TPT「ウルリーケ メアリー スチュアート」:日本語のせいにしよう
作:エルフリーデ・イェリネク
台本・演出:川村毅
会場:ベニサン・ピット
2008年12月28日~2009年1月10日
「オーストリアで最も憎まれている女性作家」にしてノーベル文学賞受賞者、映画『ピアニスト』の原作者としても知られるエルフリーデ・イェリネクの戯曲を初上演。演出は川村毅……ん?イェリネクに川村毅の組合わせで大丈夫か(?_?;
と、思ったがとりあえず行ってみることにした。
会場はベニサンピットでマジに十ウン年--いや、もしかしたら二十年ぶりぐらいに行ったのかも(-o-;) 知らなかったのだが、一月末で閉鎖してしまうそうである。
さて、内容は……久し振りに難解な芝居を見たなあ~という一言に尽きる。1970年代のドイツ赤軍の二人の女闘士(グードルンとウルリーケ)、英国のエリザベス女王とメアリー・スチュアートの関係を重ね合わせているというのだが、そもそもドイツ赤軍の話自体ほとんど無知なのでそこでつまずいてしまうのであった。
後で調べてみたら、ウルリーケの姓はマインホフで、いわゆる「バーダー・マインホフ・グループ」の片割れなのであった。
で、四人の女が出てくるのかと思ったらさにあらず、エリザベス女王がウルリーケをメアリーに重ね合わせて延々と罵倒しなじるという構図が続く。その怒りはウルリーケが目指した革命や犯した犯罪ではなく、彼女が刑務所で自ら首を吊ったという行為に対して向けられているようだった。
その原因は聞いてても不明、とにかくエリザベスが--というより正確には、作者がとにかく彼女に大きな怒りを抱いているとしか分からないのであった。
そして二人のヒロインの独白は長く、難解で、頭に全く入らず耳の間を通り抜けて行くのである。
で、元の芝居は3時間もあってドイツ人しか知らないような固有名詞が出てくるので、削って代わりに川村毅が付け加えた日本の連合赤軍の話が登場する。若手の役者によるこの部分はハッキリ言ってかなりボルテージが下がる。「余計なお世話」感が大きい。川村毅にはどうせなら単独でこのネタの芝居を書いて欲しいね。
もっとも、下手な事書くと団塊オヤヂ世代にぶん殴られるかもよ
……ということで、何一つ理解できないまま終わったのであった。それは私の脳ミソがボケているせいだろうか、それとも日本語がそもそも論理的なメッセージを伝えるのに向いていないせいだろうか? 私としては、日本語のせいにしたいけどさっ(^○^)
それにしても、革命とは本来人間を解放するためのものではなかったのか? それなのに何故、革命についての言説は硬直し不自由なのか。革命を語れば語るほど苦しく拘束されていくような気分になるのはなぜかね。
老人&「あの方」の役はダブルキャストということで、この日は小林勝也だったが、もう一人の手塚とおるの「あっ、そう」も聞いてみたかったなー、残念無念
私が行ったのは4日だったが、いくら正月の連休とはいえ周囲はまるで死んだように静まり返った町並み。閉まった作業場やら商店ばっかりでほとんど人も歩いていない。何せ、地下鉄の階段に「痴漢が出ました」なんて掲示があるぐらいなんだから、いかに普段から人通りが少ないか、である。町としての東京下町の空洞化をヒシと感じた。
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