「石田徹也-僕たちの自画像-展」:苦痛の残滓
以前から書店で画集を見かけて気になっていた石田徹也。なかなか時間が取れなくて、ようやく終了間際に作品展に行ってきた。
彼は数年前に亡くなった若い画家だが、会場は若い人だけでなく様々な年齢の男女で賑わっていた。
初期の作品はサラリーマンや若者の無機的な生活を自虐的なユーモアをまぶして寓意的に描いている。だが、やがて沈鬱なイメージが氾濫、描かれている内容もなんだかドロドロした悪夢のように変化してくる。それは痛ましいほどである。
野次馬的な観点からみると、プライベートでなんかあったのかしらん?などと詮索してしまいたくなるような変容だ。
作品の大きさも結構あって、画集だと全く気づかなかったが、床板の木目とか草木などかなり細かく書き込んであったのが意外に思った。
『不思議の国のアリス』のチェシャ猫が姿は消えても笑いだけが残っていくように、見ていると作品としての絵画は消えても、自傷的な苦痛のイメージが残る……そんな作品群であった。
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