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2008年12月25日 (木)

「ウォーリー」(字幕版):前半の詩情、後半の風刺

081225
監督:アンドリュー・スタントン
出演:ロボットの皆さん、人間の皆さん、ゴキ●●一匹
米国2008年

名も知らぬ遠き船より~、流れ来たるロボット一つwave

待望のピクサー・アニメ来たキタキターッヾ(^^#)ゝヾ(^^#)ゝ……ということで、わざわざ字幕版探して見てきました。

人間が地球を去って700年、廃品回収ロボットのウォーリーは、他のロボットがすべて壊れてしまった後も一人セッセコとゴミ回収→圧縮作業を律義に繰り返し、塔状に積み上げたゴミのキューブは摩天楼の廃墟と見紛うほどになっている。ここら辺の描写の映像は見事なもんである。
彼の数少ない楽しみは古いミュージカル映画(『ハロー・ドーリー!』)の男女が歌い踊る場面のビデオを見ることと、お宝廃品の収集。
そんな彼の前に突然、飛来した巨大宇宙船の中から凶暴ツンデレ美女(?)ロボット・イヴが出現したのであった(!o!)

てな訳で、前半はほとんどセリフもなく孤独で荒廃した世界の淡々とした描写が中心を占めている。後半になると打って変わって、宇宙船に回収されてしまったイヴを追いかけて宇宙を股に--じゃなくてキャタピラにかけたドタバタ風展開となる。

ここでようやく人間が登場。遠い昔、人間は数年間留守にしている間に環境をクリーンにしてくれるという宇宙クルーズ・ツァーに出ていたはずなのだが……。
しかしまあ、ロボット達がそれぞれユニークで個性豊かなのに、人間たちのなんと画一的で醜悪なことよng ブヨブヨと肥満して自分の足で立つこともできないのだ。
これは飽食の極致である米国人を風刺していると思われるが、一方で常にモニターから目を離さず、片手にカロリー高そうなジャンクフードを離さない姿は、地域に関係なくケータイ・ネット依存症の現代人を思い起こさせる。
なにせ、日本でもしばらく前から丈長のカップに入ったスナック菓子が発売されているけど、それは片手でケータイやりながら食べやすいようにというのだから笑えない。
こういう所は容赦なく辛辣なのであった。

そして歴代船長の背後には、あの悪の首領--じゃなかった(;^_^A お馴染みの「赤くて円いライト」が控え(船の舵みたいな装置におさまっているのが笑える)、人間様の口出し無用とばかりに艦内の一切を取り仕切っているのだった。セリフや音楽にもモロに『2001』のパロディが登場する。

さらにこのドタバタに、働き過ぎで?壊れて診療所に入ってるロボット達が参入。こういう「はぐれ者」が活躍するのもいかにもピクサーらしい。その中のパラソル風のロボットはどう見ても日本のカサのお化けがモデルではないだろうかねrain 元ネタは水木しげる先生か?
汚染物質を見つけると床をフキフキせずにはいられないお掃除ロボットもよいっshineウチにも是非一体欲しいです。なにせ汚染物質だらけなんで……(^o^;)

結局、ウォーリーの闖入によってこの状況は変化するのだが、基本は「純愛」話なんで結末はちょっと甘~いheart01という感じか。よって、ひねくれ者としてはやや点数は低めになったが、現実が不景気なご時世だからこういう話がいいかもですねえ。

主役のウォーリーは健気でかあいいヤツです(^^) ちょっと粘着な所があるけど、700年も同じことを繰り返してきた奴なので大目に見てやろう。
それにしても、終盤でイヴの目のライトのごくわずかな揺らぎによって微妙な感情の動きを表現してしまうのは感心した。冒頭のウォーリーの一人(と一匹のゴキ)芝居の部分などと共に、もはや実写では表現不可能な域に達しているとしか思えない。

監督のA・スタントンは『ファインディング・ニモ』や『バグズ・ライフ』の監督も担当した人。『ニモ』も好きだけど、『バクズ・ライフ』に至っては字幕・吹替え共にそれぞれ2回以上見たぐらいに大好きっ \(^o^)/ ピクサー組の中ではかなり個人的にヒット率が高い。

元SF者としては、SF心をくすぐられる所も多かった。あー、私も土星の輪をサラリンと触ってみたいなあ。
宇宙・環境問題・ロボットというと、思い出すのはダグラス・トランブルの監督作品『サイレント・ランニング』(1972年)である。マイナーなB級系SFカルト映画だが、元ネタとして影響大かも知れない。

ところで、あのやたらに丈夫なゴキは地球最後の一匹かなっ(@∀@)ウヒャ ん?しかし「一匹の背後に30匹いると思え」というから、もしかして……danger
エンド・クレジットが今回も面白い。美術史をなぞったよう。歌は久し振りに登場のピーター・ガブリエルだ。しかし、最後の最後に劇中で登場する巨大企業(「BNL」だっけ?)のロゴが出現するのは謎(?_?;

中で使われている歌の字幕も出して欲しかった。ご近所のシネコンで今度は吹替え版を見てみることにしよう。


主観点:8点
客観点:9点

【関連リンク】
《ヤジャの奇妙な独り言》
ウォーリーは1メートル四方もある?!というのビックリ。とすると、あのゴキの大きさは……考えないようにしよう(>_<)

《好きな映画だけ見ていたい》
気づきませんでしたが、宮崎アニメの影響もあるようです。

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コメント

TBをありがとうございました。
宮崎アニメとの関連に関しては、別の方が
「ナウシカ」や「千と千尋」との共通点を
挙げていらっしゃいましたが、
こういう寓話的アニメでは、なんといっても
いろいろな要素が渾然一体となって
ひとつのハーモニーを醸し出すのが魅力ですね。
パラソルロボットはたしかに水木しげる的でした^^

投稿: masktopia | 2008年12月26日 (金) 13時50分

コメントありがとうございます(^^)

どちらかというと、過去の米国SF映画の要素に気を取られていたので、もう一度見に行った時は宮崎アニメ成分にも気をつけてみてみたいと思います。

投稿: さわやか革命 | 2008年12月27日 (土) 12時49分

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