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2009年3月 2日 (月)

ザ・ロイヤル・コンソート2009「ヴァイオルを鳴らせ」:そして、消え行く音を聞け

090302_2
演奏:ザ・ロイヤル・コンソート、波多野睦美、上尾直毅
会場:日本福音ルーテル東京教会
2009年2月25日

ヘンデルと並んでパーセルも今年はメモリアル・イヤー。生誕350周年ということで、記念公演を銘打ったコンサートがあった。
ヴィオール奏者集団によるザ・ロイヤル・コンソートのステージはこれで4回目。(過去の感想はここここここであります)前回に続いて今回も6人フルメンバー出場である。
しかし、これまでは正直なところ会場が満員になることはなかったが、この日はゲストが波多野睦美&上尾(チェンバロ)直毅だったためか、補助席まで出る満員御礼ぶりだった。

最初に波多野さんがシェイクスピアのソネット(音楽にまつわる内容)を朗読。続いてガンバの合奏曲の演奏へと入っていった。
その後はパーセルの音楽劇からの歌曲と器楽曲を交互に演奏するという形で進んだ。
前半で盛り上がったのは『妖精の女王』からの「恋が甘いものなら」。ガンバも波多野さんの歌も切なくて、ウット~リと聴いてしまった。
その次の公演タイトルにもなっている「ヴァイオルを鳴らせ」は一転して威勢のよい歌で、上尾氏がチェンバロを文字通り力強く打ち鳴らして終わるのが印象強かった。
他の言語だとダメだけど、英語なら少しは分かるから歌われる抑揚と言葉の意味が密接につながっているのがよ~く理解できた。

ガンバの合奏曲の「ファンタジー」や「イン・ノミネ」は、個人的にはロンドン・バロックの録音で散々聴き倒していたものである。もちろんヴァイオリンが入っていて編成が異なるのだが、こうしてガンバだけで聴いてみるともう少しくすんで落ち着いた音色になっているのが、目新しい--ぢゃなくて、耳新しかった。

後半の白眉はなんと言っても、ラストに演奏されたやはり『妖精の女王』からの「ほら 夜の精が」だろう。トレブル・ガンバを中心としたアンサンブルを背後に、歌われる内容は憂いごとを全て忘れて快い眠りの世界へ入っていく--というもの。曲が進むにつれて段々と照明が落とされて暗くなっていき最後は完全に闇となるという「演出」付きだった。
波多野さんの歌もさることながら、上村かおり+武澤秀平の2台のトレブル・ガンバが素晴らしかった。
なんという、かそけく微細なる美--あたかも空気に溶け込んでいくような響き、そしてゆるやかに堆積する時間の流れ。あまりの美しさに私はチョビッと涙目(;_;)になってしまった。そう、私は確かに音が消滅していくのを目撃したのだ。

アンコールで最後に再び「ヴァイオルを鳴らせ」をやってお終いとなった。
客席には先日のロベルタ・マメリの公演でも見かけた人が何人かいた。皆さん波多野ファンなんざんしょか(^^?
その内の一人の女性は目白バ・ロック祭りなど小さなコンサートばかりで何回も見かけた人である。もっとも、大きな会場だと人が多いから、実際はもっと同じコンサートに行ってるけど気づかないだけかも知れんですな。

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