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2009年8月17日 (月)

ステファノ・ランディ 歌劇「聖アレッシオ」:天使の膝枕

演出:バンジャマン・ラザール
出演:フィリップ・ジャルスキーほか
演奏:ウィリアム・クリスティ&レザール・フロリサン
会場:カーン劇場(フランス)
2007年10月
*TV放映にて鑑賞

バロック・オペラの超初期の作品がみなさまのNHK・BS-hiで放送された。既に輸入DVDが出ていて、こちらのブログなどで紹介されていて見たいと思っていた。日本語字幕なしでは私にはちと厳しい(^^;)ゆえ、今回の放送は高い受信料払ってるのが報われたといえる。

オリジナルの上演は1631年ローマの貴族の邸宅にて行われたとのこと。当時同様にこの公演ではカウンターテナー8名や少年合唱団を含めて全員男性によるものである。
当然、ダンサーもみな男だし、カウンターテナーなんかはヨーロッパの主な中堅及び若手をかき集めてきたのではないかと思っちゃうほど。
照明も当時そのままに大量のローソクを使用。舞台を松明持って歩いたりもするので、日本では到底上演できないだろう。ただ、あんなにローソク使ったら煙でモクモクして舞台もよく見えなくなっちゃうかと思うけど、煙の出ない製品を使っているのか、劇場の換気装置をフル稼働させているのか?

元の話は5世紀の聖人の物語だそうだ。アレッシオは婚礼の直前に花嫁を放り出して遁走、巡礼の旅へと出るが色々あって、物乞いとして父親の家の階段下に住みつく--という現代の日本人には極めてよく理解できん話である。
そこに悪魔がにぎにぎしく登場、神に対抗してアレッシオを堕落させちゃう宣言をするのであった。
アレッシオ「い、いぢめる(?_?;」
悪魔「へっへっへっ、いぢめちゃうよ~ん \(^o^)/」
--なんて直接対話があるわけではないけど。

タイトルロールのジャルスキーは歌唱は言うに及ばず、外見も「純粋な清貧の聖者」にピッタリ。これが大男だったりお肉が付き過ぎの歌手だったりするとかなり興醒めなところだ。

あとは、当人がごく間近にいるとは知らない彼の両親や妻が嘆きを繰り返したり、お笑い担当(?)である仮面をつけた従者コンビが茶々を入れたりする。お笑いコンビの一人は数か月前に来日して活躍してたダミアン・ギヨンで、こういう役も得意だったのね~okなどと感心した。
ただ、音楽はレチタティーヴォの応酬が基本という感じで、後世のヘンデルのような派手なアリアがあるわけでもなし、モンテヴェルディのような意表を突いた展開があるわけでもないので、やや単調な印象。うっかりすると眠気虫snailが出現しそうだ。
しかし、第三幕になってアレッシオが神に召された後の家族の愁嘆場はガラッと変わってかなりの見どころ聞かせどころとなる。三人の嘆きの歌がそこだけ無伴奏の重唱となるのが印象的で、やがて宗教的法悦へと誘われていくのであった。

音楽面が単調と書いたが、それを補うようにヴィジュアル面の演出はお見事fuji 舞台装置は単純のようだが、移動したり回転させたりしてメリハリを付けている。また、DVDのジャケットにも使われている、主人公の住む階段に少年合唱団が扮した天使たちがズラッと並んでいる場面は圧巻だ。少年たちが首を傾げたり頬杖ついているだけでも、まるでボッティチェルリの宗教画の天使そのもののよう。
また、アレッシオが天使の膝枕で横たわってそのまま昇天というのはあまりにもツボにはまり過ぎ。フ女子ならずとも「萌え~(*^-^*)」となるのは必至であろう。
肝心のソロを取っていたボーイソプラノの少年が上手くないのが難であるが(^^;

衣装はやはり当時の宗教画から引用しているようで、これまた素晴らしい。「擬人化された宗教」の印象的なベールも何かの絵画で見たような……でも思い出せん。

クリスティは指揮台には上らず鍵盤を担当しながら指揮していた。当然、通奏低音担当でずっと弾いてたたんだろうからご苦労さんである。オーケストラもこれまで彼が指揮していたのよりもかなり小規模な編成だった。
演出のラザールは「バロック劇の権威」などと書かれているから、歳取ったオヤヂかと思ったら、若いんでビックリ(!o!) クリスティの息子ぐらいの世代か?

唯一の不満はカメラワークで、設置場所などの制限があっただろうから仕方ないとは思うが、舞台化粧の顔のドアップをやたら頻出されても困るのよ--(^o^; もうちょっと引きの画面で見たいと思った所も幾つかあって、アップにすりゃあいいってもんぢゃねえぞと言いたい。

ともあれ歌手を始め全てにおいて高水準な舞台が見られたということで、満足印fullであった。日本じゃなかなかお目にかかれないもんねえ。

【関連リンク】
《ROMAの休日》
中ぐらいの所にあるフレスコ画を参考にしたんでしょうか? 第三幕の情景に似ている。

《Programmes》
実際に現地で見た人のご報告。妻役のチェンチッチ氏は4月に来日してたんですなー。こちら方面はうといもんで全くノーチェックだった。

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