「ベルギー幻想美術館」:マグリットの仮面をつけたリンゴの横でバクチをすることを考えてみた
クノップフからデルヴォー、マグリットまで
会場:Bunkamuraザ・ミュージアム
2009年9月3日~10月25日
19世紀後半~20世紀前半のベルギーの幻想系美術の展覧会。全て姫路市立美術館の所蔵品だというからビックリである。
タイトルに三人の画家の名前が挙げられているが、クノップフのは数が少なく、フェリシアン・ロップス、アンソールの二人の作品が多くを占めていた。
ロップスは筆致は端正ながら、描かれているのはエロさバクハツみたいな内容。「好奇心の強い女」とか昔の映画にあったようなタイトルですな。深層心理の欲望をあからさまに見せている。
アンソールは有名な「キリストのブリュッセル入城」の他に32点組の「キリストの生涯」が目立つ。キリストさん以外の登場人物は(預言者ヨハネも)みんな変な顔なんで笑ってしまった。
マグリットはいつ見てもマグリットだが(意味不明)、市営カジノの壁画のために描かれた12点組の連作が見所ありだった。登場するのは他の作品にも登場するキャラや物体だが、こんな絵の元で賭博するってのはどんな気分かと思って見てた。
トリはデルヴォーがキターッ コーナー最初にある「水のニンフ」は実に見ごたえ充分。海にいるニンフたちの下半身が波(?)みたいになってるヒダヒダに眼が引き寄せられた。
デルヴォーは今で言う鉄ヲタだったらしい。「機関車」という作品はそれこそ、「女・機関車・女(*'∀')=3ハアハア」という感じだ。解説にキリコとの関連が述べられていたが「海岸」なんて作品を見るとナットクである。
亡くなった妻を剥製にするという小説のさし絵のための連作も面白かった。
クノップフはなぜかあまり客の目を引かないようで、「ブリュージュにて、聖ヨハネ施療院」の前には私一人しかいなくて、顔をくっつけるように二度も見てしまった。会場から出て図録を見た時に、この絵の図版がずっと明るく鮮明なのにやや驚いた。照明の加減もあるだろうが、実物はかなりぼんやりして暗めだった。修正したのかしらん(?_?)
チケットに使われている「ヴェネツィアの思い出」はそもそも小品な上に、柱に掛けられているのでうっかりすると見逃すところだった。見てない人が結構いたもよう。要注意である。
これだーっという作品は少なかったが、全体的には満足できた展覧会であったよ。
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コメント
この展覧会のことは里帰り前に聞いていましたが、色々な人のブログを読むまで、こんなに沢山集まってるとは知らずに、「ベルギーなんて歩いていけるもんね。いつでも観られる」と思って、スルーしてしまいました。残念!ベルギーにはない、日本の美術館のコレクションだったんですね。
クノップフの「ブルージュにて 聖ヨハネ施療院」は、不気味な色使いが「死の都ブルージュ」を彷彿させます。この建物、現在はメムリンク美術館になっていて、最近では3月に行きました。
デルヴォーのかなり大掛かりな展覧会は、6月にリエージュで見ましたが、「鉄ちゃん」の面目躍如でした。
マグリット美術館もブリュッセルにオープンしたので、オペラ鑑賞と組み合わせて見に行こうと思います。
投稿: レイネ | 2009年10月 5日 (月) 22時56分
本当に地方の美術館がこれだけ収集しているとは驚くものです。まだまだ日本国内に色んなお宝が埋まっているかも?
|デルヴォーのかなり大掛かりな展覧会は
うらやましぃ~。
マグリットの展覧会は何度か見ましたが、デルヴォーもやはりまとめてドーッと見たいものです。
投稿: さわやか革命 | 2009年10月 6日 (火) 06時21分