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2009年10月24日 (土)

「あの日、欲望の大地で」:許されざる「女」

0901024
監督:ギジェルモ・アリアガ
出演:シャーリーズ・セロン
米国2008年

母親の因果が娘に報い~みたいな三世代にわたる因縁話を描いた作品。
前半は興味を引く構成になっていて、さてこれをどう解決するのかと思って期待して見ていたら、えー、なに、こういう方向に行っちゃうの(?_?;という感じで収束してしまうんでガックリしてしまった。

三つの異なる時制のストーリーが何の区別もなく次々と示されて続いていく。私は事前にあらすじなど情報を仕入れてから観たのでなんとか判別が出来たが、そうでなかったら各シーンのつながりを読み取るのはなかなか難しかったろう。

それらの物語は、一見自立していそうに見えながら自虐的な男女関係を続ける女、真っ昼間に密会を続けるダブル不倫の中年男女、密会中に死んだ男女のそれぞれの娘と息子--が中心となって語られる。

このような複雑な構成で描かれながら、物語は結局予定調和の方向で解決して終了する。すなわち、傷ついた女は妻と母の座に戻ることで幸福になる、ということだ。
一方、家庭を放り出した男女は殺されても誰も罪に問われないのである。到底納得できない話だ。
まあ、所詮作り事だからねとか、もう人々は暗い話は求めていないんよなんて理由では納得できんぞ、ワシは(`´メ)

映像は美しくダイナミックで、役者たちの演技も素晴らしいが、残念ながら見終ってガッカリしてしまった。
監督は『21グラム』『バベル』の脚本家として紹介されていたのだが、後でさらに調べると『アモーレス・ペロス』『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』の脚本もやってる人だった。
実はこの二本とも私は見て気に入らなかったんだよねえ……(~_~;) 特に『アモーレス・ペロス』は見てブチ切れてしまったぐらい腹が立ったのだ。
事前によく調べればよかったですよ
過去の自分の感想を読み直したら、ちゃんとこの脚本家は避けるようにしよう、と書いてあるではないか。すっかり忘れておったよ。トホホである)

ところで、私が興味を持ったのはこの中では全く描かれなかった、不倫男女の妻の方である。亭主が人妻と浮気していて、それを二人が一緒にいて死んだ時に初めて知った時の心中はいかばかりであろうか。妻として女として耐え難い恥辱ω(ToT)ωだろうと推測するのだが……。
日本でも似たような話を聞いたことがあるし、どんな風に描かれるのかと思っていたが、監督さんの方は全く興味がなかったようですね、ハイ。

ドラマ『コールドケース』のスコッティ役ダニー・ピノが出演している。だが、最初は帽子かぶっていて彼だと気づかず、気づいた後はずっと昏睡しているのであった(>_<)


主観点:5点
客観点:7点

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