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2009年9月19日 (土)

ヘンデル「アリオダンテ」:あまりのお得値にヘンデル先生もビックリか

090919
藝大プロジェクト’09 ヘンデル没後250年記念企画
演出:平尾力哉
指揮:鈴木雅明
会場:東京藝術大学奏楽堂
2009年9月13日

家を出遅れたため、休日の上野の人ごみをかきわけてウン年ぶりに来た奏楽堂では既に三澤寿喜のプレトークが始まっていた。
三澤先生はピアノを脇に置いて実際に曲を聞かせたりしながら、ヘンデルの魅力を「シンプル&ディープ」と強調。特に演目である『アリオダンテ』では過去の作品に比べ、レチの数が減って聞きやすくなっているとのことである。また合唱が使われるのはヘンデル・オペラにしては珍しいとのこと。

さて、本番の方は今流行の「コンサート・オペラ」形式でオーケストラはピットに入っていて、歌手や合唱は簡単ながらそれっぽい衣装を着けているし、簡単な大道具も使用していた。でも、ここまでやるなら背景に幕でも垂らしてほしかったところである(パイプオルガンがなんとなく目について邪魔だし、照明の効果が半減してた)。

芸大のプロジェクトということで、歌手は卒業生で既に活躍している人、楽器の主立ったところは教員、それ以外は学生院生で構成しているらしい。
面子は鈴木ブラザーズにコンミスは若松夏美、他に大塚直哉、前田りり子、福澤宏など豪華ではないですかっ

物語はスコットランド宮廷を舞台に陰謀・策略・愛・嫉妬が入り乱れるというもの。CTの彌勒忠史が悪役の騎士を演じてキャラクター的にはピッタリ。ただし低音はちと苦しそうだった。タイトルロールの小野和歌子は細身&長身で宝塚みた~い。でもどうせだったらもうちょっと宝塚風のケレン味があったらよかったかも。何せヘンデルですから
愛する男に騙される「愚かな女」ダリンダ役の松原典子は儲け役か。女王ジネヴラの朴瑛実は後半が堂々とした歌いぶりだったが、キャラクター的にはもうちょい若々しい感じが欲しかったかなあ。

演出家は、すっかり忘れてたがなんと以前二期会の『ジュリオ・チェーザレ』で顰蹙をかった人。今回はオーソドックスにまとめていてヨカッタヨカッタ(ただし、一部字幕に問題あり(^=^;)。
楽器陣も屋台骨を支えて安定した音を聞かせてくれた。鈴木(兄)氏は自らもチェンバロの前に座って指揮しつつ、レチの時などたまに弾いていたようである。大塚氏はチェンバロとオルガンの二刀流だった。休憩時間に近くで観察してみると、ピット内だけでなくステージ上の床にもマイクが置いてあって拡声システムを使用していたもよう。大ホールというほどの広さでもないのに、やはり古楽器ではキビシイのかしらん?

また、途中バロックダンスも入って(こちらは昭和音大の学生さん)豪華フルコース状態だった。これで金三千円ナリとは安過ぎだいっ コスト・パフォーマンスを考えるとおつりがくるほどであった。もうちょっと宣伝すればよかったのに。
また、こういう企画を是非お願いします(^人^)


ところで、開演15分前にトークが終わると、劇場の関係者(?)が出てきて、今回は「コンサート・オペラ」ということでオーケストラもよく見える位置にするためピットの床を上げたので、そのため前の方の真ん中あたりの座席の客から字幕が見えにくくなってしまった旨のお詫びがあった。でもそれだったら、字幕の電光掲示板の位置を高くすればいいんでは……(?_?)と思ったのは私だけか。それに開演直前に説明しないとプレトーク聞かないお客さんには不親切ではないかと思った。

【関連リンク】
ブログ検索してもあまり感想が見つかりませんが、以下をご紹介
《アルチーナのブログ》
《演奏会定点観測》


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コメント

この公演、私も観にいってました♪♪♪
色々細かい部分でケチもつきますが(笑)、値段を考えると超オトクで、こんなのがもっとたくさんあればいいなと思いましたね。
公演の後、ブログ仲間でオフ会でしたが、皆さん同様の感想だったようです。

プレトークは聞いてなかたので、字幕の問題は知りませんでした。
自分は前から2列目でしたが、端の方だったので見えにくいことはありませんでしたが・・・。
ロビーに張り紙でもしておけば、プレトークに行ってない人にも親切でしょうね。

投稿: REIKO | 2009年9月20日 (日) 01時59分

やはり人員のほとんどが芸大関係ということで、お得値にできたんでしょうかね(^^)
このぐらいのチケットの値段だったらオペラ人口もどっと増えるでしょうが……いくらなんでも無理か。

投稿: さわやか革命 | 2009年9月20日 (日) 09時40分

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