「正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官」:この題名で見る人と見ない人、どちらが多いでしょう
監督:ウェイン・クラマー
出演:ハリソン・フォード、レイ・リオッタほか
米国2009年
邦題とハリソン・フォード主演ということで、最初から内容を誤解してしまいそうであるが、別にアクションやサスペンスではない。なんとかしてくれ~
米国にやってくる様々な移民や不法滞在者を描いた群像劇である。H・フォードはその中の幾つかのエピソードに絡んでくるだけで「主役」という感じではない。
「第二のニコール」を目指してオーストラリアから来た女優志望の娘や、ユダヤ教聖職者を偽るミュージシャンの若者、出稼ぎに来て子どもを残して送還されてしまうメキシコ人の母親、政治的な問題で移住して来た裕福なイラン人一家……切羽詰まった者、夢を抱いて来た者など、立場も理由も様々な人々が登場する。
ただ、無理やり群像劇として全員の人々を関係づけるのはちょっと難しかったように思える。そんな風にうまくつながるか(?_?)という部分多数だ。。
移民問題専門の女弁護士が、不正を犯した移民審査官の夫が逮捕されてサッパリとした顔つきでアフリカ系の女の子を養子として迎えに来たのには、笑ってしまった。
とはいえ、いずれの登場人物も実際にあったケースを元に作られたようなリアリティを感じさせる。その中で唯一リアリティが感じられないのが、H・フォード扮する移民局の捜査官だ。こんな状況の中で人情と正義を貫く人物がいるとは、彼こそファンタジーの産物に他ならないだろう(そういう意味では適切なキャスティングか)。
最も悲惨なエピソードとなった、学校でテロリストに同情的な発言をしたバングラディシュの少女の元ネタはこちらの事件だと思われる。
この記事には記されてないが、この高校生はパナマ出身らしいからイスラム教徒ではないだろう。まさに「挙国一致」「撃ちてしやまん」の世界である。
この手の問題になると法は法、「不法」なんだからいけないという議論が必ず出てくる。しかし、法は確かに平等で公正であるが、法の執行は必ずしもそうではない。この映画の中にも法を犯していながら見逃される者がいる。そして、法が現実に伴わない事態があるからこそ「情状酌量」とか「裁量」ということも存在するのだ。
……などと色々考えさせられる作品ではあった。
ただ、なんというか料理に例えれば「うま味」に当たるものがないんだよねえ(v_v)
問題は人物の出身国が見てて実はよく分からないケースが多かったこと。少女はインドネシアあたりかしらんと推測したり、ラビに化ける青年が南アフリカ出身とは思わなんだ。パンフレット見ると分かるのかな?
主観点:6点
客観点:7点
【関連リンク】
《ノラネコの呑んで観るシネマ》
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