「セントアンナの奇跡」:奇跡と「御○○主義」は紙一重--とは言うまい(言っちゃってるけど)
監督:スパイク・リー
出演:デレク・ルーク
米国・イタリア2008年
さて、考えてみよう。これはジグソーパズルである。
無辜の民の虐殺/バッファロー・ソルジャー/記憶喪失の子ども/ドイツ軍の銃/彫像の頭/ニューヨークの郵便局窓口での殺人/伝説の山
これらをつなぎ合わせてなんとか一つの絵を作りあげるんだっ--と脚本家がひねり出したような印象の話である(原作小説の作者が担当しているらしいが)。
しかし、無理やり色んな形のピースをくっつけてるためにどうも辻褄あわない所がそこかしこに散見。見ている途中でもデッカイマークが頻出してしまう度数は『ターミネーター4』と同じ……とは言わないまでも、それに次ぐぐらいだろう。
監督はそんなモンと比較するな~(`´メ)と怒るだろうけど。
『タミ4』はつながらないピースの間をCGアクションで埋めたが、こちらの糊はもっと強い。なんてったって「奇跡」である。こいつの粘着力は強い!正統的!!おまけに万国共通 ケチの付けようがない。どんなにあり得なさそうな出来事でも「奇跡」といえばなんでもOKである。
さらにダメ押しのように劇伴音楽ですみずみまで補強だ~。
いや、もちろん私だって泣けましたよ。虐殺の場面とか……。でも「感動したっ(>O<)」というんではなくて、わき腹くすぐられれば誰でも笑っちゃう、みたいな反射的なものと同じような気がするのであった。
それから、戦争にまつわる叙事詩的な部分と黒人兵士による戦争アクション風部分が入り交じっていて視点の統一感がないのも気になった。
戦闘場面・銃撃場面は文字通り血肉飛び散り手足ふっ飛ぶ迫力あり--というか、もう今ではこのぐらいやっても「並」のレベルなんざんしょか。
相対立する米・独・伊を結ぶのは「キリスト教」と「奇跡」に他ならないことがこの映画の中で明示されるが、とすればこれに対抗して日・中・韓では「儒教」と「モラル」をテーマにした作品を作らにゃいかんねえ(^=^;
ところで、敵軍に囲まれた危険な状況のさなかでも、美人と見れば口説かずにはいられないビショップの律義さには感心です(^.^)b 現在の日本の青少年も見習えってことか。
奇跡度:10点
納得度:4点
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