「アンナと過ごした4日間」:紙一重の差を誰が知る
監督:イエジー・スコリモフスキ
出演:アルトゥール・ステランコ
ポーランド・フランス2008年
「あ、アンナたん(~Q~;)ハアハア」夜な夜な女の部屋に忍び込んで、その寝顔を眺める中年男。女の使ってるタオルの匂いをクンクン嗅いだかと思えば、ペディキュアを塗ってやったり、ついには部屋を片付けてやったり……。
いくら内気で無口な性格とはいえ、男はなぜこんなことをしているのか?
彼には面と向かって彼女に話しかけることができない過去のいきさつがあったのである。
というわけで、ストーキングとフェティシズムのヘンタイ話みたいだが、その割には観客をおちょくったようなサイコサスペンス風の冒頭で始まるし、何かとドジを踏んでしまう主人公には苦笑されられた揚げ句、終いには同情すら感じてしまうのだ。
監督によると、驚いたことに米国の新聞に載っていた日本人についての記事が着想のきっかけだったという。
ヘンタイと純愛の差は紙一重。紙一重ではあるが違いはある。しかし、問題は両者の区別が誰にもできないことだ。
斧、流れていく牛、オルゴール、アコーディオン、指輪など小道具の使い方も印象的だ(あの牛は「小道具」とは言わんか(^^;)。
しかし、この面白さを言葉で伝えるのは難しいね 情けなくてしがない感じで、残酷で絶望的で悲哀に富んでいる。が、全体的に飄々としたユーモアがまぶされてもいる。
ラストはコミュニケーションの拒絶・遮断を表わしていると同時に、アンナの存在自体が主人公の妄想ではなかったのかとも思えてしまうほどのあっけなさだ。
基本的にはタイトル通りに四日間の話だが、回想などを織り交ぜた時制のひねくり具合は『あの日、欲望の大地で』よりも遥かに老獪と言える。さすが年季が違う。
17年ぶりの監督作ということだがまた是非新作をお願いしたい。
ところで、エンド・クレジットに流れてたのはオルゴールの曲と同じ?だと思うが、何の曲だろう。トラディショナル・ソングか どこかで聴いたんだけど思い出せん。
ヘンタイ度:9点
純愛度:8点
【関連リンク】
《海から始まる!?》
監督の詳しいフィルモグラフィーあり。
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