ラ・フォル・ジュルネ ラ・ヴェネクシアーナの巻
曲目:ブクステフーデ「われらがイエスの御体」
会場:東京国際フォーラム
2009年5月4日
遂にラ・ヴェネクシアーナですブクステフーデですよ……古楽ヲタならば妻子(夫子)を質に入れても聴かねばならぬ公演には間違いなしっ 例えばこんな風にだ。
某質店にて「奥さん、このダンナじゃあんまり値は出せませんよ~。だいぶくたびれてるしね。ほら、そこら中ヨレヨレしてる」「じゃあ、舅と姑も一緒に付けます!」「……もっと安くなります」
一日目はガラガラだったそうだが、さすがに二日目の公演は時間が早めのこともあってようやく当日昼には完売したようだ。しかし、それでも空席があるのが不思議。私のいた列などは4人分まるごと空席だった。もしかして、オークション狙いで買ったヤツがいたのだろうか。
カヴィーナ氏はモロに指揮しながら歌っていた。それも結構、腕を大振りで、あれで歌えるのかしらんと思う。テノールのソロの人は風邪か何かで調子が悪そうだった。
この曲で聞いたことがあるのは、BCJとアンサンブル・クレンデの録音だが、軽快ささえ感じるアッサリめのBCJとも叙情性に重きを置いたクレンデともまた全く違う演奏だった。ひたすら情念と官能性がほとばしる--というイメージである。
確かに、今回改めて日本語訳の歌詞を読んでみると、かなり直裁で激越でしかも情熱的。これでもかこれでもかとやたら詳細に(血の流れ方とかクギの刺さり具合とか)イエスの架刑を描いた宗教画を思わせる内容である。彼の「足」から始まって「顔」まで全7曲で辿っていくという次第。
それを二人のソプラノのガッリ&マメリが濃厚に歌うもんだからますますもって、ステージには情念の炎がユ~ラユ~ラと立ち上るのであった。いかにもイタリア風解釈と言ったところか。この濃厚さにはノックアウトよ(@∀@)
楽器の方はヴァイオリン2本に並んでトレブル・ヴィオールが加わっているという珍しい編成であった。6番目の「心」だけバス・ヴィオールが3本加わるが、この曲に特別な意味があるのだろう。
全曲通して1時間10分ぐらいか、このように渋くかつ濃ゆい曲をじっと聞き通すというのは、この音楽祭のイメージとは全く正反対の地道な行為であったが、前にも書いた通り大喝采となった。カヴィーナ氏はこの手のことにはウルサ方のように見えたけど、実際にはそんなことはなくアンコールをやってくれた。この日だけでなく、前日にもやったらしい。
ベルリン古楽アカデミーと並んで、個人的にはこの音楽祭最大の目玉だったが、その期待通りの内容であった。満足印を付けたい。贅沢を言えばもっとまともなホールか実物の教会で聞きたかったニャー>^_^<
過去の関連公演の感想はこちらです。
※リーダーのカヴィーナと波多野睦美の共演
※目白バロック祭りよりモンテヴェルディ宗教曲
※同じく世俗曲
※ソプラノのソリストの一人R・マメリ&波多野さんのステージ
なお、8日(金)にロベルタ・マメリ(左端にいた長身のソプラノ)のソロ公演(つのだ氏伴奏)があります。聞きそこねた人、もう一度聞きたい方はどうぞ。ただし、教会の長椅子にギュウ詰めで座るハメになるかも(^^;)
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コメント
この曲は僕が知らなかっただけで、結構有名なんですね。僕はバッハよりもシュッツを聴きたかったのですが、ラ・ヴェネシアーナであの集客状況では、到底無理ですな。
投稿: Pilgrim | 2009年5月11日 (月) 20時39分
シュッツですか……(~_~;)うーむうーむ、さすがに生演奏については、確かBCJが無伴奏でやったヤツとオルガン曲ぐらいしか聞いた記憶がありません。録音は多数出ていますが。でも、三大Sの他の二人よりはマシかと
投稿: さわやか革命 | 2009年5月11日 (月) 23時38分