「ザ・ルッキ・ファイルズ」:30年分のファイルをひもといてみれば
アムステルダム・ルッキ・スターダスト・カルテット結成30周年記念公演
会場:東京文化会館小ホール
2009年6月24日
宣伝の写真はU2もどきだが、実物はこんなんではありません→
古楽を聞き始めた頃によく行ったアーティストというと、
1番 タリス・スコラーズ
2番 アンサンブル・クレマン・ジャヌカン
で、3番目にこのアムステルダム・ルッキ・スターダスト・カルテットが来る。彼らは4人組のリコーダー・アンサンブル。当時は来日する度にコンサートに行ったもんである。
しかし、なぜかはよく覚えていないが、一時聞きに行くのをやめてしまい、しばらくして(10年前ぐらいか)再び熱意が復活して来日公演に行った。だが、その後メンバーが交替してしまい美人のオネーチャンを含む若手二人が入って、しかも曲目から古楽系が消えてしまったようだったので、その時の公演はパスした。
今回は結成30周年記念ということでベストCDが出て、さらにオリジナル・メンバー復活の再結成コンサートということで行ってみた。
相変わらず舞台の床には様々な形のリコーダーが所狭しと置かれている。リコーダーというと小中学校でやらされたリコーダーしか思い浮かばない人にとってはビックリだろう。「ええっ(!o!)リコーダーってこんなに種類があるんかい」ってなもん。
さらに四人がそれを取っかえひっかえ使用して、座る場所も曲ごとに交替。低音部担当、高音部担当なんてのは決まってなく、ある時はソプラノ・リコーダー、またある時は自分の身長よりも遥かに長い超低音用を吹く--というのも、昔と同じ。
どのようにアンサンブルを揃えているのかもよく分からない。気がつくと曲がさりげなく始まってたりして、やはり長い付き合いのグループなので阿吽の呼吸というヤツなのだろうか。
昔と違っていたのは客席の方である。驚いたことに9割以上が女性。若い人もいたが、多くは中高年のオバハンである。過去の彼らの公演ではこんなことなかったぞ。いつの間にかこんなに女性ファンが増えたんだ(?_?;
しかも、さらに彼女たちは知りあい同士が多いらしく、やたらと挨拶したり声かけあったりしている……。おしゃべりを耳ダンボ状態にして聞いてみると、どうも自分たちでもリコーダーをやっているような感じ。
こ、これは……(~▽~;;
想像するに、たくさんのオバサン会員を抱える巨大リコーダー教室チェーンがテコ入れして集団でチケット購入したのではないかと--
まあ、そんな巨大リコーダー教室が日本に存在するのかどうか怪しいが。
曲目は前半はヴィヴァルディの協奏曲を編曲したものに始まり、パレストリーナ、そしてバッハの「フーガの技法」は対位法が効くーっ~(^o^)~
古くからのレパートリーであるスティヴィー・ワンダーの「サンシャイン」も披露して客席を沸かせていた。
後半は一転してピアソラなど現代曲から開始。締めはやはりタリス、パーセルへと戻って終了。
しかし、アンコールがまた喝采を呼んだ。最初は何の曲だか分からずやがて客席から「ホーッ」とため息のようなどよめきを生んだ「千の風になって」、そして古楽っぽい「アストンのマスク」、いったんブチ壊して再構築したような編曲の「エリーゼのために」。
個人的には2曲目の「マスク」が気に入ったが、アストンという作曲家は全く知らず。もしかして16世紀の作曲家かしらん? でも、いつの時代の作曲家でも納得してしまうような曲であった。
ところで、S・ワンダーの曲について彼らは長いこと「作曲者不詳」とクレジットしてきたのだが、パンフにD・ブリュッヘン当人からの解説が載っていてようやく理由が判明した。私が想像していたのとは違っていたのでよかった。
ALSQのようなリコーダー・アンサンブルは海外でも日本でも幾つも出てきているが、やはり録音・生ステージ共に彼らが群を抜いている存在だと思う。編曲や実際の演奏に鮮やかでキレがある。何度聞いても飽きないし、見ていても面白い。
さて、後半の中ごろにやったミニマル・ミュージックっぽい「フェード・コントロール」(カルディーニ作)という曲は、前にも聴いたことがあるような……と思って調べたらやはり10年ほど前のコンサートで聴いたのだった。こちらのサイトの記事で紹介されている。
今回のコンサートでは通常のリコーダーを使用していたが、記事の中にあるようにこの時は極めて特殊なリコーダーを使用していた。白い平べったい長方形の箱をつなげたような形である(言葉では説明不可能)。
音もなんだか特殊でまるで雨だれが連なっているようなイメージで、聴いているうちに客席全体が夢幻の境地へと誘われていくようであった。現代曲というより、アフリカで採取してきた民族音楽を復元演奏しているみたいで、ポリリズムっちゅうのはこういうもんか、などとも思った。
今回はあのリコーダーじゃなくてちょっと残念である。
というわけで、満足印のコンサートだった。ただ、客席の雰囲気は……(^^? 7月の「リコーダー祭り」もこんな感じなのかね(-o-;)
←巨大リコーダーの一部
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コメント
まあ、さわやか革命さんは、30年来のALSQファンでいらっしゃるんですか!(30年とは言ってないか。)ともあれ、年季が入ってますね。
わたしは、なかなか腰を上げる気がしなかったのですが、来シーズン初めて聴きに行きます。
やっぱり、キングズ・シンガーズのリコーダー版みたいな団体ですね、曲目構成を見ると。(それと今回のファン層もなんとなく似ていそう。)楽器のご紹介もしていただき、ナマで聴く心構えができました。
投稿: レイネ | 2009年6月29日 (月) 05時57分
デビュー時はリアルタイムで知っているわけではないので、さすがに30年ではありませぬ(;^_^Aアセアセ
私はキングズ・シンガーズの方をあまりよく知らないので、どの程度似ているのか分かりませんが、一応演奏自体は「正統派」であります。
投稿: さわやか革命 | 2009年6月29日 (月) 21時55分