ヴィヴァルディ「フルート協奏曲 作品10(オリジナル版)」全曲演奏会:笛三兄弟最後の(?)競演
MUSEカフェ=コンセール~室内楽・リサイタル・シリーズ
演奏:有田正広ほか
会場:所沢ミューズ マーキーホール
2009年5月23日
これまで所沢ミューズでは大ホールにあたるアークホールでは色々とコンサートを聞いてきたが、中程度の大きさのマーキーホールは初体験である。約800席で残響1.4秒ほどというから、そもそもは演劇用らしい。新国の中劇場よりは少し小さいながら同様に立派な施設である。素晴らしい、羨ましいぞ、所沢市民の皆さん
しかし、今回の公演の問題はその立派なホールに三分の一ぐらいしか客が入っていなかったということなんであ~る(;^_^A ドースルヨ
確かに演目や出演者が地味ということもあるだろうが、これだってLFJでやったら満員御礼間違いなしっだろうと思うと複雑な気分に。←最近、こんなことばっかり考えてしまうのだよねえ^^;
さて、客席はすき間風が通り過ぎていてもステージ上は熱気が!と言いたい所だが……。
そもそもフラウト・トラヴェルソ+弦楽合奏として知られる「作品10」ではあるが、楽譜が出版されて世に広く知られているヴァージョンよりも前に、原曲ヴァージョンとしての「ヴェネツィア版」が存在したという。そこでは弦の代わりにオーボエやファゴットが入り超絶技巧を繰り広げているのである。
そのヴェネツィア版を有田先生たちが録音したのが約20年前で四十歳代の頃だったという。今回は当時の中心メンバーを集め再演しようという試みらしい。
有田先生いわく「本当はコンサートでこんなことを言ってはいけないんだけど、これは極めて難曲なんでお迎えが段々近くなりつつある歳の我々には、演奏できるのはもうこの機会が最後だろうということで……」
わーん(TOT)有田先生、そんな寂しいこと言っちゃイヤですよう。ヴィヴァルディの時代よりも平均寿命はウン十年も延びているこの今、レオ爺ぐらいの歳まではバリバリ現役で頑張ってもらわにゃあ
メンツはファゴット堂阪清高、オーボエ本間正史、コントラバス西澤誠治、チェンバロはもちろん千代子夫人、ヴァイオリンはいつもBCJでは後ろの方に控えているパウル・エレラと戸田薫、そして平均年齢をかなり引き下げている役目を果たすチェロ山本徹など。曲によってかなり編成が変わる。トラヴェルソはもちろんだがファゴットも常に大活躍。ファゴットは目立たぬながらかなりの超絶技巧だそうで、当時のヴィヴァルディがいた女子孤児院には非常な名手がいたのは間違いないそうだ。
2曲目の「ごしきひわ」では有田氏が冒頭にピヨピ~ヨとヒワを鳴かせて、ファゴットとの二重奏の部分ではあたかも大空を飛翔しているイメージを感じさせた。
残響が少ない会場でしかも前の方の席だったので、かなりダイレクトに音が聞こえてその点ではよかった。いずれの曲も一同息の合った演奏を聴かせてくれた。
いつも松明堂の公演では、有田氏はウンチク話を披露するので今回もヴィヴァルディと笛の関わりについての解説を聞きたかったが、当然ながらここではトークはなし。淋しいのう
……と思っていたら第2部が始まる時に突如、有田氏がマイクを握って登場。ヴェネツィアと笛についてウンチクを話し始めたのであった。
なんでも、当時のヴェネツィアではピッチが高く、また笛も短めのものを使用していたので今日の公演よりももっと明るい音色だったろう、ということだそうな。
で、有田氏は「今日のお客さんはやたらと緊張して聴いているようなので、お前一つ喋ってリラックスさせてこい、と他の演奏者に言われた」と突然の出現理由について語ったのであるが、真実は喋りたくってムズムズしている有田先生の様子を見かねて、他の一同がそう言って送り出したのではないかと想像するぞ(^O^)
ともあれ、一見地味ながら楽しめたコンサートであった。知ってるようで知らない、まだまだ奥深いヴィヴァルディの世界であるのう。
が!終演してロビーに出てビックリ なんと大雨が降っていたのだ 休憩時間の時は何ともなかったのに~。
昼間のカンカン照りの時間に出かけた私は傘もなくただひたすらボーゼン……(-o-;) 所沢ミューズに行ったことがある人は知ってるだろうが、周囲はコンビニも何にもない空白地帯で、ビニール傘を買うというわけにも行かず。しばらく待っていたが止まぬまま「閉館の時間です」の声で仕方なく外に出たが、なんと奥まったマーキーホールからは気づかなかったものの、すぐ目の前にバス停やタクシー溜まりがあるのだった。なんだよ、早く言ってくれよ~、プンプン(~ ^~) 不親切やなあ
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コメント
バロック弓クラシカル弓そして音楽「アニマコンコルディア」というブログで、戸田薫さんが、当日のトークについて書いています。
投稿: | 2009年5月31日 (日) 12時10分