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2009年8月23日 (日)

「ゴーン・ベイビー・ゴーン」:小汚い街を青二才の騎士が行くのだ

監督:ベン・アフレック
出演:ケイシー・アフレック
米国2007年
※TV放映で鑑賞

役者のベン・アフレックが弟を主演に据えて監督業に進出した作品。確か、米国では興行ランクのベストテンの中ぐらいに上ったはずである。で、内容がハードボイルド・ミステリーだし、その年のベスト作品に入れてた評論家もいたぐらいなので、いつ日本で公開されるのかと待っていたのだが、結局公開されずにそのままビデオ発売になってしまったというものだった(+_+)トホホ

原作は『ミスティック・リバー』でもおなじみデニス・レヘイン(ルヘイン)のシリーズものの小説。脇役にモーガン・フリーマン、エド・ハリス、エイミー・マディガンなど錚々たる面子で、さらにエイミー・ライアンがアカデミー賞助演女優賞ノミネートされた。

ボストンは米国の中でも犯罪率が高い街だそうだ。ベン・アフレックは出身者だとかで、そういう街の小汚い所をあまさず汚~くdash撮っている(山の岩肌にまで落書きがしてあるのはなんなんだ(?_?;)。
少女の行方不明事件が起こり、警察の対応に業を煮やした親戚が主人公とガールフレンドのカップル探偵に捜索を頼むというのが発端である。その事件の推移はあれよあれよというもので、意外な展開に巧みに伏線が張ってあって驚かされる。一度見ただけでは全貌を理解するのは難しい。
ただ、問題は発端となった企みが「そんな複雑なことしなくてもエエんじゃないの?」と疑問に思えてしまうことだ。

それから、中心人物であるカップルの片割れのアンジーの存在がストーリー上全く関わって来ないのも問題。シリーズもののキャラクターだし、原作ではもっと活躍してるんだろうけど、この映画の中ではいてもいなくても変わりはない。せいぜい終盤の主人公の葛藤に絡んでくるくらいだ。

さらにキャスティングも微妙である。いかにもうさん臭い、昼間から酒場にたむろする住人たち、自堕落な母親(A・ライアン)、E・ハリスを初めとする善事と同じくらい悪事もやってそうな警官たち、いかにも頑固で偏屈な伯父とその妻(A・マディガン)など芸達者の中にあって、肝心の主人公カップルの存在感が薄いのは困ったもんだ。ケイシー・アフレックはそもそもが青二才キャラならば仕方ないかも知れんが、相棒のアンジー役のミシェル・モナハンはキュートな印象でどうにも裏町の事情に通じた探偵には見えん。
一方、E・ハリスのうっかり失言してしまう前後の演技はお見事としか言いようがない。普通の役者が演じたら「なんであそこでわざわざ喋っちゃうかねー」と思いかねないところだ。
それと伯父役のタイタス・ウェリヴァーもなにげに名演flairだった。

だが、それらの名演も覆い隠せない最大の疑問は、途中で主人公が明らかに殺人を犯しているのに本人を含めて誰も気にしていないことである。『ミスティック・リバー』も同じような状況を描いていたし、これが原作通りなら原作者の考えは到底、私には受け入れ難い。もし原作本を読んだとしても、腹を立ててただちにゴミ箱行きにしてしまうことだろう。

ま、事前の期待がちょっと大き過ぎたってことで┐(´~`)┌


卑しき街度:9点
騎士度:6点

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