言えば「荒々しい」、悪く言えば「粗野」「小汚い」と見えてしまったのであった。
十数年前に見た時の、画面から恐ろしい怨念が吹き出してくるような呪力に近いエネルギーの塊はどこにも感じられない。その後、3回も戻って見直したが(どうせアヤシイ奴です)やはりあの時と同じ恐れを感じることはできなかった……。
_| ̄|○ ガクッ
そして、私はガックリとしたまま雨の上野を去ったのであった。
【どうでもいい話】
*図録の「マイスタージンガー」の写真が実物よりも色鮮やかなのはなぜ(^^? 昔撮った写真を使ったのかしらん。
*しばらく前、CS放送でTVアニメの「シンプソンズ」の再放送を見てたら、ジャスパー・ジョーンズが本人役で出演(声の)していてビックリ。ホーマーが作ったアート作品をかっぱらってましたな(^O^) 文学・芸術関係の有名人も時々ゲストで出るんでビックリよ。
←1993年のキーファー展のチラシ
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