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2009年11月

2009年11月30日 (月)

テレマン「パリ四重奏曲」:人気作曲家テレマン先生

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演奏:菅きよみ他
会場:近江楽堂
2009年11月23日

テレマンの四重奏曲というのは生で聞いたことはないしCDも持っていない(多分)ので、どんなものかと行ってみた。
メンツは菅きよみ&D・バディアロフにガンバの福沢宏&武澤秀平(チェロも演奏)、鍵盤は福間彩の5人である。

1730年の「6つの四重奏曲」から4曲と37年の「新しい四重奏曲」を2曲演奏。1937年の出版された楽譜には予約者としてバッハ先生の名前も載っているそうな。当時注目されてる作曲家ナンバーワンだったんでしょうか。
四重奏曲といっても通奏低音は鍵盤とチェロまたはガンバで一つなんで、5人でやるというのは初めて知りましたです(^^ゞ
曲によって福沢氏と武澤氏が通奏低音を交替してるのがもの珍しかった。

全体的にバディ様のヴァイオリンがちょっと不調(?)な他は溌剌とした演奏だったと思うが、なんだかどうも段々と「この曲ってちょっとぬるくない?」という気分になってきてしまった。
それがテレマン先生の曲と私の相性のせいなんだか、この日の演奏自体のせいなんだかは不明である。

次はこの面子で別の作曲家の作品も聞いてみたい。
菅さんとバディ様のコンビはまさに美男美女の取り合わせで、昔ウチにあったひな人形のお内裏様みたい(*^-^*) ウラヤマシィ~

会場内になんかちょっと異質な派手めのロック系若いモンのカップルがいたと思ったら、どうも武澤氏の知り合いらしい。もしかして密かにロックバンドのベースとかやってたりして(^=^;

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2009年11月29日 (日)

第7回ヘンデル・フェスティバル・ジャパン「ヘンデル・オペラの名アリア」:ヘンデル先生は歌謡曲プロデューサーか?

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チェスキー・クルムロフ城内劇場 真正バロック・オペラ招聘公演
会場:トッパンホール
2009年11月21日

ヘンデル・フェスティバル・ジャパンの実行委員長である三澤寿喜はかねてよりヘンデル・オペラの現代的演出に違和感を持っていることを表明していたが、今回の企画は当時の上演方法の一端を再現しようとするものだった。

チェコのチェスキー・クルムロフ城にはバロック劇場が残っていて、一度荒廃したものを復元したとのことである(←これってNHK-BSでドキュメンタリーやってた?)。
そこから当時の衣装の複製を持って来て、照明もフットライトを中心に使用(上方からの照明は使用しなかったらしい)。また、歌う時のジェスチャーも当時の様式を完璧に再現しての演奏となった。

演奏者は、城内劇場の音楽監督のオンジェイ・マツェクが指揮とチェンバロ、女性のチェリストとソプラノ、メゾ・ソプラノが各一名ずつが来日組。残り弦4人は日本人だった。それと、演出&ジェスチャー指導のズザナ・ヴルボヴァーが、前半と後半の始めに出て来て解説をしてくれた。マツェク氏もヴルボヴァー女史も結構若い人なんでちと驚いた。

プログラムはそれこそヘンデル名曲集で、「オンブラ・マイ・フ」や「私を泣くがままに」など有名どころをつなげて一つの物語風に構成している。前半と後半それぞれ締めは二重唱である。二人の歌手は華やかで派手な部分ははないものの着実な歌を聞かせてくれた。

ジェスチャー付きの歌は、極めて抑制され様式的な印象を受けた。感情を爆発させるのではなく、定まった動作の中に織り込むという感じである。
そういう意味では『アルチーナ』のアリアが一番興味深かった。愛する男に「裏切り者!」と怒りを表わした直後に「愛していたのに」と全く正反対の感情を歌うが、動作によってその相反した感情がキッパリとアクセントを付けて表現されている。当時はジェスチャーのうまさも歌手の人気に入っていたのだろうか。ただ、一番ジェスチャーがキマっていたのは歌手お二人よりも、当然のことながらヴルボヴァー女史でしたな(^^;

正直なところ、その様式化した動作にアイドル歌謡のアクションを思い出してしまった--と言ったら怒られるだろうか 歌と身体とスター性のつながりの中に何か関連するものがあるかも知れない。
やはり由緒正しいバロック劇場でこういうのを聞いてみたいと思った。まあ、日本では無理な話ですが……(\_\;

というわけで、やや学究的な地味だったものの興味深く聞けたコンサートだった。ただ、現代でのバロック・オペラの上演にこういう手法が向いているのかは判断がつかない。シェイクスピアの芝居だって様々な現代的なアレンジをされて今も上演され続けているんだしさ。もっとも、演出に気を取られてしまって音楽を聞く耳はお留守というのでも仕方がないけど。

個人的には、しばらく前から鼻かぜをひいていてこの時に悪化。鼻炎の薬を飲めばいいのだが、呑むとたちまちに眠気虫の大軍が押し寄せて来るのでコンサート前には使いたくない。鼻ジュルか眠気虫か--究極の選択だ~い(>O<)
仕方なく薬を飲んだけど、眠りはしないものの特に後半は頭がボーッとした状態での鑑賞となった。何か月も前から楽しみにしてきたのにトホホ(@_@)である。

【追記】
書き忘れてましたが、カメラ(NHK?)が入っていたので、そのうち「芸術劇場」あたりで放送があるでしょう。

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2009年11月23日 (月)

「巡礼の歌」:時を越える巡礼者たち

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聖地サンティアゴ・デ・コンポステラへ中世の昔から巡礼たちが口ずさんだ歌
演奏:アンサンブル・エクレジア
会場:聖パウロ女子修道会チャペル
2009年11月20日

つのだたかしと聖パウロ女子修道会の協同による不定形ユニットであるアンサンブル・エクレジア。クリスマスにはちと早いがCDの発売に合わせてコンサートが行われた。(前回のクリスマス・コンサートの感想はこちら)

グレゴリオ聖歌に始まり13世紀から18世紀、さらにはロルカ編纂の民謡まで、様々なマリア讃歌とサンティアゴ・デ・コンポステラへの巡礼にまつわる歌が披露された。もちろん、歌の言語もラテン語、フランス語、スペイン語など様々だ。

今回の面子は計8人で、楽器担当はつのだたかし、パーカッションの近藤郁夫、ガンバの福沢宏。

前半は波多野睦美、ソプラノの鈴木美紀子、テノールの及川豊の三人が登場。「モンセラートの朱い写本」や「サンティアゴ巡礼の歌」からの曲などを歌った。及川豊は花井哲郎主宰のコントラポントなどで何回か聞いたことのある滑らかなテノールだ。
鈴木美紀子はおフランスものの専門ということだが、今いちパワーや微妙なニュアンスに欠けるような……。同じくフランス専門だった野々下さんならどうだったろうかと思っちまったのはヒミツだ。

とはいえ女声二人のユニゾンで始まり、途中で二声に分かれる「おお輝くおとめ」などウットリするようによかったです(#^-^#)
前半の締めは波多野さんによる「鳥の歌」(カザルスの演奏で有名な)で、彼女の声は聖堂の隅々まで響き渡り、CDで何度も聞いていたはずなのに引き込まれてしまった。歌い終わった時はホーッと会場からため息が漏れたほどだ。

後半はフラメンコの歌手の永潟三喜生とファドの松田美緒が登場。CDと同じく「ドン・ガイフェロスのロマンセ」と「マリア様によく仕える者は」(←なんだか浦島太郎みたいな話だと思ったのは私だけか)をソロで歌った。お二人とも普段はマイク使って歌ってるのだろうが、こういう場でどう対処するのかなんてトコも観察させてもらった

楽器紹介コーナーではシンフォニアなんてなかなかお目にかかれない楽器も登場。昔、家にあったカツオ節削り器を思い出しました さらに中身を開けて調弦する所も見られたのは貴重な体験である。

ラストの「ふたりの巡礼さん」は日本語の語りで曲のユーモラスな内容も入って、笑わせてくれた。
アンコールはなんと予め楽譜と歌詞が配られてた「声そろえ歌わん」というマリア讃歌を、それこそ会場全員で声をそろえて歌ったのであった

いや~、地域も時代も言語もジャンルも飛び越えて、ヴァラエティに飛んで楽しいコンサートであった。また次もよろしくお願いします。
なお前回はあったワインのサービスは今回はナシ。やはり不景気だからですかのう、グスン(v_v)

【関連リンク】
《ミューズの森、美術館そぞろ歩きノート》
翌日の昼の回の感想です。

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2009年11月22日 (日)

「母なる証明」:それでも母は行くのだ

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監督:ポン・ジュノ
出演:キム・ヘジャ、ウォンビン
韓国2009年

結論からいえば、ポン・ジュノはまたもヤッタネ! だが、それは予想を裏切る方向であったが……。

冒頭、枯れ草の覆う広野でオバハンが一人踊っている--という始まり方からして意表をつく。タイトル文字が現われる場面も実にキマっている。

舞台は郊外の町、障害を持つ(知的障害? 発達障害のようにも思えるが言明されてない)息子が女子高生殺しの犯人として逮捕されてしまった母親が、息子を何とかして救おうと奔走する。
最初は弁護士に望みを託そうとするが期待通りには行かず、彼女は探偵よろしく被害者の周囲を探り始める。しかし、彼女の言動のエネルギーは息子への溺愛であって、彼女自身はタフでもなく腕っぷしも強くなく洞察力がすぐれているわけでもないのだ。

ひき逃げ事件に始まる一連のシークエンスは監督のいつもの作品同様、軽くてポップと思って見ていたら、なんだか通り越してクールというかドライというか--いやいやそれどころか殺伐とした領域にまで到達してしまっている。この冷徹な乾き具合はすごい。もはや笑いも干からびてしまう。

これは謎解きが中心の物語ではない(というか、結局謎は解き明かされたのか?)。謎から派生して明らかになっていく人間の根源に潜む闇が主題だろう。
そして、物語が進むにつれ「母」とは賢くて同時に愚かであり、弱々しいようで強く、善も成すが悪も成す、懸命で必死だけど打算的、気を遣うが気がきかず、子供のことを思っているようで同時にスポイルしている--という二面性があらわになって来る。

ヒロインが常に「母」として登場し、作中で固有の名前が明らかにされない(呼ばれない)のは極めて示唆的である。
そして、私が一番意外だったのは終盤で彼女もまた「母の娘」であったことが明らかにされる場面だ。なんという恐ろしさ(>y<;) やっぱりポン・ジュノ監督ただ者ではない。
ここしばらくの間に見た「母もの」映画はどれも詰まらなかったけど、ようやく満足できる作品にめぐり合えた。

こうして見ると、キャスティングも巧妙だ。息子役が「ダメな子ほど親はかわいい」みたいな感じだったら、観客の共感は到底得られないだろう。ここは誰が見ても母性本能・父性本能がくすぐられるような役者じゃないとね(^^;)
一方、チンピラ高校生とか、よくぞバラエティに富んだ色んな外見の人物を見つけて来たと思っちゃうがやはり演劇畑から引っ張って来たんだろうか? もちろん「母」役のキム・ヘジャは文句なし。

だが、それで終わるわけではない。この作品は全編索漠としてドライであり、そこに描かれている事実は息苦しく重苦しいが、その先のラストシーンでその全てはふっ飛ぶ。ただただ、見る側はボーゼンとそれを見守るだけである。そこにはもはや諦念さえ漂うようだ。

恐るべし、ポンジュノ。またも次作に大期待だぜい
前作の『グエムル 漢江の怪物』の感想はこちら。いやー、当時は色々トラブルがあったんですな。今回も韓国では大ヒットしたそうだが……日本ではウォンビンが出てなかったら、客の入りはどうなったことかぐらいですよ(~_~;)

ところで、予告では屋上では少女の目が開いていたように記憶してたんだけど、本編では閉じてましたな どういうことだろ。それとも勘違いかしらん。

それにしても、韓国でもやはり『CSI:科学捜査班』は人気あるんですな(^o^)


主観点:9点
客観点:9点

【関連リンク】
《ノラネコの呑んで観るシネマ》
いつもながら的確な分析による感想です。

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2009年11月17日 (火)

「アンヴィル!夢を諦めきれない男たち」:50代はお肌の……じゃなくて、人生の曲がり角

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監督:サーシャ・ガヴァシ
出演:スティーヴ・“リップス”・クドロー&ロブ・ライナー
米国2009年

わたくしσ(^-^;)実はハードロックは好きだがヘビメタは苦手という人間でありまして、このアンヴィルについても「名前聞いたことはあるかなー」程度の知識しかない。
1980年代にブレイクしかけて、現在は成功している同輩や後進バンドに注目されていたにも関わらず、その後は鳴かず飛ばず、もはやアルバムも出せず……。
で、そのまま今に至っているオリジナル・メンバー二人のドキュメンタリーである。

その一人がやや薄くなった長髪をキャップに束ねて入れ、給食の宅配員なぞやっている姿を見れば、映画ファンの多くは当然『レスラー』を思い浮かべるだろう。

さらにはヨーロッパ巡業に出るも、大ホールに客は100人程度だったり、ライヴハウスとは名ばかりスナックみたいな店でまさに「客の数よりバンドのメンバーの方が多い」状態だったりする。加えて列車に乗れず駅で寝る羽目になったり、ギャラを踏み倒されたり--という御難続きである(@_@)
当然バンド内のトラブルやケンカも起こる。

しかし、『レスラー』の主人公と違って彼らはあくまで前向きである。周囲の妻や子供、親戚一同が距離を置きつつ生暖かく見守っているのもいい感じ(^O^;)

ラストは日本のメタル系フェスに招かれてのライヴへ。朝イチの出演とあって幕張メッセに5人しか客が来なかったらどうしようと心配する彼らであったが……。
いやー、それにしても日本の熱心なヘビメタ・ファンの皆さん、朝11時半から頑張っております。グレートです

花も嵐も踏み越えてきたリップス&ロブの姿にはザ・フーのピート&ロジャーと重なる、しみじみとした味わいがあったのだった。泣けたぜっ(T~T)

ところで平日に行ったせいか客は若いにーちゃんが多かったですな。やはりこれは私ぐらいのくたびれたオヂサンオバハンこそに推奨である。


泣かせ度:9点
ロック度:8点

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2009年11月15日 (日)

「フランスヴァイオリン音楽の流れ」:外は魔界、中はルイ王朝フランス

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王の24のヴァイオリンが育んだもの
演奏:赤津眞言、武澤秀平、岡田龍之介
会場:淀橋教会小原記念チャペル
2009年11月9日

「王の24のヴァイオリン」というのはルイ14世の宮廷に実際にいた団体だそうな。そもそもの歴史はフランソワ一世(百年近く前)の頃までたどれるという。
ヴァイオリン弾きの赤津氏はフランスものの演奏会を10年ほど続けているとのこと。で、今回はその団体にゆかりの作者&奏者だった人々の作品を集めている。

前半はアネ、クープラン、マレ、セナイエの4曲。アネとセナイエという人は全く知りませんでしたな(^^; 前者はいかにもなフランス風だったが、後者はコレッリっぽいイタリア風だった。
クープランはその二つの流れを融合しようとしたそうだ。
マレはおなじみ「聖ジュヌヴィエーヴ・デュモンの鐘」で、間近に聴いてみると同じフレーズを繰り返しているだけのような武澤氏のガンバ、が実はヴァイオリンと丁々発止の関係で弾いているのがよく分かった。

赤津氏は曲の合間ごとに解説を入れて、どうしてマレの曲のタイトルをよくあるように「デュモン教会」としなかったか、またなぜガンバを椅子の上に乗せて立ったまま弾くのか、などを話した(当時の絵画で立って演奏しているものがあるらしい)。
あとフランス音楽史最大の「悪役」リュリについても色々と聞かせてもらった。

後半はデュヴァル、フランクール、ルベル……とまたあまり知らない作曲家が続いた。デュヴァルの曲が重厚かつ哀愁を感じさせてしんみり聞き入るところがあった。

アンコールはルクレール?よく分かりませんでした(^^ゞ
トークの方も面白く、色々とタメにもなった演奏会でしたよ

会場は二度めだが、やっぱりかなり残響が多過ぎなような気がした。最初はチェンバロの音がよく聞こえてこなくっていささか焦った。座った場所のせいか。
それから前半にどこからかゴゴーッという音が繰り返し聞こえて来るのも気になった

外へ出ると教会の敷地の門の所で若い娘っ子が座り込み、声を上げて泣いているんでビックリ 前回来た時も男性が倒れかけていたことがあったのだが、やはり聖域から一歩踏み出すと(新)大久保近辺は魔界ワールドなのであろうか。コワー(^^;)
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←ガンバ様がお使いになった椅子とクッション

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2009年11月14日 (土)

マイケル・ジャクソンについての予言

朝日ニュースターで放送されている米国TV番組「デモクラシーNOW!」の11月第1週分をようやく見た。
後半が「マイケル・ジャクソン:キング・オブ・ポップの一生と彼が遺したもの」と題された回で、米国では6月30日、彼の死の直後に放送されたものである。
内容は彼について著書を出していた二人の研究者に話を聞くというものだった(その本は日本では出ていないもよう)。
番組の中で、M・ジャクソンは人種と性別を越える存在(それはある意味で「奇形」である)となったと述べられ、それに関連して、作家のジェイムズ・ボールドウィンがM・ジャクソンについて1985年に書いたエッセーが紹介された。極めて印象深い文章なので引用してみよう。

マイケルをめぐる耳障りな騒ぎは本人には関係がない。彼がそれに気付き、成功の報いで身を滅ぼす前に逃げることを祈る。そう簡単には許されまい。これほど権威をくつがえし、途方もない夢をかなえ、大金持になったのだから。
奇形(フリークス)とは奇形と呼ばれ、忌まわしきものとして扱われる。彼らの姿が人間の心の奥底に潜む恐怖と欲望を映し出すからだ。

1985年というのは彼の絶頂期ともいうべき時期だろう。その時にこのように将来を見通したかのような文章が書かれていたのは驚きである。

また、日本だとどうしても1980年代以降の活躍を中心に語られがちだが、街頭インタビューの市民たちは子どもの時から同世代の彼の歌を聞いてきたと答えていた。(となると、私の母の世代の美空ひばりみたいな存在なのか(?_?;)

5歳でスターとなった少年マイケルについて、番組内での指摘によると、彼は魅力にあふれ、大人の性的欲望の対象となったという。ファンの崇拝には、そのスター自身を餌食にしてしまうような面がある。特に対象が子供スターの場合は--。
果たしてこのようなショービジネスの世界が彼の人生に影響を与えたのだろうか。

正直、M・ジャクソンは私にとってヒットチャートの上位を長期間占めていたスターの一人という以上でも以下でもなかったが--もちろん「スリラー」や「バンド・エイド」のヴィデオはすり減るほど何回も見ましたよ(^^;)--色々と考えさせられた内容だった。。


なお、番組の前半は『ベルゲン・ベルゼンの日記 1944-45』という本を紹介したもの。ユーゴからドイツの強制収容所に収容されたユダヤ人女性が所内で密かに綴っていた日記である。
ジャーナリストである娘によると、母は収容所にいた時は希望を抱いていたが、生き延びて解放された後は外の世界に絶望して(パレスチナ弾圧やユーゴ解体など)何も文章で語ることはなくなってしまったという。なんたる皮肉だろうか……(v_v)
こちらの前半も興味深かった。


なお、再放送が15日の深夜1時(16日早朝)にもあるので、視聴可能で興味のある方はどうぞ。

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グルック「思いがけないめぐり会い」リンク集

恒例!本とぴあ国際音楽祭の目玉オペラ公演、グルックの「思いがけないめぐり会い、またはメッカの巡礼」。
行かない代わりにリンク集を作ることにしました。これからも見つけ次第増やしていきます。
それにしても、ブログ検索があまり役に立たない……(=_=;)

《チェンバロ漫遊日記》

《演奏会定点観測》
速い一番手か。

《つるりんこの「いつもダラダラどこでもゴロゴロ」》

《オペラ備忘録》
なかなかにキビシイ意見です。

《ちゃむのバレエとオペラ観劇日記》

《9月11日に生まれて》

《neopara》

《Enoの音楽日記》

《Taubenpost~歌曲雑感》

《今日の歓び》

《*mattari-mottari*》
ケータイ専用??ケータイでネットにアクセスすることがほとんどない私にはよく分かりませんですう(・・ゞ

《♯Credo》

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2009年11月11日 (水)

「薄暮」:美とカネは分かち難し

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著者:篠田節子
日本経済新聞出版社2009年

前作の『仮想儀礼』が面白かったので、続いてこちらも読んでみた。

前作は宗教業界(?)が舞台だったが、今回は美術がテーマである。主人公は美術雑誌の編集者だったが、雑誌廃刊に伴い高級婦人雑誌の編集部に異動した中年男性である。
彼が成り行きから関わった、地方に埋もれたまま亡くなった無名の画家が注目を浴び、地域ぐるみの大きな動きになって行く……。

しかし、画家の遺された妻はとある時期の作品を彼の絵とは認めない。実際には、そちらの作品の方が出来がいいのだが。
--というような所は謎としてミステリ仕立てになっている。
全てが明らかになった時は、画家に関った二人の女の真実の姿が明らかになるという次第。またも、作者は女には非常にキビシ~イのであった。
自己犠牲によって才能はあるが恵まれない画家を支え続けた妻--という美談の陰に隠された人間の業、そしてそれに支えられた作品をどのように評価したらいいのか。作者はその手の「美談」にも容赦ない(~_~;) 執着と欲望にまつわるうさん臭さがあからさまになっていく。しかし、作者はそのような欲望も人間の本質として肯定的に認めてもいるようだ。

また、普段あまり縁がない地方画壇の話や地域の利権との関係、そして金と不可分なアート業界などなどよく取材しているようで、いやはやこの世界もスゴイもんだと呆れるのを通り越して感心してしまった。

それにしても「美」に価値を付けるというのはどういうことなのだろうか? よくよく考えればそんな事は不可能に違いない。
実体のないものに値札をかける--これもまた麗しい資本主義の成せるマジックであろうか?

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2009年11月 8日 (日)

「名器で聴くマエストロ・シリーズ 4 弦の道」:戦後日本の音楽教育を憂う

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北とぴあ国際音楽祭2009
さまざまな弦楽器で音楽史をたどる
演奏:つのだたかし+波多野睦美
会場:北とぴあ つつじホール
2009年11月3日

うっかり電車を乗り過ごしてしまい(なぜか赤羽と勘違いしてしまった(^^ゞ)時間ギリギリに着くと、ステージの上にはさまざまなリュートやらギターやら撥弦楽器でいっぱい……と、そこへつのだたかしが登場してルネサンス・リュートを弾き始めた。
曲目はフェラボスコやダウランドなど。

その後はトークもまじえて、各地・各時代の楽器を演奏。曲をちゃんと弾いたのは、ウード、ビウエラ、バロック・ギターだったが、他にもテオルボ、トルコのラウタや名前忘れたけど二本しか弦のない小型のヤツとか、後ろがアルマジロの背中になっている(文字通り、ホンモノのアルマジロをくっつけてあるそうだ(!o!)入手してすぐは毛がフサフサ生えていたそうな)ペルーのチャランガ--などを踊りながらちょこっと弾いて見せてくれた。
アルマジロのくだりでは会場は「へえ~~(-o-;)」状態。例によってつのだ氏のお話はユーモアあふれて面白かった。でも、色んな楽器を持って来て弾いて回るのは大変だった様子だ(^^;

曲については、ワタクシ的にはウードによる「薔薇の中の薔薇」が一番よかった。普段あまりイスラム系の音楽にふれてないせいか、新鮮でした。
様々な楽器の中でも一番音量がキビシかったのはリュートで、会場は400人ぐらいの中ホールだったが、物足りなかった。リュートの適正人数はせいぜい100人あたりだろうか。

後半は、つのだ氏愛用の19世紀ギターとゲスト波多野睦美による歌曲編。モーツァルト、シューベルトなどお馴染みの作品と、スペイン出身のソルという作曲家の恋の歌が歌われた。
だが……だが、である。やはり好きな歌手が歌っても守備範囲外の作品はダメだった 聴いてても、集中力に欠けてしまったのはどうしようもない事実なのであ~る(><)

とはいえ、アンコールのそれこそお馴染みシューベルトの「野ばら」はビックリよ
波多野さんの解説によると内容はかなーりいかがわしい歌(~_~;) 歌の中の「わらべ」とは原語だと子どもではなくて思春期の若者を指すとのこと。
で、波多野さんの歌い方もなんか艶笑的でいたずらっぽい小唄みたいな感じ。こ、こんないやらし~い歌が音楽の教科書に載っているとは……日本の戦後教育はどうなっているのでありましょうか(`´メ)
きっと日●組の陰謀かテロリストの破壊工作に違いないぞっとヾ(^^)ゝヾ(^^)ゝ

舞台上には望月通陽の織物が飾られ、殺風景なホールを一変させていた。模様替えをして後半の幕が開いた時は思わず会場から「きれい~(*^^*)」というため息が出たほど。

今年の北とぴあ音楽祭は都合により、この公演で私はラストとなってしまった。
また来年もよろしくお願いしますm(__)mペコリン


【関連リンク】
ある意味対照的な(?)感想です。
《クラシックギター歳時記》
《アリスの音楽館》

《チェンバロ漫遊日記》
「北とぴあ音楽祭での大規模なバロックオペラは今年で最後かも・・・」
えええーっ(!o!)なんだって~~~っ

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2009年11月 6日 (金)

大貫妙子「ピュア・アコースティック2009」:22年目の涙、涙、また涙

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会場:JCBホール
2009年11月1日

22年も続いたアコースティック・コンサートのシリーズも今年で終了(!o!)だって。思えば私が最初に聞いたのは確か跡見女子大講堂だったわ。当時はチケットのネット販売とかもなくて、なかなか良い席が取れなくて泣いたものよ。22年もあっという間だわねえー。
寄り添う月日を思えば~、語る言葉もないほどみじ~か~い もう歌っちゃうわよ、あたし(ToT)

でも、最後にしては会場がちょっと……。オペラシティとかオーチャード・ホールとは言わないまでも、せめて国際フォーラムあたりでやって欲しかったわ。
JCBホールって音楽専門のトコじやないんでしょ(?_?) それをカバーしようとしたのかどうかしらないけど、音響がひどいのよー。ハッキリ言ってデカくて雑 余計なノイズとかマイクが拾っちゃってるし。こんなんじゃあ「アコースティック」とは言えないわよ。
こんなのが最終公演なんてイヤ~ッ(>_<)

でもまあ、DVD用の撮影隊が入って曲も多めにやってくれたのは嬉しかったわ。濃いグレーを基調にしたお衣装の着こなしも素敵(*^^*) 私があんなの着たらネズミ男ならぬネズミ女になっちゃうもの。ただ、ター坊の喉の調子はあまりよろしくなかったようで、しきりに曲の合間にお水を飲んでたわね。
山弦の小倉博和のギターが今回入ったのはとてもよかったわ。

恒例のプレゼント・タイムもますます人が少なくなって……寂しいッ。毎年来ていた男性二人連れ(兄弟かしらん?)も今回はいなかったし。えっ、なに?そんなこと言うならお前が行けって? キャー、そんなの恥ずかしいーO(≧▽≦*)Oイヤ~ン

これからはバンド編成でやるみたいなので、そちらで聞かせてもらうわよー。でもライブハウスやクラブは行きにくいのでなるべくホールを希望

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2009年11月 4日 (水)

ヘンデル「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ全曲」:真作・偽作・真作・偽作……

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演奏:桐山健志&大塚直哉
会場:近江楽堂
2009年10月29日

ヘンデルのメモリアル・イヤーとなると、開催される公演は大がかりなものが多いが、CD発売記念も兼ねて桐山&大塚コンビが地味~なソナタの全曲演奏会を行なった。

曲の合間のトークによるとバッハのソナタ全曲演奏会は多いが、ヘンデルのものはほとんどないという。なぜかというと……似たような曲が多いから(^=^;だそうだ。今回、実際やってみてそれが分かったそうな

プログラムは前半がヘンデルの真作かどうかアヤシイ曲、後半は自筆譜が残っていて真作間違いなしのタイコ判が押せる4曲という構成だった。
前半の曲と後半の差異はヴァイオリンのパートよりもチェンバロが大きいとのこと。偽作の疑いがある方は楽譜出版業者が適当に付けたんじゃないかと思えるぐらいだそうだ。

とはいえ、その前半でもト短調のソナタHWV368は緩急の差がキッパリとしててなかなか良曲だと思えた。
後半は中盤で演奏されたHWV361、359aが聞き応えあったです。

とりあえず息の合ったお二人の演奏を至近距離で聴けてヨカッタ(^o^) ホールのコンサートではとてもこんな気分は味わえません。
CDは後日購入予定よ
過去にはW・クリスティ&ヒロ・クロサキの録音を買ったことがあるけど、今一つピンと来ず。もう一度聴き直してみよう。

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2009年11月 3日 (火)

「アンナと過ごした4日間」:紙一重の差を誰が知る

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監督:イエジー・スコリモフスキ
出演:アルトゥール・ステランコ
ポーランド・フランス2008年

「あ、アンナたん(~Q~;)ハアハア」夜な夜な女の部屋に忍び込んで、その寝顔を眺める中年男。女の使ってるタオルの匂いをクンクン嗅いだかと思えば、ペディキュアを塗ってやったり、ついには部屋を片付けてやったり……。
いくら内気で無口な性格とはいえ、男はなぜこんなことをしているのか?
彼には面と向かって彼女に話しかけることができない過去のいきさつがあったのである。

というわけで、ストーキングとフェティシズムのヘンタイ話みたいだが、その割には観客をおちょくったようなサイコサスペンス風の冒頭で始まるし、何かとドジを踏んでしまう主人公には苦笑されられた揚げ句、終いには同情すら感じてしまうのだ。
監督によると、驚いたことに米国の新聞に載っていた日本人についての記事が着想のきっかけだったという。
ヘンタイと純愛の差は紙一重。紙一重ではあるが違いはある。しかし、問題は両者の区別が誰にもできないことだ。

斧、流れていく牛、オルゴール、アコーディオン、指輪など小道具の使い方も印象的だ(あの牛は「小道具」とは言わんか(^^;)。

しかし、この面白さを言葉で伝えるのは難しいね 情けなくてしがない感じで、残酷で絶望的で悲哀に富んでいる。が、全体的に飄々としたユーモアがまぶされてもいる。
ラストはコミュニケーションの拒絶・遮断を表わしていると同時に、アンナの存在自体が主人公の妄想ではなかったのかとも思えてしまうほどのあっけなさだ。

基本的にはタイトル通りに四日間の話だが、回想などを織り交ぜた時制のひねくり具合は『あの日、欲望の大地で』よりも遥かに老獪と言える。さすが年季が違う。
17年ぶりの監督作ということだがまた是非新作をお願いしたい。

ところで、エンド・クレジットに流れてたのはオルゴールの曲と同じ?だと思うが、何の曲だろう。トラディショナル・ソングか どこかで聴いたんだけど思い出せん。


ヘンタイ度:9点
純愛度:8点

【関連リンク】
《海から始まる!?》
監督の詳しいフィルモグラフィーあり。

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2009年11月 1日 (日)

聴かずに死ねるか:マイナー・コンサート編 11月版

先月は「ブロッケス受難曲」にとうとう行けませんでした。涙(T-T)であります。

*3日(火)北とぴあ国際音楽祭「弦の道」(つのだたかし)

*7日(土)   〃   「歌と弦楽器でつづる心の音楽」(村上雅英、小野萬里ほか)
休日出勤の日と重なってしまい行けそうにない。号泣よ、グスン(;_;)

*9日(月)「フランス ヴァイオリン音楽の流れ」(赤津眞言ほか)
代わりといってはナンだけど、こちらに行こうかなーっと

*13日(金)「デール・ラス コンサート」
是非聞きたいけど、平日7時トッパン・ホールで自由席、おまけにケルトものとなると、到着した時には既にトラッド・ファンで席が埋め尽くされているような予感が……。ウームウーム(´~`;)

*20日(金)「巡礼の歌」(アンサンブル・エクレジア)

*21日(土)ヘンデル・フェスティバル・ジャパン「ヘンデル・オペラの名アリア」

*23日(月)「テレマン パリ四重奏曲」(菅きよみ&バディ様ほか)
*  〃   オルガンレクチャーコンサートシリーズ「アンナ・マグダレーナが愛した夫J・S・バッハ」(皆川達夫)
久々に皆川先生の名調子を聞きたいが、朝11時からというのはキビシイ~ッ

なお、P・ジャルスキー、ミンコフスキ&ルーヴル宮音楽隊、北とぴあ・グルックは行きませんので、どなたか報告&感想お願いします(他力本願)

【追記】
*ジャルスキー関連
《B的日常》
な、なるほど(^^;やはりなかなかスゴイ取り合わせだったようで……。

《rx1206の音楽探訪》
こちらは単独公演。

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